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愛犬あんのご飯を、愛情込めて手作りしている海野美規さん。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野さんが今回作る「愛犬ご飯」は、なんと天然酵母パン! 愛犬の健康を考えて、塩分や糖分が入っていないシンプルなパンです。もちろん飼い主さんにとってもヘルシーですよ。

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犬もパン好き?

犬とパン

ここ数年の高級食パンブーム。私が住む静岡市にも、有名人気店がいくつか進出してきています。それに加えて、地元の人気食パンもあり、食パン好きには選択肢が広がって嬉しいところです。

一緒に暮らす愛犬のあんも、パンを食べます。食パンやロールパンなど、「シンプルなパンなら……ほんの一口なら……大丈夫じゃない?」と思って与えたのが始まりです。時々、おかずの脇にトーストしたパンを少し添えてあげます。

トーストしたパンの香ばしい香り、ほんのりとした甘さ、ふわふわとカリカリの食感、それはそれは魅力的な食べ物です。犬だって好きなはずですよね。

子供の頃一緒に暮らしていた柴犬のボンは、父がたまに買ってくる大きなミルクパンが大好きでした。そのミルクパンとは、東名高速道路のどこかのサービスエリアの名物パンで、クリームなどは入っていないフカフカの軽いパンです。

今思えば、あのミルクパンは、ボンにとってはずいぶん甘かっただろうなと思います。ボンはミルク風味の甘いパンをペロリと食べ、父を大いに喜ばせていました。

ボンは、確かにミルクパンが好きだったと思いますが、自分が嬉しそうにミルクパンを食べると、大好きな父が喜んでいる! と感じて、「パン食べる=パパ喜ぶ=ぼくも嬉しい=パンは幸せ」という方程式ができていたのではないかなと想像します。ボンにとってのミルクパンは、おいしくて幸せな味だったんだろうなと思います。

無添加の天然酵母パンを作りましょう!

手作り天然酵母パン

さて、街にはおいしいパンがたくさんありますが、手作りのパンも負けませんよ。人にも犬にも安心安全なパンを作りませんか?

いろいろなお店の食パンを食べていると、「あれ、ここのはちょっと甘い」と感じることがあります。食パンはプレーンだと思い込んでいるせいでしょうか。微妙な甘さが、ちょっと気になるのです。

やはり「ちょっと甘い」は「美味しい」という感覚が少なからずありますから、まったく甘くないのは味気なく感じてしまうのですけれど。

小さな体の犬にとって、甘さや塩味が、人間以上に負担をかけることになる場合もあります。もちろん、レーズン、チョコレート、玉ねぎなどが入った菓子パン、お惣菜パン、油で揚げたようなパン、これらは犬には危険ですから、絶対に与えないようにしなければなりません。

シンプルな市販のパンでも、保存料などの添加物も含まれている場合が多いので注意が必要です。

手作りなら、ノンシュガー、ノンオイル、無添加のパンを作ることができます。きっと愛犬も大喜びしてくれるでしょう!

まずは、ホシノ天然酵母の種おこし

私は、ホシノ天然酵母を使います。天然酵母って面倒? と思われるかもしれませんが、発酵時間が長いので、パン作りの工程を分割して作業ができて、意外とラクに取り組めるところが気に入っています。

出来上がりのパンも、独特な風味と食感があってとても美味しいです。

<材料>

  • *ホシノ天然酵母 100g
  • ぬるま湯 200cc
  • 発酵器(カモシコ)

<作り方>

  1. 30℃のぬるま湯を容器に入れます。
  2. ホシノ天然酵母の粉末を振り入れます。
  3. よくかき混ぜます。
  4. 発酵器(カモシコ)にセットして、30℃で24~26時間に設定してスタートボタンを押します。
  5. 出来上がったら保存瓶に入れて、冷蔵庫で保存(1週間くらい)。

*ホシノ天然酵母のオフィシャルサイトに詳しい作り方が掲載されています。
https://www.hoshino-koubo.co.jp/recipe/recipe01/

発酵器やヨーグルトメーカーがあると、温度が一定しているので、失敗なく種おこしができます。

発酵器カモシコ

私が使っているのは、「カモシコ」というもので、塩麹や甘酒を作る時にも使えます。これがあると、いつでも気軽に作ることができて重宝しています。

次に生地を作りましょう

天然酵母パンの作り方

<材料>

  • 国産強力粉(春よ恋) 200g
  • ホシノ天然酵母(種おこしをしたもの) 15g
  • 水 120cc

<作り方>

  1. ボウルに小麦粉とホシノ天然酵母の種を入れて混ぜます。
  2. 水を少しずつ入れて混ぜます。
  3. だいたいひとまとまりになったら、平らな板の上に出してこねます(ホームベーカリーでも、手ゴネでも)。
    天然酵母パンの作り方
  4. 表面がなめらかになってきたら、丸くまとめてボールに入れます。
    天然酵母パンの作り方
  5. ラップをして、一次発酵。室温(26℃くらい)で約8~10時間。*注1(補足)あり
    生地が2倍くらいまで膨らんでいたら発酵完了。
  6. ボールから生地を取り出して6~8等分にし、はかりで計量します(大きさを均一にするため)。
    天然酵母パンの作り方
  7. ガスを抜き、丸めて休ませます(ベンチタイムは15分ほど )。
  8. ガス抜きをして丸い形に整え、天板に並べます。
    この状態で二次発酵をします(1時間)。
    天然酵母パンの作り方
  9. 200℃に温めておいたオーブンで12~13分ほど焼きます。
    天然酵母パンの作り方
  10. 焼き上がったら、網に取り出します。出来上がり。
    手作り天然酵母パン

*注1(補足)

一次発酵の時間が10時間も取れない場合(出かける時間や、就寝時間に掛かってしまうなど)は、4時間ほど室温で発酵させた後、冷蔵庫で8~12時間ほど発酵熟成させることもできます。これは「オーバーナイト発酵」(低温長時間発酵、冷蔵庫発酵とも)という方法です。

ホシノ天然酵母は、発酵がゆっくりですので、作業を分割して(2日間かけて)行うことができます。出来上がり時間(食べたい時間)を決めて、発酵させる時間を逆算します。

私は、夕方生地をこねて室温で発酵させ、寝る前に冷蔵庫に入れます。翌朝冷蔵庫から出して、1時間ほど室温に戻し、その後、分割、ベンチタイム 、成形、二次発酵、焼成へと進めます。その都度の作業は20分ほどですから、家事の合間にできます。お昼前には焼き上がります。

パンの塩分糖分

手作り天然酵母パン

今回ご紹介したパンは、もちろん飼い主も美味しく食べていただけます。

犬用に、塩、砂糖をまったく入れていないレシピですので、少々物足りない味かもしれません。逆に、いつも食べているパンが、いかに甘く、塩味もきかせているかがよく分かります。

私は、市販の甘いと思われるパンに、さらにイチゴジャムやオレンジマーマレードをつけて食べています。これではかなりの糖分過多ではないかと思います。

ジャムやバター、チーズ、ピーナツバターなどと一緒に食べる場合や、ソーセージやハムを挟んで食事パンとして食べる場合は、犬用パンのレシピで作ったパンでちょうどよいかもしれません。

愛犬のためのパン作りですが、飼い主の私にとっても、改めて塩分や糖分の摂り過ぎについて見直すきっかけになっています。

プチハンバーガーにアレンジして

犬とパン

さて、こちらの手作り天然酵母パン、愛犬あんはどれほど喜んでくれるかしらと期待していましたが、初めての天然酵母パンは、あんにはイマイチだったようで、私はちょっとショックでした。

天然酵母特有の香りが気になったのでしょうか。クンクン匂いを嗅いで、「うーん……」という顔をしました。

犬とハンバーガー

そこで、前の日の残りのハンバーグ(犬用)があったので、小さなハンバーガーにしたところ、大喜びで食べました(与える時は、小さくちぎって。パンはこの場合半量ほど)。

あんは、市販のパンもそれだけではあまり食べません。

犬にとっては、パンは主食にはなりませんし、ましてや、甘みやお肉の味がしなければ、おやつにもならないのかもしれません。

食事の時に、お肉に添えて、ザクザクした食感、ふわふわした食感のバリエーションをつけることで、ごはんを楽しく美味しく食べることができているようです。

食欲がないような時、いつもと違った感じが欲しい時に、少し添えてみてはいかがでしょうか。

*小麦粉アレルギーを起こすこともあります。様子を見てから、十分に注意して与えてください。また、一度に与える量にも注意してください。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp

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