愛犬のおやつに、手作り甘酒(甘麹)のビスコッティ
ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さん。愛犬あんのために、ご飯やおやつを手づくりしています。今回ご紹介するのは、秋の夜長に愛犬と飼い主さんが一緒に楽しめる甘酒ビスコッティ。あんのおやつをめぐる、海野さんとお父さん、あんの関係も注目です。
目次
愛犬のおやつに甘酒(甘麹)を使って
いつまでも残暑が厳しかったけれど、ようやく過ごしやすい陽気となりました。食欲の秋の到来! なはずですが、人間も犬も、少々夏の疲れが残り、美味しい季節なのにやや食欲不振気味です。
そんなときは甘酒が効果を発揮すると聞き、さっそく手作りしてみました。
匂いに敏感な犬は、甘酒の独特な香りがちょっと気になるようですので、甘酒入りのビスコッティに。
ビスコッティは「2度焼きした」という言葉が語源の、ザックザックな食感が楽しい硬めの焼き菓子。お砂糖の代わりに甘酒でほんのり甘くして、米粉と豆乳、くるみを混ぜて優しい味に仕上げました。
おやつタイムに、素朴で香ばしい手作りビスコッティを愛犬と一緒に、どうぞ。
甘酒(甘麹)の魅力
今回は、甘酒(甘麹)をお砂糖の代わりにしました。
甘酒は、米麹とお湯で作ります。麹の酵素アミラーゼにより米のデンプンが糖に変わり、甘味が出ます。この甘酒がアルコール発酵すると日本酒になります。
甘酒は、ビタミンBや食物繊維、オリゴ糖などたくさんの栄養素がバランスよく含まれて「飲む点滴」ともいわれます。身体への吸収率が高く、酵素の働きにより免疫力の活性化や整腸作用などの効果が期待できると近年大注目の食材です。
甘酒は、米麹と60℃のお湯を1:1の割合で混ぜ、一定温度で長時間発酵させて作ります。お粥や炊いたお米を合わせて作るタイプもありますが、米麹とお湯だけのものは、濃厚で甘味が強いので、「甘麹」といわれます。お料理やお菓子作りに、お砂糖の代わりに使うこともできます。優しい甘さとコク、それにお菓子などをふっくらさせる効果もあって、とても優れた食材です。
犬にとって甘酒は?
甘酒は犬にとっても嬉しい食材です。なんと、犬用の甘酒も販売されているくらいなんですよ!
甘酒に豊富に含まれているオリゴ糖や食物繊維は、腸内のビフィズス菌の働きを高めて、お腹の調子を整えてくれます。ビフィズス菌が減ってくるシニア犬や、体力を消耗した時、食欲不振なときなどに、甘酒を用いるとよいとのことです。
ただし、甘酒は糖質が多いので、与えすぎは肥満になりますし、腫瘍のある犬には与えてはいけないなど、注意することもあります。
また、甘酒でも、酒粕を使ったものはアルコールが含まれていますので、与えないようにしましょう。
我が家の愛犬あんは、時々便秘気味になります。甘酒を薄めにして与えてみるのですが、やはり少し独特な香りが気になるようで、あまり積極的に口にしません。調理するときにほんの少し加えたり、お菓子に入れるという方法で摂ってみるところから始めようと作ったのが、この甘酒ビスコッティです。
甘酒ビスコッティの作り方
甘酒ビスコッティの材料
<甘酒(甘麹)>
- 米麹 300g
- 60℃の湯 300g
<ビスコッティ>
- 甘酒(甘麹) 40g
- 米粉 100g
- ベーキングパウダー 3g
- 卵 1個
- 菜種油 大1
- 豆乳 15g
- くるみ 30g
市販の甘酒を使う場合は、濃縮タイプのものを選んでください。
中に入れるくるみなどナッツ類は、アレルギーがある場合もありますので、様子を見て注意して使ってください。
また、レーズンは絶対に入れないように注意してください。
その他のドライフルーツも、砂糖が添加されていないものがいいですね。
それでは、まずは甘酒(甘麹)から作ってみましょう。
材料は、米麹と60℃のお湯。1:1の割合です。お粥や炊いたご飯を入れる作り方もありますが、この1:1の割合で作る方法は簡単で、濃いめの甘酒になります。
ポイントは、60℃のお湯を混ぜることです。
甘酒(甘麹)の作り方
- 米麹を手のひらで拝むようにすり合わせてほぐします。
- 60℃のお湯を入れて混ぜます。この段階ではまだサラサラしています。
- 発酵器(カモシコ)に入れて、60℃6時間にセットします。
- 6時間後、もったりした感じになっていれば出来上がり。とても甘くなっています。
- ブレンダーで滑らかにします。
- 瓶に入れて保存します。
この分量で、ジャム瓶に3個分できます。
続いて、ビスコッティを作りましょう
甘酒ビスコッティの作り方
- くるみをオーブントースターなどでローストして、砕いておきます。
- 米粉とベーキングパウダーをボウルに入れて、泡立て器で混ぜます。
- 別のボウルに、卵、菜種油、豆乳、甘酒を順番に入れて、そのつどよく混ぜます。
- 2の粉のボウルに、3を入れてゴムベラで軽く混ぜます。
- 粉気が残っているところへ、砕いたくるみを入れて、ゴムベラで混ぜます。
- 天板に厚さ2~3cmくらいにして広げます。
- 180℃に熱したオーブンで15~20分焼きます。
- 取り出して、約2cmの幅にスライスして再び天板に並べます。
- 150℃のオーブンで15分焼きます。
父が選ぶあんへのおやつ
昨今のペットのおやつというと、肉系、魚系、クッキー系、ベジフルーツ系、健康機能性おやつなど、人間並みに豊富に売り出されています。
それに加えて、手作り派の飼い主の方も多くいます。いつも散歩で会うジャックラッセルテリアのSちゃんの飼い主さんは、鶏ささみジャーキーを手作りするために「ジャーキーメーカー」を買ったと話していました。
おやつも朝晩のごはん同様に、安全・安心なもの、美味しいもの、楽しみになるものを選んであげたいと、どの飼い主さんも思っていることでしょう。
もちろん私も、原材料はどこの何か、とか、添加物は入っていないか、など、しっかりチェックします。
こんなふうに、あんのおやつ選びに神経を尖らせているのですが、(困ったことに!?)父が何やらたくさんのジャーキーを買ってきてしまいます。
父も大の犬好きで、以前一緒に暮らしていた犬たちにも、ミルクパンだの、犬クッキーだのを買ってきたものでした。
父は、新東名高速道路をよく使います。途中、駿河湾沼津というサービスエリアに立ち寄るのが楽しみだとか。ここにはドッグランがあり、併設してペットショップもあります。おやつ、ウエアー、おもちゃなど、とてもたくさんの商品が揃っていて、父はこのお店で、あんのためのおやつを買ってきます。
機嫌が良いのか悪いのか、いつも様子を窺わないといけないような気難しい父が、どんな顔をして犬のおやつを選んでいるのかと、ペットショップのおやつコーナーの前に立つ父の顔を想像すると、ニヤリと可笑しくなります。
私は日頃から、「今どきの犬は、健康志向が強いんだからね。体にいいものじゃないとダメよ。」と説明してあるので、きっと父なりに「安心なもの、体によさそうなもの、あんが喜びそうなもの」を選んでいるようではあります。
つい最近では、馬肉の堅めのジャーキーと、柔らかタイプの鶏ささみジャーキーを買ってきました。
一応、「無添加」「自然派おやつ」などの文字もありましたから、私のおやつの考え方を承知してくれているようです。
父が買ってきたジャーキーをあんに与えるときは、「美味しいね〜、嬉しいね〜」と、父にしっかりと聞こえるように、大きな声であんに話しかけることが重要です。
あんもそのあたりのところを心得ているかのように、嬉しそうに食べてくれます。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
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