レモングラスの「葉」と「茎」を楽しむ2種のレシピ【ルーシーのおいしい暮らし】
タイ料理やベトナム料理などでおなじみの「レモングラス」。アジア料理には欠かせない、風味付けのハーブです。育てやすく香りも豊かで、料理やハーブティー、アロマセラピーに大活躍。今回は、そんな心と身体に嬉しいハーブ、レモングラスの葉と茎を丸ごと楽しむ2種類のレシピ「レモングラスのフレッシュハーブティー」と「ベトナム風レモングラスの竜田揚げ」を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。
目次
レモングラスとは
東南アジアでよく使われているハーブ「レモングラス」。トムヤムクンやグリーンカレーがお好きな方には身近なハーブかもしれませんが、なかなか日々の食卓に登場するチャンスは少なめ。名前だけ聞くと果物のレモンを想像してしまいますが、レモンとは何の関係もございませーん! 紛らわしいですね。ちなみにレモングラスは、イネ科の多年草です。
じつは私、レモングラスの栽培は今回が初めて。
2020年の4月頃、株分けされた20cm程のレモングラスを数本いただいたのが初栽培のきっかけ。畑に植えてみたら、まるで「ジャックと豆の木」のようなスピードでグングン育つので、ハラハラドキドキ。
どこまで大きくなるのかと不安でしたが、大体1.5〜2m近くまで育つようです。ハーブって基本的には雑草のようなものなので、ある程度適当に育てても大丈夫。放っておいたら立派に茂りました。
とはいっても、初めてのレモングラス栽培。育て方などは、以下の記事を参考にしました。
見た目がススキやチガヤに似ているからなのか、どことなく地味なルックス。隣の畑のおじさんに「ススキか?」と聞かれてしまいました。とほほ。
自分で育てる特権は、普通のスーパーでは売っていない、この茎の部分! 私、ここが好きなのです。トムヤムクンやグリーンカレーでは、香り付けのためにレモングラスの「茎」を使うので普通は食べません、固いし。でも後ほどご紹介するレシピでは、この茎の部分も一緒に美味しくいただきます。
レモングラスの香りと効能
その名の通り、レモンのような香りがする「草」なので、レモングラスという単純な命名がされています。
レモンの香りがする理由は「シトラール」という芳香成分が含まれるから。レモングラスには、このシトラールが本家のレモン以上に含まれているため、レモンよりも強く鮮やかでビビッドな香りがします。
レモングラスの香りは、「あ、虫除けの香り!」とイメージする方も多いでしょう。シトラールには虫が嫌がる「昆虫忌避作用」があるので、虫除けスプレーやアウトドア用キャンドルに配合されているのです。
インドやスリランカでは、数千年も前からハーブティーとして飲まれていたようです。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、レモングラスは「身体の中から過剰な熱を取り除く」効果があると考えられ、「冷やすハーブ」として感染症治療や解熱にも使用されてきました。
レモングラス精油には「鎮痛作用」や「血行促進作用」があるので、アロマトリートメントでは、筋肉痛や肩こりのほか、むくみや冷え性のケアとしても頻繁に使われています。
また、「抗菌&抗ウィルス作用」もあるので、このご時世にはぜひ覚えておいてほしい、生活に役立つ精油の一つです。
レモングラスの香りは、エネルギッシュで爽快!過度の興奮状態や神経過敏で「交感神経」のスイッチが切れないときに嗅ぐと、パチン! と指を鳴らすように「副交感神経」へとチャンネルを切り替えて、リフレッシュさせてくれるんです。
「鎮静作用」を持ちながらも精神を高揚させてくれるので、「気分が乗らないわぁー」ってときや、「さぁ!ここ一番の大勝負!」ってときにもイチオシ。仕事や人間関係の悩みから、頭の中をいつも同じ光景や不安がグルグル、思考がパターン化しているときにも頼れる精油なのです。
もしレモングラス精油をお持ちなら、ホホバオイルなどお好みのキャリアオイルで希釈して、「セルフケア用オイル」を作ってみてはいかがでしょう?
おやすみ前に「心と身体」のセルフケアタイム。キャンドルの光の中、レモングラスの香りに包まれ、オイルを使って自分の手足をモミモミ。翌朝には「心と身体」がすこーしだけ軽くなるはずです。多分。
※レモングラス精油は高濃度で使用すると皮膚刺激があるので、敏感肌の方は注意が必要です。妊娠初期は使用を避けてください。
いつもお伝えしていますが、私の勝手な見解によると、心地よいと感じる香りは、あなたが「今」必要としている香り。いちいち効能を難しく考えるなんてナンセンス! ブルース・リーも言っているわ、「Don’t think! Feel」ってね。大げさな知識がなくても、大丈夫。ぜひ気軽にアロマを生活に取り入れてみて下さいね。アチョー!!
さて今回は、セルフケアはさておき「美味しくハーブを楽しみたい!」派の食いしん坊なあなたに捧げる2種のレシピをご紹介します。レモングラスの「葉」の部分を使った「フレッシュハーブティー」と、「茎」の部分を使った「ベトナム風竜田揚げ」。
どちらも簡単&デリシャスなのです。
レモングラスのフレッシュハーブティー
フレッシュなレモングラスの「葉」を簡単に楽しむには、ハーブティーがぴったり! レモングラスには「消化促進作用」があるので、胃腸の調子が悪い日や食べすぎた日にもおすすめです。ポットの中で泳ぐハーブたちが美しく、心も身体もプリンセス気分でリラックス。同じ材料でお水に1時間ほど漬け込めば、ハーブウォーターとしても美味しくいただけます。
材料
- レモングラスの葉 適量
- ミントやバジルなど 適量
- レモンスライス お好みで1〜2枚
- お湯 適量
作り方
- レモングラスの葉を適当な長さに切り、軽く揉んでからポットに入れる(揉むことで香りが出やすくなります)。
- レモンはスライスにして、バジルと共に①のポットに入れる(今回はホーリーバジルを使いました)。
- 熱湯を注いで完成。
もちろんノンカフェインなので、就寝前にもよさそう。レモングラスだけでも美味しいですが、他のハーブと組み合わせることで味に深みが出ます。ミントやバジルなどお好みのハーブでお試しください。
ルーシーのベトナム風レモングラスの竜田揚げ
お家で「エスニックな物が食べたいなー」って時に、おすすめしたいのがこの竜田揚げ。このレシピでは、レモングラスの「茎」の部分を使い、鶏肉をナンプラーやライムでマリネした食欲そそる一品です。お米やビールとの相性もバツグンで、作り方も簡単!
スーパーなどでレモングラスの葉は売っていても、茎の部分はあまり見かけません。アジア系の食材屋さんでは茎を売っていますので、育てていない方もぜひ探してみてください。もしレモングラスの茎がどうしても手に入らない場合は、代わりに長ネギを粗い千切りにして入れても、それはそれで美味しいです。
材料
- 鶏もも肉 500g
- レモングラスの茎 4本
- (a)ニンニク粗みじん 1片 (苦手な場合はニンニクは使わず生姜を多めに)生姜粗みじん 1片
- (a)塩・胡椒 少々
- (a)オイスターソース 小さじ2
- (a)ナンプラー 小さじ1
- (a)ハチミツ 大さじ1
- (a)ライム果汁 半個分
- (a)醤油 大さじ1
- 片栗粉 適量
- 揚げ油 適量
- パクチー 飾り用
- 紫タマネギスライス 飾り用
- ライム お好みで仕上げに
作り方
- レモングラスの根元の茎だけを切り、外側の皮を外し白い部分だけを使う。5cm程に切り分け、すり鉢で叩きながら繊維状になるまで潰し、さらに手で細かくほぐす。
- 一口大に切った鶏肉をボウルに入れ、(a)の材料と①のレモングラスと一緒に混ぜ合わせて30分程寝かせる。
- 寝かせた②の鶏肉に片栗粉をまぶす。
- 180℃程に熱した油で火が通るまで揚げ、油を切る。
- お皿に盛りつけて、パクチーと紫タマネギを散らし、ライムを添えたら完成!
レモングラスはドライでも楽しめるハーブですが、やはり収穫したての新鮮な香りは格別! かなりの量が収穫できるので、使い切れない場合は「葉」はドライにして、冬の間ハーブティーなどで楽しみましょう。「茎」の部分は冷凍保存も可能です。必要な時に必要な分だけ解凍して使ってください。
あぁ、なんて便利で優秀なレモングラス。もっと早くから育てておけば! と後悔しきりです。皆さんに私のレモングラス愛が伝わったかしら。どちらのレシピもレモングラスをたっぷりと使うので、ぜひ来年はレモングラス栽培にも挑戦してみては? この2種のレシピを作れば、あなたもレモングラスの虜に。さあ召し上がれ!
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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