ウイルス・花粉対策をサポートするアロマティックライフ3 ルームフレグランス後編 【乙庭Styleのガーデンセラピー5】
新型コロナウイルス感染症については状況が刻々と変わって落ち着かない日が続きますが、香りの効果で気分をリフレッシュしながら前向きに乗り切りたいですよね。そこで、今回は精油のチカラで免疫力の向上をサポートするアロマティックライフスタイルを、分類の垣根を取り払った植物セレクトで話題のボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが提案。ご家庭でできるルームフレグランス活用法と香りのブレンドについて太田さんが実践している具体例をご紹介します。
目次
自分でブレンドした香りをお部屋に!
ウイルス・花粉症対策をサポートする過ごし方
『抗ウイルスや花粉症対策をサポートするアロマティックライフ』シリーズ。第3回目は、お部屋の空気をまるごと対策仕様にしながらも、積極的に自分らしい香りを楽しめるように、自身でブレンドした精油を用いるルームフレグランスについてご紹介する後編です。

前回記事では、精油をブレンドするにあたっての予備知識として香りの「ノート」や作用について解説しました。今回は、実際に精油をブレンドする方法について、より詳しく具体的にご紹介します。
ぜひ『ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマティックライフ2 ルームフレグランス前編』と併せてお読みください。
ご家庭でできるウイルスや花粉症の予防サポート、おうち時間の過ごし方の一例として、自分らしくしなやかに事態に対処するヒントや不安解決の糸口となれれば幸いです。
精油ブレンディングのポイント。自身の好み・香りのハーモニー・作用をバランスよく
次項にて、抗ウイルス・花粉症対策、免疫力向上作用にフォーカスした、アロマディフューザー用のブレンドオイルのつくり方をご紹介しますが、その前に精油のブレンディングについて、重要なポイントを押さえておきましょう。

<ポイント1> 自身の香りの好みを大切に
お部屋の香りは長時間嗅ぐことになるものです。いくら作用的によい精油でも、自分の好みに合わない香りはストレスや不快感の原因になります。求める作用のある精油群から、好みに合った、心地よいと思える香りを選びましょう。

<ポイント2> 香りのハーモニーを大切に
前編で解説したように、香りに奥行きと調和を持たせるために、芳香成分の揮発時間を考えて各ノートの精油をバランスよく配合していきましょう。
トップ・ミドル・ベースノートを組み合わせて香りのアコード(和音)をつくる発想で香りを積み重ねていきます。最もシンプルな調香は、トップ・ミドル・ベースの各1種を選んで、3種類の精油を組み合わせる方法です。

そこに、さらにトップミドル、ミドルベースといった中間値や各ノートの香りとして複数の精油を加えて構成することで、より複雑で奥行きやニュアンスのある香りが完成します。
この複数の精油が組み合わさった時の香りを確かめるには、専門的にはムエット(試香紙)に精油を少量含ませて、香りを嗅ぎ合わせながら調香していきます。

しかし、ご家庭で気軽にブレンドするのであれば、フタを開けた精油瓶をいくつか寄せ合わせて顔を少し近づけて、手であおぐようにして混ざった香りを確かめてみるのでもよいでしょう。
まずは専門性よりも、気軽に「香りに親しむ」習慣を身につけたいですね。
<ポイント3> とはいえ作用性も見落としなく!
上記のポイント3つを押さえていくと、概ね自分好みのブレンド精油の構成メンバーが絞られてきます。そしてここでもう一度、今回のブレンドの目的である「抗ウイルス・花粉症対策、免疫力向上作用」に合っているか、調合する精油のメンバーを見直してみましょう。

大抵、アロマセラピーの入門書には、上写真のような「各精油と作用の対照表」が掲載されています。入門書を参照して見直しや確認をすることで、好みと作用の両立が取れたブレンドオイルをより的確につくれるようになります。
基本的に、精油の香りは合成香料のように刺激が強すぎることがないので、絶対的に合わない組み合わせというのはほとんどありません。
トップ・ミドル・ベースノートのどれかに偏らないように注意するだけで、どのように組み合わせても、大きな失敗がなく、よい香りとなります。ぜひ躊躇せず、イマジネーション豊かにブレンドを楽しんでいただきたいと思います。ブレンド作業も楽しいおうち時間の過ごし方のスタイルになることでしょう。
ルームフレグランスオイルの配合例
では抗ウイルス・花粉症対策、免疫力向上作用にフォーカスした、アロマディフューザー用のブレンドオイルのつくり方を紹介します。

今回は、10mlの精油ボトルを取りつけられるネブライザー式ディフューザー用に、10mlのブレンド精油をつくる例を解説します。一般に手に入りやすい精油瓶には、ドロッパーという滴下用の中蓋がついていて、精油が0.05mlで1滴ずつ垂れるようになっています。したがって、10mlなら200滴の精油をブレンドすることになります。

【用意するもの】

- ビーカー (20mlか30mlのものが便利)
- お気に入りの精油 (トップ・ミドル・ベースノートをカバーするように3種以上)
- 遮光瓶 (今回は10mlのものを使用)
- 割り箸(かき混ぜ用)
【つくり方】
手順1) 作用・好み・つくりたい世界観を考えて各ノートの精油を選ぶ

まずは「抗ウイルス作用は重視したいな」とか「華やかというよりは森林のように落ち着く雰囲気に」または「清涼感があって、スッと集中モードに入れるように」など、つくり出したいイメージや世界観をよく考えて(ノートなどに書き出してもよいでしょう)、その世界観に合いそうな精油を各ノートから一次選抜します。

手順2) バランスを考えて、仮レシピを書き出す

いくつかの香りを合わせて嗅いでみたりしながらバランスを考えつつ、合計200滴になるように各種の分量を割り当てた仮のレシピを書き出してみましょう。

トップノートになる柑橘類は、第一印象は強く感じるものの持続が短いので多めの分量で。ベースノートの香りは、最初「薄いかな」と感じますが、じわじわと存在感を発揮していくので少なめに、と考えると概ねうまくいきます。
手順3)香りを確かめながら精油を配合していく

ビーカーに精油を垂らして配合していきます。この時、ベースノートの精油は、すぐには香らず後から少しずつ香りが立ってくるので、配合の順番は香りの重い順。つまりベース→ミドル→トップの順に、「透け感のあるレイヤーを重ねていくようなイメージで」配合していくと失敗が少なくなります。

また、新しい精油を加える前に、ビーカーの中で配合した精油と嗅ぎ合わせながら、相性や香りの強さのバランスを取りつつ足していくとよいでしょう。ベチバーやクローブ、ペパーミントなどは香りのキャラクターが強く、少量でもかなり存在感が出ます。一滴一滴を足した時の香りの変化を確かめながら足していきましょう。
特に、ブレンドに慣れないうちは、最初から仮レシピの分量で決めた通りに精油を足すと、でき上がりが当初のイメージと食い違うということがしばしば起こります。そのため、最初から全量つくらず、まず半量くらいブレンドしてみて香りのバランスを確かめ、残り半量は仮レシピにとらわれずに自分がいいと思うように少しずつ足して完成させていけば、イメージとの合致精度が上がります。
手順4)遮光瓶に移して完成。レシピは記録をメモしておくと便利

ビーカーで調合した10mlの精油を遮光瓶に入れ、ネブライザー式のアロマディフューザーにセットして完成です!

ビーカーの内側に残ったブレンドオイルは、ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどで拭き取れば、そのペーパーからも香りが立ち上って、ちょっとしたルームフレグランスになります。折りたたんで胸ポケットなどに入れておくと、ほんのり身体を包む芳香を楽しめます。ブレンドオイルは、いつでもお気に入りの香りを再現できるように、最終的なレシピを記録しておくことをおすすめします。
【参考】乙庭オフィスでのアロマディフューザー用精油ブレンド例
実例があると分かりやすいと思うので、乙庭オフィスでのある日の香りのレシピを紹介しますね。
私たちも、ウイルスや花粉症対策向けの精油を集合させつつ、ユーカリやミントなどの清涼感プラス柑橘系の前向きな香りでシャキッとオフィスワークでの集中力アップを図っています。

クローブとミルラ、オレンジなどが相まって、オレンジピールやミントチョコレートのような「大人スイーツっぽい」ニュアンスも感じられ、仕事しながらもちょっとウキウキ気分になれるブレンドです。

音を聴く時、意識の方向を変えると違った音が耳に残るのと同様に、下記ブレンドも、樹木の香りに意識を向けると、パインやジュニパーなど針葉樹林のハーモニーが感じられます。
<ベース~ミドルベースノート>合計40滴

ミルラ
シダーウッドアトラス
クローブ
パイン
フランキンセンス
<ミドル~トップミドルノート>合計100滴
◎印のウイルス・花粉症対策定番精油を多めに配合

◎ティートリー
◎ユーカリ(グロブルス)
◎ラベンサラ
ペパーミント
ジュニパーベリー
プチグレン
ローズマリー 1,8シネオール
<トップノート>合計60滴

オレンジスイート
レモン
【注意事項】

※エタノールがあれば、1.2倍ほど希釈すると、よりマイルドな香りになります。
※精油原液は刺激が強いため、直接皮膚につかないように注意しましょう。作業中に気分が悪くなった場合は作業を中止し、換気するなどして精油の刺激に当たり続けないようにしましょう。
※精油は引火性がありますので、火気のない場所で安全に作業しましょう。
※各精油で成分や作用が異なります。作用やリスクについて事前によく調べてから使用しましょう。
※精油は医薬品ではありません。治療目的では使用せず、健康状態が気になる方は医師にご相談ください。
※妊娠中・授乳中の方、病気治療中の方、アレルギー体質などの心配がある方は、使用に注意が必要です。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。また3歳未満のお子さんがいる屋内では使用しないでください。
※精油を用いてつくったものは自身が製造者となります。自己責任で安全に配慮して活用しましょう。
住まい方療法としてのアロマセラピー
植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、創造的に心身の健康に役立てていくアロマセラピー(芳香療法)。

超高齢化や生活上のストレス増加が懸念されている今日において、病気や不調の原因となる生活習慣やストレスなどのメンタル面の問題、住環境などを包括的に整えていくホリスティック(包括的)ケアの一つとしてアロマセラピーにも注目が集まっています。
植物を多角的に生活の中に取り入れることで、健康寿命を延ばしたり人生の質を高めることを目指すガーデンセラピー。心身ともに溌剌と健やかに日々を過ごすという観点からも、老若男女問わず、住まい方療法の一つであるアロマセラピーを効果的に暮らしに取り入れたいですね。
では、次号記事では、ウイルス・花粉症対策、免疫力向上作用のある精油について、手に入りやすく汎用性の高いものを、乙庭セレクトで詳しくご紹介します。

「香りは、自分のスタイルを完成させるための雄弁なコスチューム」
(ココ・シャネル ファッションデザイナー 1883 – 1971)
Photo/5)Antonio Guillem 6)xpixel 9)Africa Studio 12)Roman Samborskyi 14)Asmiana 15)Madeleine Steinbach 17)medejaja 21)natkinzu 26)bitt24 /Shutterstock.com
Credit
写真&文 / 太田敦雄 - 「ACID NATURE 乙庭」代表 -

おおた・あつお/園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
NHK『趣味の園芸』講師。(一社)ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG)正会員デザイナー。ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー。日本メディカルハーブ協会 シニアハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。
「太田敦雄」公式ブログ https://note.com/acid_nature_0220
プロフィール写真/田中雅也
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