6〜7月に見頃を迎えるラベンダー。夏を代表するハーブの一つですが、さまざまな種類があり、この時期はホームセンターでも気軽に購入することができます。日本ではラベンダーに対して、園芸やアロマセラピーを思い浮かべることはあっても、なかなか食べるというイメージはありません。今回は、そんなラベンダーを使った「ショートブレッド」のレシピを、神奈川県葉山で旬の野菜を育て、植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんがご紹介します。
目次
食用としてのラベンダー
手軽に作れて美味しい。そんな「お菓子レシピ」の手札をいくつか持っていると、何かと役立ちます。お家でのティータイム、お呼ばれの時の手みやげ、お礼に何かちょっと差し上げたい、などなど…。どこかでお菓子を買うのもよいけれど、ホームメイドのクッキーやケーキなら、気持ちも伝わり、いつも以上に会話も弾むことでしょう。
日本では食用としてのラベンダーは、あまりポピュラーではありません。でもね、じつはラベンダーってとっても美味しいのです。私のお気に入りは、イギリスのスーパーなどでよく見かける「ラベンダー入りのショートブレッド」。いわゆるスーパーのプライベートブランドなんかでも出ている人気の商品。バターの風味たっぷりのクッキーにラベンダーの香りが「ホワーン」として、美味しいのです。
私はこのクッキーをよく「トイレの芳香剤みたいなニオイ!」とふざけて例えるのですが、一昔前、ラベンダーは、なぜかトイレの芳香剤に多く使われていました。
もちろん合成香料なので、フレッシュなラベンダーの香りとは全く違う「安っぽい香り」でしたが、日本人にとってはそのイメージが強いようで、食べ物とラベンダーの組み合わせは違和感があるのかもしれません。
ラベンダーは乳製品との相性が特にバツグン。ラベンダーミルクティーや、ラベンダーアイスクリームなど、お家でも気軽に楽しめるものがたくさんあります。一日の終わりに、ラベンダーを使ったデザートでリラックスタイムを過ごすのもいいですね!
リラックス効果のラベンダー
アロマやハーブに詳しくない方でも、ラベンダーと聞けば「リラックス効果」があるものだとご存じのはず。
以前の「ミツロウバーム」の記事でもご紹介しましたが、ラベンダーはアロマセラピーの原点ともいえる精油です。
酢酸リナリルとリナロールが主成分のため、鎮静や鎮痛作用が主な特徴です。難しい成分名はさておき、ラベンダーには300種以上の芳香成分が含まれているので、その効能の多さから「疑わしきはラベンダー」といわれるほどです。
「遠足の前日のように明日が楽しみで眠れぬ夜も、悔し涙で枕を濡らす夜もあるものね、だって女の子だもーん。女心は秋の空ではなくて、ゲリラ豪雨。そんな日は、お守り代わりに枕元にラベンダーを」
『ミツロウバーム作りとハンドリフレクソロジーでトラブル知らずの身体に』より
我ながらあっぱれ! まさにこの通り。ラベンダーは「リラックス」効果があるだけではなく、「心」「身体」「感情」「精神」すべてのバランスを整えてくれる香りなのです。アロマセラピーに興味がある方は、まず「ラベンダー」から試してみるのがおすすめです。
食用ラベンダーとして使われているのが、香りが強い「イングリッシュラベンダー」です。数あるラベンダーの中でも「アングスティフォリア系」に属しており、一般に使われている精油のラベンダー (学名 Lavandula angustifolia)と同じ種類。
つまりは、食べてもラベンダーの効能にあやかれるってこと。美味しく食べて、一石二鳥!
イギリスでのラベンダー
イングリッシュラベンダーの原産地は、イギリスではありません。では一体なぜ「イングリッシュ」という名前がついているのでしょうか? 私はてっきり「イギリスのような冷涼な気候の場所に育つラベンダーだから」かと思っていました。
しかし、実際は、イギリスにある「キューガーデン」の女性研究員が、勝手に名付けてしまった! というではありませんか。以下の記事も、とても面白いので、ぜひ読んでみてください。
もちろん! イギリスにもラベンダーガーデンが各地に存在しています。6月から8月頃にイギリスへ行く機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。
大体、どこのガーデンにも「カフェ」と「ショップ(お土産屋さん)」が併設されています。私、この手のお土産屋さんに目がないんですー。ワクワクしちゃう。でも、まずは壮大なラベンダー畑の中をお散歩。その後は、ラベンダー畑を見ながら、ゆっくりとティータイム (その間も頭の中はお土産屋さんのことでいっぱい、何ならトイレに行くフリをして覗きに行っちゃうかも)。
その後は「待ってましたーっ!!!」っと、お楽しみのお買い物タイム。
ラベンダーのソープ、オイル、お茶、サシェ等々、ガーデンで摘まれたラベンダーから作られた、素晴らしい香りのグッズたちに囲まれて、気分はプリンセス。
売り上げはガーデンの「運営費」となることが多いので、鼻息をフンッフンッ荒くしながら、ラベンダーの香りをたーくさん吸い込んで、世のため人のため! 自分のため! たくさんお買い物をしちゃいましょう。
ルーシーの「レモンラベンダーショートブレッド」
さてさて、レシピをご紹介します。今回は、ラベンダーにレモンの風味が心地よい「レモンとラベンダーのショートブレッド」を作ります。ラベンダーの甘い香りとレモンのさっぱりとした酸味がくせになるショートブレッドです。
<材料 レモンラベンダーショートブレッド約20枚分>
- バター 220g
- パウダーシュガー 90g
- レモンの皮 1個分
- 食用ラベンダー 小さじ2
- バニラエッセンス 数滴
- 塩 ひとつまみ
- 中力粉 280g (生地をこねて緩いようでしたら足してください)
- 砂糖 大さじ4
<レモンラベンダーショートブレッドの作り方>
- 常温に戻したバターをボウルに入れ、スパチュラでクリーム状にする。
- ①のボウルに、パウダーシュガー、レモンの皮のすりおろし(半個分)、ラベンダー、バニラエッセンス、塩を加えてよく混ぜ合わせる。
- 中力粉を②のボウルに加えて、よく混ぜて粉っぽさがなくなったら、手でひとまとめにする。
- 別の小さなボウルを用意して、残りの半分のレモンの皮をすりおろし、砂糖を加え、お好みでラベンダー少々(分量外)も加えて、手で香りが移るようによく混ぜ、「レモンシュガー」を作る。
- 粉を振った台の上で、生地を厚さ7mm程に伸ばす。
- ④の「レモンシュガー」を生地の上に振りかけて、軽くめん棒で馴染ませる。
- 好みの形に切り、ベーキングシートにのせる。
- 型抜きで残った記事はまとめ直して、丸いケーキ型にして焼くと可愛いです。焼く前に包丁で浅くカットラインを入れ、フォークで穴をあけておきましょう!
伸ばして型抜きせずに、全てこの作り方でもOKです。その場合は「レモンシュガー」も混ぜ込んでから成形してください。 - 180℃に熱したオーブンで15分程焼く(厚みやオーブンによって加減してください)。でき上がりはかなり柔らかいので、冷めて固くなるのを待ちましょう。
ショートブレッドは、スコットランドの伝統的なお菓子。基本的には、小麦粉、バター、砂糖、塩のシンプルな材料で作られます。バターたっぷりの濃厚な味で、紅茶といただくとサイコー!!
今回は、そんなショートブレッドにラベンダーとレモンを入れ、おしゃれムード満載なクッキーにしてみました。この爽やかで甘〜い香り、画面越しに伝わればいいのに! お伝えできなくて残念。ぜひ作ってみてくださいね。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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