ティーカップを使ったローズボウル式アレンジメント【ルーシーのおいしい暮らし】

なかなか気軽に外出できない日が続きますが、お花が部屋にあると心が癒やされて、気持ちも華やかになります。今回は、家にあるカップ&ソーサーを「ローズボウル」の代用にして、庭の花やグリーンを簡単に活けるテクニックをご紹介。今すぐ実践できる方法を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。
目次
ローズボウルとは
ローズボウルは、本来庭から切ったバラを飾るための花器のことです。上面にメッシュ状の金属が付いていて、その中へ花を挿していきます。この構造のおかげで誰でも簡単に! 可愛いアレンジを作ることができるのです。剣山とオアシスのいいとこ取りをイメージすると分かりやすいかしら?

このローズボウル、1900年代中頃のイギリスで流行し、大きいものはテーブルのセンターピースとしても使われていました。私自身もイギリスに仕事で行く際には、ヴィンテージのローズボウルを必ず買い付けてきます。イギリス映画を注意深く見ていると、ローズボウルが登場する場面もしばしば。
一度使ってみれば分かりますが、何でもないような花材を取り合わせて活けるのに「ちょうどよい」花器なのです。
日本でも「受け」の部分がガラス製のものを見かけますが、私のおすすめは金属製!
金属のものは水が保冷され、花が長持ちするという特徴があります。シルバープレート製なら、見た目はシンプルでありながらも、上品な雰囲気で飾る場所を選びません。
ローズボウルの代用にカップ&ソーサーを!

お茶を飲むのに、マグカップを使う機会が増えて「カップ&ソーサーはあまり出番がない」という方も多いかも。でも、やっぱり! カップ&ソーサーは優雅で美しいですよねぇー。今回は、そんなカップ&ソーサーちゃんたちを使ってアレンジメントを作ります。

さあ! 食器棚の奥で眠っている子たちを「あなたたち、出番よ!」と叩き起こして、「ローズボウル式アレンジメント」に活用してあげましょう。専用の「ローズボウル」がなくても大丈夫なのです。
①ティーカップがローズボウルに大変身
まず、カップの上面にメッシュ状にテープを貼り、「ローズボウル」の上面のように区切ります。この作業をすることでイメージ通りにお花を活けやすくなります。
もしお持ちなら、フラワーアレンジメントでオアシスを固定する際に使用する「オアシステープ」を使ってください。無ければ、ガムテープを5mm程に割いて使いましょう(布ガムテープが割きやすいのでおすすめ)。
あまりテープが長すぎると、側面から無駄なテープが見えてしまい、格好悪いので要注意! テープを貼り終えたら、花を活ける前にたっぷりとお水を入れておきましょう。

②お花を摘みにいきましょう
この記事を読んでくださっている皆さんの中には、庭で花やハーブを育てている方もたくさんいらっしゃるかと思います。ローズボウルは、ハーブや草花のような小ぶりの植物との相性がバツグンです。

枝ものやハーブ、そこらへんに生えている雑草のような草花でも大丈夫!
花を入れないでグリーンだけを使うと、さまざまな「トーン」の緑がグラデーションとなり、それもまたステキ。
ご存じの方も多いかもしれませんが、「花を摘む」ってワードは、女性が「用を足しに行く」時に使われる隠語。しゃがんで花を摘む姿が、和式トイレにかがむ様子にそっくりだから。何だかメルヘンチックな言い回し。ではでは! お花を摘みに行ってきまーす! あ、ローズボウル用にね。
③まずはベースの部分から
今回は、フラワーアレンジメントの基本の形の一つ、クレッセント(三日月形)風に活けていきます。両先端が長細く、カーブを描いたようなスタイルです。

まずグリーン(今回はコデマリやアイビーなど)を使って、ベースとなる部分から活け始めるとスムーズです。長めのものは指でたわませて、横や下方向に伸びるように調整しましょう!
④色ものと長短のあるもので立体感を
ベースを活けたら、主張のある花や、色ものを挿していきましょう。

長いものと短いもの、どちらも使うとリズム感が出て、立体的に仕上がります。平面的だと「のっぺり」とした印象になってしまうので要注意!
⑤隙間を埋めて完成!

最後は、どの角度から見てもティーカップの土台やテープが見えないように、しっかりと隙間を埋めましょう。

はい! でき上がり! 簡単でしょう?
⑥アレンジのヒント
クレセント形ではなく、丸く可愛い花束のように活けたり、テーマカラーを決めて活けてみるのもおすすめです。とにかくバランスがよくて可愛ければ、何でも大丈夫!

イギリスのチューダー朝時代に、悪臭よけや伝染病予防のために持ち歩かれていた、ハーブの花束「ノーズゲイ」。鼻(nose)を彩る(gay)。花束で鼻を押さえるなんて、まるで現代のマスクのようなものだったのかもしれません。今回はハーブを使い「ノーズゲイ」をイメージしたアレンジも作ってみました。夏はハーブを使って活けるのも楽しみです。
ミントやローズマリー、セージにレモンバーム、パクチーやディルのお花、チャイブのネギ坊主などを組み合わせれば、エディブル(食用可能な)アレンジメントのでき上がり。伝染病予防にもなって、可愛くて美味しいなんて、ズルい! ちょっとしたギフトにもよさそうです。ぜひお試しください。
どこに飾っても絵になる
さぁ! 完成したアレンジを飾りましょう。ティーカップに活けるこのアレンジは、花瓶のように高さもなく場所を取らないので、さりげなく置けるのも嬉しいポイントです。

キッチンはあまり人から見られる場所ではありませんが、キッチンで過ごす時間が多い人には嬉しい彩りです。棚やシンクの脇などに置くだけで、お料理の時間が楽しくなりそう。

カップ&ソーサーの色味と飾り皿の雰囲気を合わせると、テイストに統一感が出て落ち着いた雰囲気に。和室にも合いそう!

トイレや洗面所に飾ると清潔感が出て、すっきりした印象に。

ちょっとした隙間にも。置くだけで空間が華やかに!
たくさんの花や、豪華な花は必要ありません。もし庭やベランダに花がなければ、買い物ついでにお花屋さんで数本買って挑戦してみてくださいね。それから、花束をもらって少し傷んできた時にも、ローズボウルで活け直せば、長く楽しむことができます。
気軽に季節を楽しむことができる「ローズボウル式アレンジメント」。自然に触れ、無心にお花を挿す時間が、「瞑想」効果となり、心を落ち着かせてくれるはず!
あまり真面目に難しく考えず、「とりあえずやってみよー!」的な感覚で挑戦してみてくださいね。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
- リンク
記事をシェアする
新着記事
-
宿根草・多年草
【動画あり】“咲かない・弱った”ラナンキュラス・ラックスを救う秋の植え替えと株分け+最新…PR
春の訪れを告げる植物の中でも、近年ガーデンに欠かせない花としてファンの多い宿根草「ラナンキュラス・ラックス」。春早くから咲き始め、1株で何十輪という花が咲き、誰しもが虜になる魅力的な植物です。年々新し…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園【秋深まる10月の庭】
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストは、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に2024年12月の作庭後、さまざまな植物が日々成長…
-
育て方
【バラ苗は秋が買い時】美しいニューフェイス勢揃い&プロが伝授! 秋バラの必須ケア大公開PR
今年2回目の最盛期を迎える秋バラの季節も、もうすぐです。秋のバラは色も濃厚で香りも豊か。でも、そんな秋のバラを咲かせるためには今すぐやらなければならないケアがあります。猛暑の日照りと高温多湿で葉が縮れ…