Rose season began! 初夏の花木と飾る麗しき旬のバラ | 花のある週末、はじめませんか Vol.1
こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?
目次
5月のおすすめは「バラ」
5月のウィークエンドフラワー.その1/バラ(和名:薔薇 英名:Rose)
●原産国:中国、日本、ヨーロッパ、中近東など北半球の温帯
●主な生産地: 愛知県、静岡県、山形県、福岡県、神奈川県、愛媛県、群馬県 ほか
夏めく陽光に、新緑が日増しにその緑を濃くしています。初夏に向かうこの季節に、もっとも美しく咲く花が、花の女王・バラ。
花屋さんで一年中手に入るバラの旬の季節は、まさにこれから! 5月は年間でもっとも出荷量が多く、種類豊富で品質も良好、バラを楽しむベストシーズンです。そして、全国各地で華やかなバラのイベントが開催されていますね。丹精込めて育てた庭先のバラを楽しんでいらっしゃるかたも多いことでしょう。
遥か昔から人々は、バラの美しさ、麗しい香りに熱狂してきました。
クレオパトラの寝室の床一面に敷き詰めたバラの花びら、マリー・アントワネットのバラをたずさえる肖像画、モダンローズの生みの親ともいわれるナポレオン妃ジョゼフィーヌなど、時の権力と伝説的な女性には、バラにまつわる逸話がたくさんあります。バラと人間の古い関わりのなかで、バラの香りが人間(特に女性の美…!)に素晴らしい効用をもたらすことが、解明されてきています。
バラと一言でいっても、ガーデンに咲くガーデンローズと、花屋さんに並んでいるバラ(切り花用に生産されるバラ)とは、栽培性など特徴が異なり、品種も違います(極稀に両用できる品種もあります)。バラはその長い歴史のなかで、種類が何百何千にも及び、その分類や系統が複雑なのでここでは深く触れませんが、ざっくりと説明しましょう。
バラの栽培は19世紀に大きく発展。1867年、こよなくバラを愛したナポレオン妃ジョゼフィーヌのもとで作出された‘ラ・フランス’は、大輪、四季咲き性を叶えた画期的なバラでした。一般的に、この‘ラ・フランス’以降に生み出された品種群を「モダンローズ」、それ以前に栽培されていた品種群を「オールドローズ」と分類しています。「オールドローズ」は芳香豊かなことが特徴で、なかには野生種も含まれ、モダンローズの交配の元になっている品種群になります。私たちが現在、花屋さんで出合うバラのほとんどが「モダンローズ」です。
バラには、1本の茎に1輪の花が咲くスタンダードタイプと、1本の茎が枝分かれし複数の花をつけるスプレータイプ=「スプレーバラ」があります。今回は、スタンダードタイプのバラ3本で、初夏らしいバスケットに活けるバラのあしらいを数パターン紹介しましょう。バラだけを集めて飾っても十二分に美しいのですが、今回は季節感をさらに楽しむために、旬の花木を合わせてみました。
白バラとクレマチスのバスケットアレンジ
数あるバラのなかで、新緑の季節に爽やかに飾りたいバラは、白の‘ブルゴーニュ’。ふっくらとしたカップ咲きはほんのりと香り、ほどなく黄金色の花芯がのぞく姿は優美でいて可憐。ブライダルシーンでも人気の高いバラです。バラに限りませんが、白い花はどんなテイストのインテリアにも溶け込んでくれるので、リビングフラワーとしておすすめです。
バラに合わせた、もう一つの旬の花は「クレマチス」。世界中に300もの原種がある蔓性植物で、バラのパートナープランツとしてガーデンでも大人気! 切り花として出荷されるクレマチスも増え、「ベルテッセン」とも呼ばれるベルのように咲くタイプが昨今のトレンドです。くるんとした蔓や葉の動きも表情豊かで、一緒に活けることでバラがガーデンで咲いているような趣に。
■材料(花材費合計=1500~2000円)
●花材
*バラ‘ブルゴーニュ’/3本
*クレマチス‘フラッシュピンク’/2~3本
●器について
バスケットの中に、安定感のある器をセットしてアレンジします。シンプルな籐のバスケットは、初夏から秋にかけて数本の花をあしらう際にとっても重宝。取っ手があるタイプは、取っ手が花留めの役目を果たしてくれるので、少量の花をいけやすいという利点も。
■3ステップで簡単アレンジ
①バスケットの中に器をセットし、切り花鮮度保持剤が入った水を入れます。
②バラを1輪ずついけていきます。バスケットの縁を利用しながら、バスケットから花があふれるようにあしらいます。壁際などに飾る「三方見」=前方からしか見ないアレンジですので、裏側のことは気にせずに、前から見たときの美しさに集中します。それぞれの花をよく観察して、いちばん美人な表情を見つけてください。必ずしも真正面がいちばん美しいとは限らず、ちょっと横向きが美しい場合もあります。もっとも美しく見える角度を探しましょう。バラの花の下、バスケットの縁に葉が見えたほうが、アレンジの中心が引き締まります。
③クレマチスは水があがりにくい植物です。茎の切り口を、ハサミの背などで軽く叩き割ってあげるとよいです。蔓や葉ののびやかな表情をいかして、左右・背景に軽やかにあしらいます。バスケットの前に垂れるラインがあると、いっそう素敵です。
■バラを長く楽しむコツ
*花首がしっかりした、つぼみがほころんだ花を選びましょう。固いつぼみのものより、やや緩んで咲き始めていたほうが、花瓶の水でちゃんと咲いてくれます。
*バラはキレイ好き! 花器をちゃんと洗うことが長く楽しむコツです。
*葉が水に浸かると、バクテリア増加の原因となり、水が濁りやすくなります。下方の葉は取り除きましょう。また、バラのトゲは、取り過ぎないほうが花が長もちします。
*茎はできるだけ斜めにカットして、水を吸い上げる面積を広くします。
*バラを最後まできれいに咲かせるには、「切り花鮮度保持剤」が効果大です! 最近は購入時に小袋をつけてくれる花店が増えました。飾る際にぜひ活用しましょう。500mlの空のペットボトルに水を入れ、小袋1袋を希釈するとちょうどよい濃度になります。バラ専用の鮮度保持剤もあります。しっかりと咲かせることができ、花もちに大きな力を発揮します。
バラにみずみずしい季節の枝ものをあわせて
バラは初夏の枝ものとも相性抜群! 「ビバーナム‘スノーボール’」や「ライラック」、そして白いバラには特に「バイカウツギ(梅花空木)」が似合います。バスケットにバラと合わせて飾ってもよいですし、別の器にいけて並べて飾るとモダンな印象になります。
■材料(花材費合計=1500円前後)
●花材
*バラ‘ブルゴーニュ’/3本
*バイカウツギ/1~2本(枝の先端部分を使用)
バイカウツギなど枝ものをいける際は、枝を斜めにカットし、さらにハサミでマイナスに割り、水を吸い上げる面積を広くしましょう。
●コーディネイトについて
こんもりした花かごのように愛らしく、ガーデンの花をちょっと摘んでいけたような、さりげない雰囲気に。キャンドルやハーブボールなど、ナチュラルな香りのアイテムと一緒に飾ってもよいですね。
■材料(花材費合計=2000~2500円)
●花材
*バラ‘ブルゴーニュ’/3本
*ビバーナム‘スノーボール’/3~4本
●コーディネイトについて
白グリーンの花々をそれぞれ別の器にいけて、コーナーに集めるように飾ると、モダンな印象の初夏のリビングフラワーになります。お気に入りの家族写真のフォトフレームやオブジェなど、大切なアイテムとコーディネイトしても素敵です。
アンティークカラーのローズバスケットでティータイム
先に紹介したアレンジと、同じバスケットを使っています。バラの花色が変わるだけでシックな雰囲気になりますね。モーヴ系のやさしいアンティークカラーを集めて、ウィークエンドのティータイムをちょっぴり優雅に。
イギリスの正式なアフタヌーンティーでは神の象徴とされるバラを飾り、お茶を神に捧げるとか…! ティーセットの食器にバラ柄が多いのもそんな所以だそう。
■材料(花材費合計=1500円前後)
●花材
*バラ‘アヴニール+’/2本
*バラ(やぎばら園オリジナル新品種)/1本
*カーネーション‘ゼバ’/2本
*ヒメミズキ/1本のうち小枝を少々
●コーディネイトについて
さらさらとした明るい新緑の葉が美しい「ヒメミズキ」は、葉の先端がほんのりと紅葉していて、その風合いがまたアンティークカラーのバラやカーネーションによく合います。普段仕様のカジュアルなティータイムセットですが、美しいピンクベージュのクッキー缶や北欧のバラ柄のカップなど、主役のバラとゆるやかにエッセンスをつなげて、女子な気分を盛り上げるコーディネイトに♪
ここ25年ほどの、日本の切り花用バラのトレンドを振り返ると、よりナチュラルな印象のバラへの回帰、といえるでしょうか。花もちがよくないとされてきたバラは、長もちさせる品種改良の過程でバラ本来のしなやかさや香りを失っていきました。ひと昔前は、「剣弁高芯」といわれるバラ(高島屋の包装紙のバラをイメージしてください!)が主流で、茎が長く真っ直ぐでカチッとした印象のバラが市場では高く取引されていました。
一方、その流れとまるで逆行するかのように、ふんわりこぼれ咲くイングリッシュローズの趣き、オールドローズのごとく黄金の花芯をのぞかせるバラ、古代から語り継がれるダマスクローズの香りの再現に人々は心を奪われ、フラワーデザイナーたちもガーデンローズのようなナチュラルな雰囲気のバラに熱狂しました。昨今はそんなトレンドも一巡して、剣弁高芯の凛としたバラも、丸い花弁のカップ咲きのナチュラルなバラも、それぞれの美しさを追求して共存しているように思います。
そして、バラがバラである以上、「香り」は永遠のテーマ…。バラの香りは、女性ホルモンに働きかけ女性を美しくする! という話は有名ですね。バラの香りに触れると、幸福感に満たされて、本当に美しくなれそうなエレガントな気分になるから不思議です。
本来バラには強弱こそあれ芳香はあるとされますが、切り花として茎をカットされたあとも、その芳香が続くことが希少とされます。花屋さんで手に入りやすい「香りのバラ」で、もっともポピュラーな品種は‘イブ・ピアジェ(イブピアッチェ)’、オペラピンクの大輪バラです(画像下)。上記のアレンジに使用した‘アヴニール+’も同様、青みがかったピンク、ピンクでもやや紫色がかったモーヴ系の色合いのバラたちには、麗しい香りを放つものが多くあります。花屋さんで香りのバラを探すときの参考にしてください。至福の香りをぜひ楽しんでいただきたいと思います。
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。
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Produced by WEEKEND FLOWER
Credit
小川典子
(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/
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