美容と健康、そして美味しいをサポートするメディカルハーブティーライフ2 [習慣化編]
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世界的なパンデミックの状況下、免疫力アップの効果や、ナチュラルなおうち時間の楽しみとして注目されているハーブティー。ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが、植物とのさまざまな関わりを通して、より健康で心地よい暮らしの実現を提案する連載【乙庭Styleのガーデンセラピー】。健康や美容をサポートしてくれて、飲んでも美味しいメディカルハーブティーについて、習慣化する方法とともにご紹介します。
目次
メディカルハーブティーを日常の習慣に
前回から数回シリーズで、健康や美容・アンチエイジングをサポートし、美味しい食習慣としても取り入れやすいメディカルハーブティーの活用法についてご紹介しています。

前回の概要編で、メディカルハーブに含まれる植物化学成分(フィトケミカル)を上手に摂取することで、 人間も自身が本来持っている自然治癒力を増進させ、健康維持やアンチエイジング、免疫力向上に役立てることができるという自然療法的有用性について述べました。

また、メディカルハーブには、1種類でも数百種というフィトケミカルが含まれます。それら複数の成分が相乗的に作用して、一つの症状に対してだけでなく、心と体の両方に穏やかで複合的に働きかけます。

メディカルハーブは医薬品ではありません。どちらかというと、食べ物から栄養を摂取するように有効な成分を体内に取り入れるという考え方に近いでしょう。
多くのフィトケミカルはバランスよく働き、心身に穏やかに作用します。副作用も少なく、数時間で体外に排出されるので、たまに気が向いたら飲むとか一度にたくさん飲むのではなく、ハーブ「ティー」ですから、まさにお茶のように、私たちが普段から緑茶やコーヒーを飲むような感覚で、一日に何回か「自分の求める状態に応じた」ハーブティーを飲むようにすることで、安定的持続的な効果が得られます。健康や美容のベースアップが図れるということですね。

とはいえ、これまでとは異なる飲食習慣を身につけるのはなかなか難しいもの。そこで今回は、仕事などで多忙な毎日の中でも実践しやすいメディカルハーブティーの習慣化について、実際に私が生活で取り入れている方法を例にご紹介します。
前回記事もぜひ併せてお読みください。
●健康と美容をサポートする「美味しい」メディカルハーブティーライフ1 概要編

【習慣化のポイント1 】カスタマイズブレンドで楽しく美味しく!
メディカルハーブティーと聞くと、「苦かったり薬っぽい味だったりして飲みにくいのでは?」と思われる方も多いかもしれません。

いくら健康維持に有効な成分が含まれるといっても、思わずしかめっ面になってしまうような、自身で「美味しい」と感じられないものを生活習慣にして継続するのは難しいですよね。

メディカルハーブの中には、マテ茶やルイボスティーのように栄養補給や健康・美容・アンチエイジングをサポートするだけでなく、日常的に飲む「お茶」としても美味しいものもありますし、ジャーマンカモミールやペパーミント、ラベンダーやローズペタル(ガリカローズの花弁)など、アロマティックな「ハーブ」のイメージを実感させてくれる香りやフレーバーのものもあります。

その一方で、有用な成分を含んでいるけれども、ハーブティーにすると「イマイチ味がパッとしない」とか「正直美味しいとは思えない」というものもあるでしょう。
私個人の印象でいうと、免疫力向上作用で広く知られるエキナセアや、「植物性の精神安定剤」とも呼ばれるパッションフラワーなどは「味がパッとしない」ハーブ、不安や緊張の緩和をサポートするとされるバレリアンは「単体では匂いがキツい」と感じられるハーブです。

このように、効果が期待できるハーブでも、味や香りがちょっと受け入れがたいがためにハーブティーとして使えないのはもったいないですよね。
そういったハーブを美味しくいただくためにも、「集中したい」とか「良質な睡眠をとりたい」とか「美肌を意識して」など、まずは目的やテーマを念頭に置いた上で、単純に効果を期待するハーブと、同じ系統の作用を持つ、味や香りがよいハーブを組み合わせてブレンドしてみましょう。

上写真は、私が毎日午後の時間帯に飲んでいる「リラックスして仕事をしつつ、アンチエイジングも意識した」自作ブレンドハーブです。飲んでも美味しいのですが、茶葉の見た目も美しいでしょう!
味・香りを組み合わせることで、抵抗なくむしろ日常的に飲みたいと思える「健康・美容にもよく、かつ美味しい」メディカルハーブティーライフを楽しめますよ。

分量や配合を工夫して、ぜひ自分だけのお気に入りカスタマイズブレンドを見つけてください。
自身でブレンドするといっても具体例がないと分かりにくいかと思いますので、私自身が実際に飲んでいるブレンド例も別記事でご紹介します。
【習慣化のポイント2 】自分仕様のブレンドティーを作り置きすると便利!
数種類のハーブをブレンドするとなると、単純に作業量が増えますから、そうでなくても慌ただしい朝の時間帯などは、特に面倒に感じられるかもしれません。一回の手間はさほどではないものの、積み重なるとブレンド作業だけで結構時間を使うことにもなりかねませんよね。

そこで私は、飲みたい時にチャチャッとハーブティーを淹れられるように、求めたい効果に応じて「午前用」「午後用」「夕方~寝る前用」の3種類のブレンドティーをまとめて作り置きし、一日の時間帯に合わせて飲み分けています。

私はブレンド作業にもあまり手間や時間をかけたくないので、期待する効果や使うハーブについてはやや熟慮してレシピを決めますが、ブレンド作業自体は仕事の手が空いた時などにササっと行っています。

一例として、私が「心身のリセット、リラックス&良質な睡眠」テーマで飲んでいる「夕方~寝る前用ブレンド」の作業工程をご紹介します。

このブレンドで使用しているハーブは、ルイボスやカモミールやラベンダーなど8種類。味・風味の軸になるルイボスとカモミールは少し多めに、香りや風味がやや強いラベンダーとバレリアンは少なめにと、なんとなく頭の中でブレンドをイメージします。

次に保存容器ですが、私は100円ショップで手に入る上写真のガラス器を使っています。容量が600mlなので、その完成量のブレンド茶葉を作ればよいわけですね。使うハーブは8種ですから、単純計算だと600÷8=75ml平均で各種ハーブを混ぜればよいという目処が立ちます。

私の場合、一日の時間帯別に3種のブレンドをこの容器に作り置きします。結構なハーブ使用量になるので、より割安な業務用大袋のハーブを購入しています。

ハーブの混ぜ合わせ作業にはタッパーが便利です。ちなみに私は、上写真の1ℓ容量のタッパーを使っています。また、グラム数で量るのは手間が多く習慣化の妨げとなりやすいので、容量で量っています。

計量に使用するものはお米の計量カップで必要十分でしょう。ドライハーブは、粉砕した枯れ葉のように飛散しやすいものも多いので、タッパーのフタを敷いた上で袋から計量カップにハーブを移すと、仮にこぼれてもフタが受け皿になりテーブルに散らばらなくて便利です。

そのように味や風味を考慮して量の増減をアレンジしながら各種ハーブをタッパーに移していき、最後にスプーンで均質に混ぜ合わせて出来上がりです。

道具もご家庭にあるもので気軽に済ませるのが習慣化のポイントでしょう。
【習慣化のポイント3 】多忙な方やテレワークでも取り入れやすいハーブティーの淹れ方・飲み方
ハーブティーというと、午後のひととき、ティーポットと茶こし、砂時計を用意し、3分間抽出してゆったり飲むというフォーマルな淹れ方をイメージをされる方も多いかもしれません。

しかし、仕事や日々の用事で忙しい場合、そのようなスタイルでゆっくりハーブティーを楽しむのは難しい場合も多々あることでしょう。

穏やかかつ持続的に作用させたいメディカルハーブティーだからこそ、一日の多くの時間を過ごす仕事のシーンなどでも気軽に日常的な生活習慣として、ぜひ取り入れたいものですよね。
そこで、私が仕事をしている昼間の時間帯に取り入れているハーブティー活用法をご紹介します。

まず、移動が多かったり、「まったく手が離せない」忙しさのときは、市販のお茶パックに作り置きしてあるマイブレンドのドライハーブを入れ、タンブラーで携行してちょいちょい飲んでいます。

あるいは「まったく手が離せない」ほどではないオフィスでのデスクワークや在宅PCワークのときは、フレンチプレスで多めにハーブティーを作ってデスクに置いておき、都度マグカップに注いで、飲みながら仕事をしています。

メディカルハーブティーは、長時間お湯で浸出しても紅茶のように渋みが出すぎて飲みにくくなることはあまりないので、茶こしなどを使わなくてすむフレンチプレスやタンブラーは、ビジネスパーソンには便利なアイテムかと思います。
メディカルハーブを使用する際の注意事項
本シリーズでご紹介するメディカルハーブは、人類が薬草として使用してきた歴史もあり、比較的安全性の高いものですが、メディカルハーブに含まれるフィトケミカルは、元来、植物が強い紫外線や病害虫や食害から身を守って自然界を生き抜くために進化の過程で身につけた防具や武器のようなものであるとも言い換えられます。

植物だから安全というわけではなく、用法用量を守ることが肝要です。
下記注意事項もよく理解した上で、正しく・安全に利用しましょう。
【注意事項】
※メディカルハーブは医薬品ではなく、それを使用する行為は医療ではありません。治療目的で使用するものではないので、体調が悪い場合、気になる症状がある場合は必ず医師に相談しましょう。
※ハーブは安全性が高く、作用も穏やかですが、アレルギーや飲み合わせ等によっては使用に注意が必要なもの、使用できないものもあります。各ハーブの注意事項をよく調べてから使用しましょう。
※治療中の病気がある、服用している薬があるなど健康状態に問題のある方、妊娠中の方は、決して自己判断では使用せず、必ず医師に相談の上、ハーブを利用しましょう。
※ハーブの持つ効能や作用の現れ方には体調差・個人差や製品による差があり、同じ人が同じハーブを使用しても反応が異なる場合があります。
※子供や高齢者、妊娠中の方が使用する場合は、分量を減らす等、安全に注意を払ってください。
※ハーブを用いて作ったものは自身が製造者となります。自己責任で安全に活用しましょう。
ガーデンセラピーとしてのメディカルハーブティー
植物を多角的に生活の中に取り入れ、健康寿命を延ばしたり、日々の暮らしを心身ともに溌剌と健やかに過ごして人生の質を高めることを目指すガーデンセラピー。

ガーデンセラピーでは庭や植物の有効性を改めて確認し、さまざまな関わり方で心身を整え、健康な暮らしを実現する「住まい方療法」として「芳香療法(アロマセラピー)」「食事療法」「森林療法」「芸術療法」「園芸療法」という5つの療法をバランスよく組み合わせて、病気になりにくい健康的な生活や未病状態の改善、生活の幸福度の向上を実現させていきます。

味や香りなど植物が与えてくれるナチュラルな癒しを感じながら栄養素の補給や心身の不調改善に効果が期待できる植物成分を美味しく摂取できるハーブティーも、「食事療法」の大切な要素の一つです。
コーヒーや緑茶のように日常的な飲み物として生活に取り入れることができ、心身のさまざまな不調を整えるサポートとなったり、美容やアンチエイジング効果も期待できるメディカルハーブティー。老若男女問わず、人生の質を向上させる生活習慣として、ぜひ効果的に生活に取り入れたいですね。

メディカルハーブティーを楽しむライフスタイル 習慣化編、いかがでしたか。
ビジネスパーソンなど、ちょっとメディカルハーブティーを取り入れにくいなと思われている方々でも、今回ご紹介したような方法であれば、多忙な日常生活にメディカルハーブの作用を取り入れることができるのではないでしょうか。
では、次回からより詳細に、私が実際に飲んでいるブレンドの内容や各種作用に応じたメディカルハーブを具体的にご紹介していきたいと思います。引き続き、どうぞお楽しみに!

「良い習慣とは、法律よりも確かなものだ」
エウリピデス (Euripídēs 紀元前480年頃 – 紀元前406年頃)
Photo/3) ARTFULLY PHOTOGRAPHER 4) Johanna Muehlbauer5) alexkich 7) Syda Productions 9) GreenArt 9) Berke109) HandmadePictures 12)norikko 23) Chill Chillz 24) Branislav Nenin 27) Dream79 28) JurateBuiviene 31) myboys.me/shutterstock.com
Credit
写真&文 / 太田敦雄 - 「ACID NATURE 乙庭」代表 -

おおた・あつお/園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
NHK『趣味の園芸』講師。(一社)ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG)正会員デザイナー。ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー。日本メディカルハーブ協会 シニアハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。
「太田敦雄」公式ブログ https://note.com/acid_nature_0220
プロフィール写真/田中雅也
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