フレッシュハーブのシーズン到来! タッジーマッジー&ノーズゲイでリフレッシュ!
フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんによる今回のWeb上フラワーアレンジメントレッスンは、ハーブで作る香りのよいブーケ、タッジーマッジーと、小さな香りの花束、ノーズゲイ。香りのよいハーブのブーケは、中世のヨーロッパで伝染病や悪霊を防ぐお守りとして用いられていたといわれています。フレッシュな香りのブーケを、おうち時間に飾ってみてはいかがでしょうか?
目次
ハーブのブーケ
ハーブが勢いよく茂る季節になってきました。庭でも、ベランダでも、きれいな黄緑色のミントの葉が、清々しい気分にさせてくれます。
「Tussie-mussie タッジーマッジー」という言葉を、どこかで耳にしたことがある方も多いと思います。呪文のようなこの言葉は、ハーブで作る香りのよい花束のことです。
中世のヨーロッパでは、街中の衛生状態が悪く、悪臭や不衛生な環境に悩まされ、伝染病も蔓延していました。人々は、自分の身を守るために、殺菌、抗菌、防臭効果のあるハーブを束にして持ち歩いていたといわれています。また、このブーケは悪霊から身を守るための魔除けとしても用いられていました。
今日、新型コロナウイルスの感染拡大の心配が続いています。現代ではタッジーマッジーを持ち歩くことは現実的ではありませんが、お部屋に飾ることはぜひ真似したいですね。元気のよい緑色の、フレッシュな香りのハーブが身近にあるだけで、気分がすっきりしますよ。
実家の庭でミントをたくさん摘んで帰るとき、車中はミントの爽やかな香りでいっぱい。眠気も吹っ飛び、気分爽快に車を走らせることができます。電車で帰るときも、混んだ車内の私の周りだけがすっきり爽やか。やはりミントの清涼感はすごいなと、いつも実感するのです。
それでは、ハーブの花束、タッジーマッジーと、香りの小さな花束、ノーズゲイの作り方をご紹介します。
ミントとマトリカリアのタッジーマッジー
ミントの仲間は、ハーブの中でも特に生育が旺盛で、どんどん増えていきますね。広がりすぎて、ちょっと困ることもあるくらいです。庭にはアップルミント、スペアミント、ペパーミントが、毎年必ず新しい芽を出し、勢いよく繁っています。ですが、私のお気に入りの可愛い斑入りのパイナップルミントは、いつの間にかどこにも芽を出さなくなってしまいました。ミントは交雑しやすい植物ということですので、きっとアップルパイナップルミント(!?)になってしまったのでしょう。
タッジーマッジーは、持ち歩くことを考えると、本来はそれほどボリュームのあるものではありません。ですが、あれもこれもとたくさんのハーブを束ねていたら、ご覧のような大きなブーケになってしまいました。お部屋に飾るのでしたら、このくらい大きくてもいいですね。
<使ったハーブ>
- アップルミント
- スペアミント
- ペパーミント
- レモンバーム
- フェンネル
- マトリカリア
- ギリア
- アルケミラ・ロブスター
- シュンギクの花(黄色)
<手順>
- 手で握る部分より下、または、花瓶の水に浸かる部分の葉っぱを、きれいに取り除いておきます。
- アルケミラ・ロブスターをクッションにして、ミントやマトリカリア、ギリアなどを、配色よく組んでいきます。
- 組む時は、いつも一定方向に重ねていきます。そうすると、茎が螺旋状にまとまっていきます。
- 麻紐で結びます。緩めに結んで、少しでも風通しをよくしましょう。
- 茎を揃えてカットして、でき上がりです。
ガラスの器にポンと入れて飾ります。
タッジーマッジーの原形は、バラを中心にして、その周りを小花やハーブで囲んでラウンド形に仕上げるスタイルです。伝統的なスタイルにしてみるのもいいですね。
また、ヴィクトリア朝時代には、花言葉を通して、タッジーマッジーに秘密のメッセージを託して贈るということが流行したのだそうです。「わぁ〜ロマンチック〜」とも思いますが、花言葉を知らないで贈ったり、持ち歩いたりすると、誤解を招きかねませんね。花選びは慎重に、でも、ちょっとした謎解きクイズみたいで楽しそうとも思います。
ここで使った黄色いシュンギクの花には、「とっておき」という花言葉があるそうです。確かに、冬の間、お鍋の具材にならず、春まで畑でとっておかれたおかげで、こんなにも可愛らしい花を見ることができました。タッジーマッジーの秘密のメッセージに使うとしたら、どんな意味を込めるでしょうか。
ノーズゲイ 小さなハーブのブーケ
「Nosegay ノーズゲイ」は、「鼻先を飾る」という意味の小さなブーケです。ノーズゲイは、宮廷のサロン文化が花開いた18世紀になると、ピンのついた小さな容器に入れて洋服の胸元に取り付けるように変化し、のちにコサージュとなります。
小さなブーケは、香りのよい花やハーブを組み合わせて、可愛らしく作りましょう。
<使ったハーブ>
- スペアミント
- ラベンダー
- ニゲラ
- フェンネル
- ネモフィラ
- ダークベルグデージー
<手順>
タッジーマッジーと同じ要領で作ります。
ラベンダーを真ん中に集めたスタイルや、四方八方に散りばめたスタイルにしてみました。
小さなブーケですので、小さなガラスの器に入れて、本棚などに飾ってはいかがでしょうか。
ハーブのことが分かる可愛い児童書
『タッジーマッジーと三人の魔女―魔法の庭ものがたり』
みなさんは、『魔法の庭ものがたり』シリーズの児童書をご存じでしょうか。小学生くらいのお子さんが対象だと思いますが、ストレートのロングヘアの女の子と6匹の子猫が登場する、挿絵もとても可愛い本です。
主人公のジャネットは、ハーブ魔女トパーズの後を継いで、「ハーブの薬屋さん」になることを目指しています。トパーズからは、ハーブガーデン「魔法の庭」と薬草の本「レシピブック」、「トパーズ荘」を相続しました。
シリーズは20巻あり、ハーブのこと、ハーブティーのことなどをテーマに物語が展開します。その中に、『タッジーマッジーと三人の魔女』というタイトルのお話があります。
このお話の中で、ジャネットは村のフェスティバルでタッジーマッジーのお店を開きます。魔法の庭で摘んだハーブやバラを用意して、お客さんの希望するメッセージを託したタッジーマッジーをその場で作るというお店です。
こんなお店があったら、私も毎日でも通いたい! というより、私もこんなタッジーマッジー専門のお店を持ちたい! と思いました。とても素敵なアイデアのお店ですよね!
この本では、ハーブのことなど、お子さんだけではなく大人も楽しめるお話になっています。おうち時間のおともにいかがでしょうか。
Credit
アレンジ作成・写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
参考:『魔法の庭ものがたり タッジーマッジーと三人の魔女』あんびるやすこ/作・絵
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