ガーデニングや料理は、家での時間を楽しむのに最適です。季節の変わり目にはスパイスをたっぷり使った料理を食べて、身体の中から健康を意識してみては? 今回はイギリス生まれのミックススパイス「カレー粉」を使ったタンドリーチキンと、インドカレーに欠かせないスパイス「クミン」を使った副菜2種のタンドリーチキンプレートをご紹介。神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。スパイスで旅気分を味わいましょう。

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引き続きスパイスで旅を!

前回ご紹介した、『五香粉で作るチャイニーズフルーツケーキ』お試しいただけたでしょうか? エキゾチックな香りで、気分は高級ホテルでのティータイム in チャイナ。スパイスを使った料理は気軽に「旅行気分」を味わえるので、こんなご時世にはピッタリ。

五香粉で作るチャイニーズフルーツケーキ

引き続き、スパイスを使って皆さんを旅にお連れします。今回の目的地は「イギリス経由でインド」行き。カレー粉とクミンを使った「タンドリーチキン」と、クミンを使った簡単なインドの副菜「キュウリのライタ」と「キャベツのアチャール」を作ります。

キャベツのアチャール

スパイスたっぷりのインド料理を食べると、毛穴からブワーっと何かが出て、体中の細胞が大喜び。ボリウッド映画のようなイケイケでキレッキレなダンスを踊りたくなっちゃう。私にとってインド料理は元気が出る食べ物なのです。さあ! アテンションプリィィィーズ!!!  魅惑のスパイストリップへ、いざ出発!

イギリスで誕生した「カレー粉」

もはや日本人の「国民食」といっても過言ではないカレー。それぞれの家で「お母ちゃんの味」があり、日本の家庭に欠かせない食べ物です。起源はもちろんインドですが、インドのスパイスを調合して作るカレーとはひと味違いますよね。日本のカレーは独自の進化を遂げ、スーパーでは常に何十種類ものカレールーが売られています。甘口〜辛口、タイ風やインド風など盛り沢山。私あのコーナー大好き。見ているだけでもウキウキして、よだれが出ちゃう。

カレー粉

今回ご紹介するのは「カレールー」ではなく、「カレー粉」。カレー粉はターメリックやコリアンダー、クミン、フェネグリークなどが調合してあるミックススパイスです。じつはイギリス生まれで、本場インドでは使いません。

カレー粉

インドがイギリスの植民地だった18世紀。初代インド総督が現地の料理「カリ」を持ち帰ったのが、イギリス「カレー史」の始まり。当時カレーは上流階級向けの食事で、ヴィクトリア女王もお気に入りメニューだったとか。

1953年、エリザベス女王戴冠式の昼食会では「コロネーションチキン」という、茹でた鶏肉をカレー粉やマヨネーズで和えたサラダが登場しました。そう、イギリス人はカレーが大好きなのです。

コロネーションチキンサンド
コロネーションチキンサンドは、いまでもイギリスのカフェの定番。

イギリスを代表するB級グルメ「フィッシュ&チップス」にも「カレートッピング」のオプションが存在します。私がアンティークを買付けに行く、イギリスのド田舎にある競馬場のカフェテリアでさえ、カレーはレギュラーメニュー。

チップス(フライドポテト)入りのカレー
競馬場のカフェテリアでは、イギリスらしくチップス(フライドポテト)入りのカレー。味は……ノーコメント。

私のお気に入りのインドカレーは、タンドリーチキンをトマトベースのソースで煮込んだ「チキンティッカマサラ」。じつはこれもイギリス生まれのインド料理です。

ちなみに「カレールー」と「カレー粉」の違いは、塩分やダシが入っているかどうか。カレー粉はシンプルにスパイスのみをミックスした、パウダー状のものなので、香り高く、幅広い料理にお使い頂けます。ピラフやポテトサラダ、焼きそばにひと振りするだけで、簡単にカレー風味になるのでとっても便利。このカレー粉の香りを作り出す重要なスパイスの一つが「クミン」です。

強烈な存在感の「クミン」

クミン
ホールクミンは長時間加熱する煮込み料理や、油で熱して香りを移すのに使われます。

私のキッチンで一番減りがはやいスパイス、それがこの「クミン」です。土っぽさを感じ、強く重たく、スパイシーで甘みのある複雑な香りが特徴的。いかにもカレーらしい香りのエスニックなスパイスです。強烈で個性的ですが、嫌よ嫌よも好きのうち、じわじわとクセになっちゃう香りなのです♡

フムス
クミンは日本でも人気の中東料理「フムス」にも欠かせません。

クミンはインドカレーに必須のスパイスです。他にもトルコ料理、レバノン料理、モロッコ料理、スペイン料理、メキシコ料理などに使われ、このクミンさえ味方に付ければいろいろな国の料理を作ることができます。

クミンパウダー
パウダーは混ぜやすく、下ごしらえや仕上げに便利。

クミンには消化促進作用があるので、カレーが美味しくて食べ過ぎてしまったときにも安心! 身体を温めて、胃腸にたまったガスを分解し、おなかの張りや腹痛を和らげてくれるでしょう。医食同源ですからね、日々の食事に積極的に取り入れてみてください。肉やチーズ、野菜とも相性がよいので、ぜひ一家に一本常備しておきたいスパイスです。

ルーシーのタンドリーチキン

タンドリーチキン

今回は、カレー粉を使うお手軽バージョンのタンドリーチキンです。しかし侮るなかれ。複雑なスパイスの香りと、隠し味のオイスターソースとハチミツのコクで味は本格派。混ぜて漬け込み焼くだけ、インド人もビックリするほどの美味しさです。

材料

タンドリーチキンの作り方

■ 鳥肉 600g程 (今回は手羽元と胸肉) ※パサつきが気になるならもも肉で
■ a) ヨーグルト 100g
■ a) カレー粉 大さじ2
■ a) クミンパウダー 小さじ1 1/2
■ a) カイエンペッパー 小さじ1/4
■ a) パプリカパウダー 小さじ1 (色味付けのため。なくても可)
■ a) ケチャップ 大さじ1
■ a) ハチミツ 小さじ1/2
■ a) オイスターソース 小さじ1/2
■ a) 塩 少々
■ a) ニンニク(すりおろし) 1片
■ a) 生姜(すりおろし) 1片

作り方

  1.  鶏胸肉は皮を取り、適当な大きさに切る (何カ所か包丁でお肉を刺しておくと味が染みやすい)。
    タンドリーチキンの作り方
  2. a)の材料を全てボウルに入れ混ぜて、ペースト状にする。
    タンドリーチキンの作り方
  3. ②のボウルに鶏肉を入れて混ぜ、1晩〜1日半ほど冷蔵庫で寝かせる。

    タンドリーチキンの作り方
    手でしっかりと揉み込む。
  4. 漬け込んだチキンを並べ、220℃に熱したオーブンで、途中裏返して25〜30分焼く(網があれば網の上で。焦げ付くのでクッキングシートを敷くと片付けが楽です)。
    タンドリーチキンの作り方
  5. 完成!
    焼きたて熱々もよいですが、少し冷めると味が馴染んでさらにデリシャス。
    タンドリーチキンの作り方

キュウリとミントのライタ

キュウリとミントのライタ

ライタとはヨーグルトと野菜を和えたソースのようなサラダです。まろやかでさっぱりとした風味なので、インド料理では肉やカレーの「付け合わせ」によく登場します。クセになる味です。

材料

■ キュウリ 1本
■ ヨーグルト 250g (ザルなどにクッキングペーパーを敷き、30分ほど水を切っておく)
■ クミンパウダー 小さじ1/2
■ 塩 少々
■ ミントのみじん切り 少々 ※パクチーでも美味しい

作り方

  1. キュウリをグレーターでおろして、軽く水を切る。
  2. 全てを混ぜ、冷蔵庫で冷やして完成。
キュウリとミントのライタ

キャベツのアチャール

キャベツのアチャール

よくインドカレーの脇に添えられている玉ねぎのピクルス「アチャール」は、インドのお漬け物のようなものです。語源はポルトガル語でピクルス(漬物)を意味する「achar(アチャール)」という言葉。日本の「あちゃら漬け」も同じ語源です。なんとまあ! 人類みなブラザー&シスター感。今回は旬のキャベツを使ったアチャールです。

材料

■ キャベツ 1/4個 (紫キャベツを混ぜると色味が綺麗)
■ a) 白ワインビネガー 大さじ1/2
■ a) 塩 小さじ1
■ a) 砂糖 小さじ1
■ ホールクミン 小さじ1 1/2
■ 油 大さじ2

作り方

  1. 荒く千切りにしたキャベツに、a) の材料をまぶして和える。
  2. 温めたフライパンに油とホールクミンを入れ、シュワシュワと細かい泡が出て香りが立ってきたら、熱々の油ごとキャベツに加え、よく混ぜて完成。
キャベツのアチャール

実際に作ると分かりますが、どれもお手軽でイージー! 彩りにパクチーやライム、紫玉ネギを散らして、大皿にナンやご飯と一緒に「どーんっ」と盛りつければ立派なごちそうです。はい! タンドリーチキン定食のでき上がり。

タンドリーチキン

今回はヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1800年代のお皿を使いました。うーん! いい感じ、美味しそう! お皿を料理と一緒に楽しむと美味しさも倍増です。

さて、今回の旅はいかがでしたか? 部屋中に漂うスパイス臭が、あなたの空腹中枢を刺激しますので覚悟を! 「インドア」で楽しむ「インド」への「マインド」トリップ♡ ぜひお試しあれ!

Credit

ルーシー恩田

写真&文/ルーシー恩田
アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト
20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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