リューココリネで、春風が舞い込むテーブルアレンジを | 花のある週末、はじめませんか Vol.29
こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?
目次
3月のおすすめは「リューココリネ」
3月のウィークエンドフラワー.リューココリネ(英名:Glory of the sun)
●原産国: チリ・アンデス地方
●主な生産地: 千葉県、山形県 ほか
列島が薄紅色に染まる、美しい季節がまためぐってきました。東京都心のサクラは、「桜の日(3月27日)」を待たずして満開を迎えました。
世の中がお花見でそわそわしている頃、花屋さんは年度末で大忙し! 寒い季節に私たちを楽しませてくれたチューリップやラナンキュラス、スイートピーは、門出を祝う晴れ舞台に最後の出番。そして、春の花から初夏の花へと移ろうこれからの季節、ナチュラルで可憐な草花系の花たちが、その存在感を増してきます。
今日紹介するのは、そんな可憐な花のひとつ、名バイプレイヤーとして、花のプロたちにとても人気がある「リューココリネ」。ユリ科の球根植物で、細く美しいステム、そよぐように咲く星形の花、清らかな透明感が魅力です。
日本に紹介されたのは1990年代。まだ歴史が浅いですね。切り花向けには、千葉県や山形県でハウス栽培され、3~4月にかけて出荷の最盛期を迎えます。熱心な個人育種家たちにより育種が進み、最近は定番のパープル系に加え、白や複色などが出回るようになりました。
今の季節にぴったり! と感じる特徴のひとつが、「桜餅に似た甘い香り」。微香ではありますが、品種によって、桜餅やバニラのような甘い香りや、ややスパイシーなハーバルな香りがします。「わあ、ほんとに桜餅だ!」と感じるだけでも、なんだか楽しくなってしまいます。
週末の朝に! 春風が舞い込むテーブルアレンジ
リューココリネに合わせて、軽やかな野花の雰囲気の花々を集めてみました。10本ほどの草花で野原に咲く花を描くように、スッ、スッといけていきます。
スラリとした茎の美しさを楽しみながら、そよ風が吹き抜けるようにふわっと爽やかに。テーブルに春風が舞い込んでくるようで、週末の朝のひとときがいっそう心地よくなりますよ♪
■材料(花材費合計=1500~2000円)
●花材(画像左下から時計回りに)
*ルピナス/2本
*レースフラワー/2本
*リューココリネ(白)/2本
*六条麦/2本
*リューココリネ(パープル)/2本
●器について
カジュアルなテーブルフラワーに重宝する器が“カラフェ”(ピッチャーをフランス語で「carafe」といい、ワインを移すためのアイテムです)。今回は形が違うカラフェをふたつ並べて、10本の草花を5本ずつ分けていけています。複数の違う種類の花10本をひとつの器にいけるのは、ちょっとハードルが高いかも…と感じますが、そんなときは器を2~3個並べて小分けにいけると、ぐっとアレンジしやすくなりますよ。大きめの花器がなくても、器を並べれば大丈夫です。
●コーディネイトについて
ポイントは、複数の器をトレーのような敷き物の上に載せること。アレンジ全体に一体感が生まれ、テーブルの上で花が落ち着きます。今回は、草花の雰囲気に合わせて、ナチュラルな木製のトレー(お盆です)とスプーンをチョイス。明るいグリーンの葉と同系色の黄緑色のナフキンをアクセントにしました。白いカフェオレボウルにヨーグルトとフルーツを入れて、爽やかな週末の朝食を楽しみましょう♪
■3ステップで簡単アレンジ
①切り花鮮度保持剤を分量どおりに希釈した水を、器の6分目くらいまで注ぎます。水に浸かる部分の葉はあらかじめ取り除いておきます。
②最初に、ルピナスを葉が器の口元にくるようあしらいます。レースフラワーをやや低めに、ふわっといけます。
③リューココリネの細い茎をスッと立てるように、やや高低差をつけつつ長めに挿していきます。花と花をパラレル(並行に)に活けると、草原に春の花々が咲いている光景のようで、眺めていてホッとします。
花を長いまま活ける際の“器と花のバランス”は、器の高さ:器から出ている花の長さ=1:1くらいが目安。リューココリネのような軽やかな花の場合は、もう少し長めでもOKです。ステムの美しさを楽しみながら、花が舞っているように伸びやかにアレンジしましょう♪
最後に六条麦をあしらって、できあがり!(画像下は六条麦を入れる前の状態です)
■リューココリネを長く楽しむコツ
*花弁の透けていないものを選びましょう。
*万が一、自宅に持ち帰った際に花がぐったりしている時は、「湯あげ」をするとシャキッとします。
*水替えを頻繁にする必要がなく、手入れが楽な花です。
*切り花鮮度保持剤を使用し、涼しい場所に飾れば長く楽しめます。
もちろん、ひとつのカラフェでも十分に、リューココリネの清らかな魅力を楽しめます。下の画像は、花の本数を5本にして飾った例。右下のパープルのリューココリネは、じつは茎が折れてしまったものなのですが、ジャムの瓶のような小さな器に1輪ちょこっと活けてもかわいらしいですね。ふわっと桜餅の香りがしますよ(笑)。
リューココリネに合わせた六条麦は、若葉のような黄緑色が美しい青い麦の穂です。春の息吹を感じる麦の穂は、”まっすぐのびやかに成長し、やがて黄金に輝き豊かに実る”ことから、ヨーロッパでは「成功を祈る」縁起物とされています。入学や就職など、門出をお祝いするシーンにもぴったり。お祝いのブーケに青い麦の穂をそっと添えてみてください。家族や自分への応援の気持ちで、部屋に飾るのもよいですね。よし! 頑張ろう!! と、前向きな気持ちになれそう。
「おうち花見」に、サクラとリューココリネのミニあしらい
七十二候ではちょうど、「桜始開(さくらはじめてひらく)」から、「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」へ、季節の兆しが移ろう時。春雷が聞こえたら、いよいよ本格的な春の到来です。
そんな流れゆく季節の一瞬を愛でるように、サクラの枝とリューココリネの小さな花あしらいはいかがでしょう。サクラとリューココリネは、繊細でしっとりとした花弁の質感が似ていて、相性がよいですね。このリューココリネは花芯の近くにピンクのラインが入っていて、はんなりとした和の雰囲気を醸しています。サクラにとてもよく似合って、嬉しくなります。
週末のティータイムは、道明寺をいただきながら小さなお花見(桜餅はだんぜん道明寺派です! 笑)。桜餅の香りがするパープル系のリューココリネと一緒に、五感で桜を楽しむのも一興ですね。
■材料(花材費合計=1000円以内)
●花材
*ひより桜/1/2本(1本の枝の中の小枝を2~3本)
*リューココリネ(パープル系)/1本
●器について
サクラとリューココリネの透明感に合う、青磁の器をチョイス。以前も紹介した“片口の器”は、それだけで和テイストのコーディネイトがキマるので、ひとつ持っていると便利です。
●コーディネイトについて
片口と同じ青磁の平皿に道明寺を並べて、錫(すず)製のサクラ形の箸置きに、黒文字の楊枝を添えています。テーブルにサクラを飾る際は、サクラのモチーフのアイテムをプラスしたり、サクラの小枝をナフキンに添えたりするといっそう華やかに! お茶にサクラの塩漬けを浮かべたり、アペロタイムならサクラ色のアルコールを用意したり、細部まで“サクラ”にこだわると気分が盛り上がります。
■3ステップで簡単アレンジ
①サクラの枝から、小枝を2~3本カットします。細い枝でも切り口は斜めにカットし、ハサミをマイナスに入れて枝を割ります。
②器から転げない長さに調整し、器の縁を利用しながら、小枝を立てます。花留めを使用しないときは長さに限界がありますが、少しでも長く枝が張り出していたほうが素敵です。小さな剣山を仕込めば、枝はぐっといけやすくなります。枝ものには「表と裏」があるので、よく観察して、花つきがよい側が手前に見えるようにあしらいましょう。
③最後に、リューココリネを1輪そっと添えれば、できあがりです!
この週末は、密を避けながらお花見、という方も多いかもしれません。
今年はどんなサクラに出合えるでしょう。麗らかに続くサクラ色のトンネルを、大切な人と歩けたら素敵ですね。
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。
Credit
小川典子
(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/
「WEEKEND FLOWER」 http://www.floweringjapan.com/weekendflower/
インスタグラム、@weekendflower_official
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