爽やかに飾りたい、新種のアスター|花のある週末、はじめませんか Vol.5

こんにちは! 「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?
目次
7月のおすすめは「アスター」
7月のウィークエンドフラワー.アスター(エゾギク、China aster)
・原産国:中国
・主な生産地:福岡県、茨城県、長野県
アスターはキク科カリステフス属(美しい王冠の意味)の夏の花。花の周りをぐるりと囲む”ガク”のグリーンが、たしかに王冠のようですね。
可憐な小輪タイプで1年中流通する「アレンジメントアスター」、夏場に最盛期を迎える中輪八重咲きタイプの「エゾアスター」、そして最近流通量が増えている「大輪種(マッシュシリーズ、シャギーシリーズ)」の3つのカテゴリーがあります。
これまではエゾアスターを中心に、お盆の時期の“仏花” のイメージが強い花でした。しかし、近年、欧米や日本で品種改良が進み、デコラ咲きのキクやダリアのような風合いの、新たな大輪種が登場。デザインの幅が広がって、アスターは、さまざまなシーンで大活躍する花になったのです。
トルネードのように花弁がうずまく花姿や、グレーを含んだような個性的なアッシュカラーは、他に類を見ない雰囲気があり、アスターの新境地を作りあげています。今回は、登場以来、そのクールな浅い紫色とややドライな質感で、フローリストのハートをわしづかみにした‘マッシュラベンダー’のアレンジを紹介しましょう。

避暑地の高原で摘んだばかりの花々をテーブルに飾るように
またまた妄想シリーズです(笑)。今回は、避暑地の別荘で週末を過ごしている気分で。

‘マッシュラベンダー’の質感に合わせて、さらにカサカサ系のブルーの花、ルリタマアザミを一緒に。美しい紫色とブルーの爽やかな相乗効果で、いっそう涼しげに見えます。
そして、ほっそりした繊細な穂が美しいベロニカと、切り花ではまだとても珍しいガレキフォリアの葉を合わせました。純白の小さなスイートピーのような花をつける、ガレキフォリアは別称「ホワイトスワン」とも呼ばれる可憐なマメ科の植物。流通量もごくわずかで、入手困難……。スモークグラスやパ二カム、マウンテンミントなど、そよそよした軽やかなグリーンなら、同じようなナチュラルな雰囲気になります。
■材料(花材費合計=1000~1500円)
●花材
アスター‘マッシュラベンダー’/1本
ベロニカ(穂のような花)/2~3本
ルリタマアザミ(ブルーの丸い花)/1~2本
ガレキフォリア(ホワイトスワン、葉)/1本
●器&コーディネートについて
今回は、牛乳瓶形のボトルを4本並べて、麻ひもで束ねるように結び、花器にしました。いろいろな種類の花をひとつの器にバランスよく飾るのは、少し難しいかもしれません。このように、並べた器それぞれにランダムにいけるスタイルなら、無造作な感じがかえってナチュラルで、まさに今のトレンドの雰囲気に。簡単にできる一方、小洒落た花飾りに見えて、おすすめです!
そして、ボトルの下にトレーやお皿を1枚敷くだけで、不思議とフラワーアレンジがまとまって見えます。このシチュエーションなら、丸太を切り出したものをトレー代わりにしても素敵ですね。ちなみにこの4本の牛乳瓶形のボトルは、雑貨店「フライングタイガー」でリーズナブルに購入したものになります。
画像では、森の中で拾った松ぼっくりを転がしていますが、短くカットしたルリタマアザミや、貝殻などを転がしても、夏らしいアレンジになるでしょう。

■3ステップでアレンジ
①アスターはスプレー状になっているので、1輪1輪小分けにして、下葉をきれいに取り除きます。器の口元に、若干の高低差をつけながら、アスターを挿しましょう。
②ベロニカ、ルリタマアザミも下葉を取り除き、それぞれランダムに、花を立てるように(パラレルに)いけていきます。ベロニカは軽やかに長めに、ルリ玉アザミはブルーの美しさを、アスターに添えるようにあしらいます。
③最後に、ガレキフォリアなどのグリーンを、花と花の間を繋ぐように、ふわっといけます。
※アスターは夏場でも花もちがよく、花より先に葉が黄色くなってきます。花選びの時は、葉の美しいものを選ぶようにしましょう。葉が鮮度のバロメーターです。
※購入後はなるべく無駄な葉は取り除き、通気性をよくしましょう。切花鮮度保持剤を使用することで、水が汚れにくくなり花もちがよくなります。
週末のティータイムに、アスター「マカロン」のデザート風

大輪種の「マッシュ」シリーズや「シャギー」シリーズと並び人気が高い、中輪八重咲きタイプのアスター「マカロン」シリーズも紹介しましょう。コロンコロンとしたフォルムが、フランス菓子のマカロンのようで、食べたくなってしまうほど愛らしいですよね。
アスターと同様に、ドライな質感のセンニチコウをアクセントに、冷たいデザートを入れるようなガラスのコンポートを器にすれば、おいしそうなテーブルアレンジに♪ 器の下にプレートやレースペーパーを敷くと、よりいっそうデザートっぽくなりますね。週末のティータイムに、こんなかわいらしいアレンジがあったら嬉しくなります。
■材料(花材費合計=~1000円)
●花材
アスター‘マカロンピンク’/2本
センニチコウ/1本
ゼラニウム/1/3本
※アスターとセンニチコウは、1本に複数輪の花をつけるスプレータイプの花です。下の写真はいける際に、1輪1輪にカットしたものになります。

■3ステップでアレンジ
①器の高さに合わせて、ゼラニウムをカットし、最初にいけます。
②スプレー状のアスターを小分けにし、同じ長さにカットして、アレンジのフォルムがドーム状になるようにいけます。
③最後にアクセントをつけるように、センニチコウをあしらえば、できあがり!
アスターは、葉の処理と水替えを頻繁にすれば、夏場でも長く楽しめる花です。切花鮮度保持剤を上手に活用すれば、お手入れも楽になります。さまざまな色や咲き方のアスターが出回りますので、ぜひ旬の季節にお気に入りを見つけてくださいね!
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。
【おさらい】これだけ気をつければ花はぐっと長もち♪
✔ 花をいける器は、清潔に! きれいに洗いましょう。
✔ 茎はよく切れる「花専用のハサミ」か「フローリストナイフ」で、スパッと斜めにカットしましょう。水を吸う面積が大きくなり、花もちが違ってきます。
✔ 水に浸かる部分の葉は取り除きましょう。葉が水に浸かっていると、水が早く濁りやすくなります。
✔ 最近は花を購入すると「切花鮮度保持剤」の小袋を付けてくれるフラワーショップが増えました。花を咲かせる栄養補給と、水の中のバクテリアの繁殖を抑える効果があり、花がぐっと長く楽しめます。正しく希釈して活用しましょう! 「切花鮮度保持剤」を入れた場合は、花器の水替えは3~4日に一度で大丈夫です。
✔ なるべく、直射日光が当たらず、エアコンの風が直接当たらない涼しい場所に飾るとよいでしょう。タバコや線香などの煙、果物から出るエチレンガスも苦手なので、近づけないほうがベターです。
Credit

小川典子
(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/
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