深まりゆく季節に、バラの秋色アレンジを愉しむ

フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスン。季節の花をサラリと活ける感覚を身につけて、素敵な大人になりましょう。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。ちょっとしたコツと自由な発想で、アレンジメントが楽しく、上手になりますよ。今回は、バラの秋色アレンジ。カヌレを求めるフランスへの楽しい旅のお話も!
秋色を楽しむ

「山粧う(やまよそおう)」という言葉がぴったりの、紅葉の美しい季節となりました。
気象サイトによると、今秋は適度な日照と雨、気温低下が見込めることから、全国的に鮮やかな紅葉が期待できるそうです。楽しみですね。桜前線と同じように、紅葉前線を気にされている方も多いのではないでしょうか。
紅葉の名所だけでなく、街路樹も、庭の植物も、フラワーショップの店先も、この時期はこっくりとした秋色に染まります。街粧う、庭粧う、といったところでしょうか。
フラワーショップには、鮮やかなバラやダリア、そして紅葉した枝ものや葉もの、真っ赤に色づいた実ものがたくさん揃っています。いつものアレンジに、紅葉した枝を一本添えるだけで、すてきな秋色のアレンジになります。お部屋でも深まる秋を満喫しましょう。
組み合わせた花

- ユキヤナギ
- 赤紫千日紅
- ビバーナムコンパクタ
- バラ‘ピーチアバランチェ’(アプリコット色)
- バラ‘スイートアバランチェ’(淡いピンク色)
その他、庭のハナミズキの葉などを少し入れました。
バラに、フレッシュなグリーンの葉を組み合わせると、春から初夏の瑞々しいアレンジメントになります。今回のように、紅葉した葉や赤い実ものを合わせれば、同じバラを使ったとしても、今の季節の雰囲気のアレンジになります。
合わせる葉や枝もので季節感を出せるのも、フラワーアレンジメントの楽しいところです。
バスケットにアレンジしてみましょう
- バスケットの中に、落とし(プラスチックのカップなど)を入れます。大きなものがなければ、小さなものをいくつか入れてもよいでしょう。または、オアシスを使っても同じようにアレンジできます。
- バスケットの持ち手が動くものでしたら、枝の切れ端を取り付け部分に差し込んで固定しておくと、邪魔にならず作業がしやすいです。
- 枝ものから入れます。
ユキヤナギ、赤紫千日紅で、だいたいのベースを作ります。
すべての茎はが一つの場所(支点)から出ているように入れると、まとまりよくできます。
この場合は、器の右上奥の角。 - バラを入れます。
一番手前、バスケットの縁に花首がかかるようにすると、器と花が安定した印象になります。
高低差をつけて、デコボコになるようにすると立体感が出ます。バランスよく全体に入れます。
支点は枝ものと同じです。 - ビバーナムコンパクタを入れます。
- ハナミズキの長めの枝を左側に追加して、横長のスタイルに。

紅葉の季節にカヌレ・ド・ボルドー

紅葉の季節には、栗も大好きなのですが、私はどうしても、カヌレを思い出します。濃い焦げ茶色、また黒にも見える深い色といい、どっしりと重厚そうで、力強い雰囲気。飾りっ気がなく、素朴でシンプルなフォルム。深まりゆく秋の風情が漂っている感じがするのです。

カヌレは、正式には「カヌレ・ド・ボルドー」といいます。フランスのボルドー女子修道院で古くから作られていたお菓子です。カヌレ型と呼ばれる小さな型の内側に、蜜蝋を塗って焼きます。外側は黒めの焼き色がつき、少し固く香ばしくて、中はもちっとして柔らかい食感です。バニラとラム酒の香りがふんわりと口に広がって、美味しいんですよね。私の大好きなお菓子の一つです。
ボルドーは、フランス南西部の都市。世界で最も有名なワインの生産地です。ここで「カヌレ・ド・ボルドー」は誕生しました。ボルドーでは、ワインの澱を取り除くときに卵白を使用していました。その際に大量の卵黄が余り、その利用法としてこのお菓子が考え出されたという説があります。

私は15年ほど前に、このボルドーを旅行してきました。美食家でワイン好きの友人夫妻に誘われて、3泊4日のワイン旅を楽しみました。当時住んでいたブダペストからパリを経由してボルドーへ入り、すでに旅行中の友人夫妻と合流して、レンタカーで有名なシャトー巡りをしました。

シャトー・ラ・トゥール、マルゴー、ラフィット、レオヴィル・ラス・カーズ、ベイシュヴェル、などなど。小説にも、映画にも登場する名高いシャトー。もうその佇まいは圧倒的な風格があり、私などが足を踏み入れてはいけないような雰囲気すら感じました。

周りは広大な田園風景が広がり、高級ワインのイメージそのまま、優雅で洗練された豊かな土地だと思いました。ブドウの収穫はすでに終わっていて、畑には取り残しのブドウが、ひと房ふた房ついているだけでした。もしかして、この残りのひと房は、木守のため? 鳥のため? かも…なんて、日本の木守柿(きもりがき/来年もよく実るようにという祈りを込めて、木の先端に一つ二つ取り残しておく柿の実。小鳥のためともいわれる)のことが頭をよぎりました。

美味しいワインの地には、美味しい料理あり。ということで、何やら美味しいお料理もたくさんいただきました。

そして、私のこの旅行の楽しみの一つは、本場ボルドーで「カヌレ・ド・ボルドー」を食べること! 現地にはたくさんのカヌレ専門店があるのかなとウキウキ想像していましたが、あまり賑やかな市街地に行かなかったせいもあり、カヌレのお店を見つけられず、ベラルドラン(BAILLARDRAN)というチェーン店を見かけただけでした。でも、カヌレはとても美味しく、「ボルドーでカヌレを食べた!」と大満足したのでした。

皆さんも、テーブルにお花を飾って「カヌレ・ド・ボルドー」をティータイムに楽しんでみませんか?
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
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