冬至には、ユズと運気アップの黄色のグロリオサを | 花のある週末、はじめませんか Vol.21

こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?
目次
12月のおすすめは「グロリオサ」
12月のウィークエンドフラワー.その2/グロリオサ(和名:狐百合、百合車 英名:Glory lily、Fire lily)
●原産国:熱帯アジア、アフリカ
●主な生産地: 高知県、愛知県 ほか
いよいよ今年も余すところ10日あまり。花屋さんの店頭には、クリスマスの花々のなかに、お正月のお飾りやアレンジがお目見えして、和洋折衷のなんとも日本的な年の瀬の様子です。
今年は、12月21日が二十四節気の「冬至」。冬至といえば、ユズ湯とカボチャ!
冬が旬のユズは、この時期、特に香りが強く、その強い香りが邪気を遠ざけるとされています。そのため、ユズ湯には厄払いの意味があるそう。ユズ自体には、「長年の苦労が実りますように」との願いが込められています。これは、ユズが実るまでに長い年月がかかることから。
また、冬至には「ン」のつくものを食べると「運」が呼び込めるといわれています。カボチャの別名は南瓜(ナンキン)。ダイコン、レンコン…など「ン」のつくものを運盛りといい、縁起をかついだのです。
手元にあるユズは、すがすがしさと甘さがブレンドされた、柑橘の素晴らしい香り…! 冬の癒やしの香りですね。ユズ湯は血行をよくし、カボチャには風邪予防の栄養素がたっぷり。寒い冬を健康に過ごす、先人の知恵でもあります。
今回は、そんな冬至のユズと合わせて、黄色のグロリオサ‘ルテア’をチョイス。そして、寒いなかで初春を予感させる「黄色」はなんとも福福しく。マツなどをプラスすれば、お正月の花になります。今回の後半では迎春アレンジも紹介しますね。

グロリオサというと、のびやかに広がるさまと、ユニークな波打つ花形が印象的。初めて見たときの驚きは、いまでも忘れられません。朱赤色が一般的ですが、今回の‘ルテア’のような黄色や、珍しいピンク、白の淡色系は品があって人気があります。
ほぼ一年中出回りますが、立派な花姿から、贈呈用や大きなアレンジのための花、といった印象をもっているかたも。自宅に気軽に飾るイメージではないかもしれませんね。年末に向けて出荷は最盛期を迎えますので、お正月ムード漂ういまの季節に、長いままさらりと1本飾るだけでも、部屋が瞬時に華やいで、おすすめです。
グロリオサの名称は、ラテン語の「gloriosus:見事な」が語源。鮮やかにそり返る花弁、燃えあがるようなフォルムが醸す生命力から、“炎のユリ”とも呼ばれます。高知県産が有名で、品種・品質ともに世界一と賞賛されるほど。輸出が盛んにおこなわれ、世界中で愛されています。
グロリオサは、葉の先端にあるくるりとした巻きひげで、周囲のものに絡まりながらつるを伸ばす性質があります。切り花になった状態でもこの巻きひげは、まるでカメレオンの舌のようにピュルーっと絡まります。絡まったときは無理に引っ張らず、やさしく離してあげてください。
ルテアを主役に、運を呼び込む冬至の黄色アレンジ

■材料(花材費合計=1500~2000円)
●花材(画像下・左から)
*グロリオサ‘ルテア’/2~3本
*キク/2本
*ヒノキの枝/適量
※画像右の‘ルテア’は小分けにカットした一部の花
●器について
今回は黒い陶器のピッチャーを、花器として使用。寒い季節は、手のぬくもりを感じる陶製の器が心地よく感じます。ピッチャーという形状は本当に花飾りの強い味方で、いける花の種類を選ばず、ざっくりといけただけでも、なんとなく様になります。
ピッチャーは、枝ものや重量のある素材でも安心できる、どっしり感がよいですね。さりげない日常の花飾りにも素敵ですし、マツやセンリョウ、キクなど、迎春の伝統的な花材を受けとめてくれる、懐の深い器です。和風になりすぎず、人気の北欧テイストのインテリアにもマッチして、程よくモダンな印象。

●コーディネイトについて
花を活けた器の下には、トレーやプレースマットなどを敷くと「しつらえ感」が増します。今回はユズの黄色に合わせて、黄色のフェルト製マットを使用しました。寒い日にはほっこりと、ユズ柚茶を楽しむのもよいなあと思い、ユズ茶を楽しむひとときを演出しています。冬のテーブルは、ぬくもり感をテーマに、コーディネイトするのがおすすめです。
■3ステップでアレンジ
① グロリオサの‘ルテア’は、花丈が長い状態で販売されています。まずは、器に合わせて長さをカットしましょう(器の高さの約2倍くらいの長さ)。その際、茎の下のほうに咲いている花は脇枝でカットし、その花もアレンジに使用します。
② ピッチャーの七分目くらいまで水を入れ、切り花鮮度保持剤を適量入れます。グロリオサは花があちこちの向きに広がって咲いていますので、花同士がぶつかったり絡まったりしないように気をつけながら、2~3本あしらいます。①でカットした花は、器の口元に挿して、口元がスカスカにならないようにしましょう。
③マグカップに、ヒノキの小枝と、短くカットし水に浸かる部分の葉を取り除いたキクを小さくあしらい、並べます。白い雪玉のようなポンポン咲きのキクで、冬至のテーマにクリスマス感をちょっぴりプラスします。

■グロリオサを長く楽しむコツ
*花弁に傷や折れがなく、花粉のふいていないものを選びましょう。
*水だけでも日もちしますが、切り花鮮度保持剤を使うとさらに長く楽しめます。
*寒さに弱いので、寒すぎない場所に飾りましょう。
マツやランと! ゴールドカラーで華やぎの迎春アレンジ
同じ黒いピッチャーを使っての、応用編です。
迎春の花といえば、マツ、タケ、ウメ、センリョウやナンテンなどの縁起ものたち。オンシジウムなど華やかなランや、かわいらしいキク、早春の香りがするニホンズイセンがおすすめです。それらの花であしらう迎春のアレンジに、グロリオサのルテアもぴったり! 羽子板のコマのような花が、華やかで愛らしいアクセントになります。

■材料(花材費合計=2000円前後)
●花材
*根引きマツ/1本
*オンシジウム/1本
*グロリオサ‘ルテア’/1本
*シラタマツバキの枝/1本から適量カット
(右側の黒い木皿の上は、ナンテンの実とシラタマツバキの小枝、水引)
■3ステップでアレンジ
① 根引きマツを器の高さの2倍ほどの長さにカットして、美しい向きを探しながらあしらいます。
② シラタマツバキの枝を小分けにカットし、器の口元にいけます。
③ 最後に、器から流れるように、オンシジウムとグロリオサ‘ルテア’をそれぞれあしらいます。
おせちや初詣など、お正月には「縁起」ごとがたくさんあります。花飾りの場合は、花選びだけでなく、“飾るタイミング”がとても重要です。それらについては、次回改めて説明しますね!
冬至は、一年でもっとも日が短い日。もっとも短いということは、翌日から日が長くなっていくということ。古くから中国や日本では、冬至を境に、太陽が再び甦り運が向いてくる=「一陽来復」という考え方があるそうです。
というわけで、冬至は上昇運に転じる日。黄色の花を飾って、ほっこりおいしいカボチャを食べて、ユズ湯でリラックス。来る新年に向けて、運を呼び込みましょう…!
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。
Credit

小川典子
(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/
「WEEKEND FLOWER」 http://www.floweringjapan.com/weekendflower/
インスタグラム、@weekendflower_official
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