山林を自ら造成し、裏の森へとけこむような土地で花と緑に囲まれて暮らす北海道の山崎亮子さん。今回は、庭の果実を使った「キャンディス」の作り方を教えてくれました。キャンディス作りのきっかけは、不作の年に、貴重な実りをどう活かすか思案したことから。ささやかな実りも美味しく、長く、美しくいただく素敵なアイデアです。ベランダガーデンや鉢栽培で果実を育てている人にもおすすめです。
目次
簡単で、美味しくて、きれいなフレーバー氷砂糖「キャンディス」

「キャンディス」とは、もともとドイツ語で氷砂糖という意味です。ドイツの老舗デリカテッセン、ミヒェルゼンの「キャンディス」は、お酒や果物、スパイスなどさまざまなフレーバーがあり、日本でも数年前から大人気です。じつは、我が家も同じようなフレーバー氷砂糖を作っていて、氷砂糖とラム酒に季節の果物を漬けて作るので、以前は「ラムシロップ」と呼んでいました。あるときSNSでミヒェルゼンの「キャンディス」を知り、その愛らしい響きがとても気に入って、以来、我が家のラムシロップもキャンディスと呼んでいます。
紅茶などの温かな飲み物にひと匙加えれば、身体もホカホカ。ホットケーキなどにも手軽にかけて楽しめます。寒くなる秋から冬がおすすめのシーズンですが、暑い夏にはサイダーで割ったりアイスにかけるなど、季節を問わずに使えます。
漬ける過程でフレッシュな果実の色が溶け出し、色鮮やか。少量ずつ数種類作ると、インテリアとしても楽しめます。
作り方はとても簡単ですよ。さっそくご紹介しましょう。
自家製キャンディスの作り方
■出来上がり200~250mlの作り方です。
《用意するもの》
- 250mlのガラス瓶
- 氷砂糖 50g
- 好みの果物 50g
- ラム酒 (ホワイトラム) 50ml
おすすめの果物は、リンゴ、ベリー類、スライスした柑橘類や柑橘類の皮など。
《作り方》
- 瓶を煮沸消毒する
- 氷砂糖と好みの果物を瓶に入れる
- ラム酒(ホワイトラム)を入れる
写真は庭で収穫したジューンベリーを仕込んだところです。 - 瓶に蓋をして冷暗所で保存し、ときどき軽く振る。
入れた果物や気温などの条件によりますが、およそ2週間で氷砂糖がほぼ溶けきるか、これ以上は溶けない状態になります。

左は青リンゴ、右はジューンベリー。どちらも食材特有の香りと色が出てきました。シロップの完成です。
■もうひと押し! 氷砂糖そのものも楽しむ作り方

氷砂糖がたくさん残っていると、角砂糖のようにホットドリンクに入れる楽しみも加わります。甘いもの好きにはたまりません。
足す氷砂糖の量は、およそ50g弱。250mlの瓶の口まで。時々振りながら様子を見て、飽和状態になったら完成です。

■使い方のアイデア
《お菓子にかける》

アイス、ホットケーキ、厚焼きクッキー、シフォンケーキなど。
《飲み物に》
・紅茶やホットミルク(豆乳)に加えるのがおすすめ。冷えた炭酸にもよく合います。
《 その他 》
- お菓子作りの生地に練り込んで。
- ソテーの前の下味に、または仕上げのフルーツソースに。
…アイデア次第、いろいろ楽しんでみてくださいね。
■注意点

※ラム酒が使われているため、未成年やお酒の弱い方にはおすすめできません。また使用後の運転は避けてください。
※取り出すときは清潔なスプーンなどを使い、瓶に雑菌が入らないようにしましょう。
■ 中に入っていた果実は?
私が作ったキャンディスのリンゴは、茶色くシワシワで見た目は最悪になったものの、ラムレーズンのアップルバージョンのようで味は最高! いち早くホットケーキなどに入れて食べきってしまいました。
一方のジューンベリーは、色もキレイで見た目は最高! でも味と風味は全て出きったようで…映えるので飾り専用に。
果実によりけりでした。
ぜひいろいろな果実をアレンジしてみてください。
果樹の庭と共に楽しんで!

私は北海道の山で庭をつくって15年になります。
ガーデニングをこよなく愛していますが、果樹を植え、実りを夢見ても、生育不良や天候不順…やっと実ったら鳥がほとんど食べてしまったり…思うようにいかずガッカリすることも多いのが、ガーデニングであると感じています。

キャンディスを作り始めたキッカケは、そんな不作の年。ジャムに代わる自家製スイーツを模索し、ためしに梅酒に使うお酒をホワイトラム(ラム酒)に代え、氷砂糖を多めに入れてみたところ、色もキレイで風味もよく、お酒として飲むだけではない多様に使えるシロップが完成。
50gに満たないわずかな量でも作れますし、ラム酒と砂糖の防腐作用で長く保存がきく嬉しい一品になり、今回ご紹介させていただきました。鉢栽培やベランダガーデンなどで果実栽培を楽しむ方にもおすすめです。

今年キャンディスを作ったのは夏だったのに、いつしか厳冬期に…。
長く楽しめるひと瓶が、季節が変わってなお美味しさを運ぶとき、収量がいかほどだったかは意味を成しません。そこにあるのは、緑や花と共に季節の移ろいを感じる喜びです。
大地が12~3月まで雪に覆われ、緑生い茂る季節は年に半分ほどの北海道ですが、かたわらにいつも庭を感じて暮らしています。
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