貴方の帰りを待つ、静と動の白い花たち 春夏秋冬 旬の花を探しに Vol.34
フラワーショップ「Bear(ベア)」の熊坂英明が届ける、花の最旬ニュース。花市場で出合った旬の花からセレクトした、珍しかったりおもしろかったりする花やグリーン、実ものを、独自の視点で語り、紡ぎ、ブーケやアレンジで紹介していきます。
目次
夜に浮かび上がる真っ白な花

閉店後に毎日花を飾る
そのために作るものもあれば
翌日のご注文のものだったり
飾るものは大きさも色も様々
真っ暗な店内でスポットを浴びる花は
ポッと浮かび上がり
地下鉄が到着するたびに
帰路へと急ぐ人たちを待っている

夜が更けるにつれ
灯りが乏しくなる商店街を通り
ふと飛び込んでくる
花の色やシルエット
もちろん気がつかずに通り過ぎてゆく
人たちも多いだろう
何気なく光の方向に目を移したとき
花たちが貴方が帰ってくるのを
待っていたことに気がつく
立ち止まらなくていい
通りながら
スッと目を横にスライドすればいい
そんな瞬間を花たちは待っている
静と動
植物の動きはゆっくりだ
僕らからすれば止まっているように
見えてしまうかもしれない
故に僕らフローリストは
動きのあるものを探している
曲がったもの
伸びていくもの
しな垂れるもの
巻きつくもの

花には意志があって動いている
そんなことを感じて欲しいと思っている
上に伸びたアリウム(ネギの仲間)は
”動”を感じさせてくれる

それに対し真っ白なファレノプシス(胡蝶蘭)は
磁器のようでキリッとした”静”の印象

こんな意外な組み合わせが
面白い
単純だけどただ胡蝶蘭が
飾ってあるのとは違う
何かを感じてもらいたいという
思いが誰かに届いて欲しい
そんなことを表現できる
植物に出会えることが
楽しいからやめられないのだ
Credit

熊坂英明
『ベア(Bear)』主宰。1997年より家業の生花店(東京・方南町)を継ぎ、短期渡欧や独学でヨーロピアンデザインを学ぶ。色、香り、形などで本質を感じる“花”をコンセプトに、多種多彩な花を品よく紡ぐスタイルが人気。黒と茶でまとめられたシックでスタイリッシュなショップには、同じ花でも季節によって産地を使い分ける、こだわりの花が並ぶ。ウエディングやディスプレイなども手掛けるほか、旬のおすすめ花を本サイトで発信中。
http://www.fs-bear.com
https://www.instagram.com/bearflower_scape
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