小さなジオラマの世界で楽しむクリスマス

フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスン。クリスマスが近づく今回は、みずみずしいコニファーとクリスマスアイテムを組み合わせた、ジオラマ風のアレンジを教わります。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。ちょっとしたコツと自由な発想で、アレンジメントが楽しく、上手になりますよ。
ジオラマ風のアレンジ

今年のクリスマスは、ジオラマ風のアレンジを!
ジオラマは、風景を立体模型で表現したものです。商店街や住宅街、電車の走る街などの光景を再現したジオラマを思い浮かべる方が多いかと思います。
この時期になると、教会にはキリストが誕生した時の様子を聖母マリアさま、天使、羊飼いなどを並べて表現した、プレゼピオといわれるジオラマが飾られます。私はミッション系の学校に通っていたのですが、中学一年生の時に初めて校内のチャペル入り口にプレゼピオなるものを見て、こういうものがあるのだなと興味深く感じました。その昔は、聖書を読めない子供たちのために、プレゼピオでキリスト降誕の物語を伝えたのだそうです。
宗教的なジオラマだけでなく、クリスマスシーズンを再現した街並みのジオラマは、世界中で楽しまれています。コレクターは、毎年少しずつ買い足して街並みを作っていきます。クリスマスマーケットに行くと、ツリーに飾るオーナメントに並んで、ジオラマ用の小さな家やトナカイなどのフィギュアが売られています。

そこで、今年のクリスマスは、フレッシュコニファーとクリスマスアイテムを組み合わせて、ジオラマ風のアレンジをしてみませんか。家にいながら、”静かな森の中で過ごすクリスマス”な気分に浸りたいと思います。
ジオラマ風のクリスマスアレンジの作り方

材料
- コニファー ブルーバード
- コニファー ブルーアイス
- LEDライトのハウス
- キャンドル
- 白樺の切り株
- 松かさ
- 山ごけ
- トレイ直径30cm
- オアシス
- セロファン
コニファーのフレッシュグリーンは、ヒムロスギやモミの枝など、手に入るもので。
LEDライトのアイテムは、雑貨店やネットショップに可愛らしいものはたくさん揃っていますね。お気に入りのものを選んでください。
本物のキャンドルも素敵なのですが、火を使わないLEDライトのキャンドルは点けたままでも安心です。
今回は、他のクリスマスアイテムを、松かさ、白樺など自然素材で揃えました。
作り方

トレイの中の小さなスペースに、イメージを膨らませて楽しい世界を描いていきましょう。
- ベースとなるトレイにセロファンを敷いて、オアシスを敷き詰める。
- トレイから出る余分なセロファンをカットする。
- 大きなアイテムを配置する。
オアシスが濡れているので、セロファンなどを敷くなどしてカバーする。
- コニファーなどのフレッシュグリーンを挿していく。
- アイテムの後方は、背を高めにしたり、手前やサイドは短くしたり、森をイメージしてグリーンを入れる。
- 松かさの下や手前などには山ごけを敷く。高さ調節のために、オアシスを小さくカットして使う。
- 完成!

オアシスに水を含ませますが、グリーンを挿す場所だけに水を含んだオアシスを使うようにしてもいいですね。
また、コニファーは水がなくても、そのままドライになっていきますので、オアシスに水を含ませなくても大丈夫です。フレッシュさを持続させたい場合は、水が切れないようにしましょう。

飾る時には明かりを灯して。


ウィーンのモミの木売り

クリスマスシーズンにウィーンに行ったときのこと。
ウィーンの旧市街は、全周5.3kmのリング通りで囲まれています。リング通りはかつて城壁のあったところで、現在は車道とトラムが走っています。リング内には、市庁舎、オペラ座、ホーフブルク宮殿、ウィーン楽友協会、シュテファン大聖堂など、重要な観光スポットが集まっています。

そのリングの真ん中に、クリスマスツリー用のモミの木売り場がありました。大小さまざまなモミの木がずらりと並び、まるで森のようです! これだけのモミの木が全部売れてしまうとしたら、すごい! やはり西洋の人々のクリスマスにかける想いは、もちろん歴史もあるし、日本とはベースが違うのですが、本物だなと感じさせられました。
こういうモミの木売り場が、ヨーロッパ、北米と南米、いえいえ世界中にあるでしょうから、モミの木は一体どのくらいあれば足りるのかな、森は丸坊主になってしまうんじゃないのかなとも考えてしまいました。


モミの木を買った人は、網をかけてもらい持ち帰っていました。その網をかけるマシンもずらりと並んでいます。こんな光景も、ヨーロッパのクリスマスシーズンならではです。
ジオラマの小さな世界に

私が住んでいたブダペストの家は、丘の中腹にありました。周りは住宅地で、大きな家にも小さな家にも、広い庭があって大きな背の高い木が立ち並んでいました。向かい側は、煙突のある小さな家でした。モクモクと煙がでているのをよく見かけました。暖炉がある家は憧れです。暖かい暖炉のあるリビングに、素敵なクリスマスツリーが飾られているのかな、なんて想像しました。

暖炉のある家、モミの木がスッと伸びる庭、静かに雪が降り積もる街。今年は小さなジオラマに素敵な妄想クリスマスを詰め込んで、そっとワクワク楽しみたいと思います。

Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/