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超簡単、手作り塩麹の鶏ハムで愛犬も人も美味しく健康に!

超簡単、手作り塩麹の鶏ハムで愛犬も人も美味しく健康に!

「犬は汗をかかないから塩分は要らない」と耳にしたことはありませんか。いえいえ、塩分は動物が生きるために摂り入れなければいけない5大栄養素の一つです。今回はハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、手作り塩麹の鶏ハムを紹介してくれます。簡単に作れて、もちろん、人が食べても美味しく身体に優しい一品ですよ。ぜひお試しあれ。

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塩分濃度10%の塩麹を作ろう

塩麹

2012年頃、大ブームになった塩麹。遅ればせながら、私にも発酵料理のブームが今、やってきました。

塩麹には腸内環境を整えたり、動脈硬化の予防、免疫力アップなどの効果があります。そして、麹に含まれているアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼという消化酵素は、肉や魚を柔らかくして、味にコクを出してくれるのです。

これを、我が家の愛犬あんのごはんにも利用できないかと思うようになりました。

犬の食事は、基本的に味付けはせず、素材の旨味だけで作ります。その旨味をもっと引き出して、もっと美味しくするのに、麹を使って料理できないかなと考えたからです。美味しくなって、腸内環境もよくなれば、私もあんも嬉しいことばかりです。

まずは、塩麹から取り入れることにしました。

犬のご飯に塩⁉ と思われるかもしれませんが、じつは、犬と塩について、私は誤った思い込みをしていたことに気がつきました。そのお話は後ほど。

それでは、塩分濃度をなるべく低めにした塩麹を作りましょう。

<材料>

  • 米麹 100g
  • 塩 25g
  • 水 110g

この割合の塩分濃度は、塩25g ÷ (米麹100g + 塩25g +水110g)×100= 10.63% となります。

10%より低いと、腐敗しやすくなるので、犬のごはんに利用する塩麹はこのくらいの塩分で作っています。

<作り方>

手作り塩麹
  1. 米麹をほぐします。
  2. 塩とよく混ぜます。
  3. 水を加えて混ぜます。
  4. 保存容器に入れて、常温で10日ほどおきます。
  5. 1日1回、スプーンでよくかき混ぜます。
  6. お好みでブレンダーを使って滑らかにします。
手作り塩麹

塩麹の鶏ハムと野菜添え

手作りの塩麹を使って、鶏胸肉のハムを作ります。

<材料>

  • 鶏胸肉 1枚
  • 塩麹 大さじ1弱
    (大さじ1杯で約18g、塩分濃度10%の塩麹だと塩分は1.8gとなります。)

作り方はいろいろな方法がありますので、以下はご参考までに。

<作り方>

  1. 厚さを揃えるように鶏胸肉を開きます。皮やスジなども取り除いてきれいにします。ここではお鍋に入れることを考えて、2つに分けました。
    塩麹の鶏ハム
  2. 塩麹を両面に塗って10分ほどおきます。
    塩麹の鶏ハム
  3. キッチンペーパーで、塩麹を軽く拭き取ります。
    手作り塩麹の鶏ハム
  4. 肉をクルクル巻いて、ラップで包みます(二重に)。
    塩麹の鶏ハム
  5. 湯を沸かしたお鍋の中にラップをしたまま入れて、30分ほど弱火で茹でます。
    塩麹の鶏ハム
  6. 火を止めて、湯が冷めるまで鍋の中に入れておきます。
    塩麹の鶏ハム
  7. でき上がった鶏ハムをスライスして、茹でたスナップエンドウとブロッコリー、焼きカボチャを添えてでき上がりです。
    塩麹の鶏ハム
手作り塩麹の鶏ハム

我が家の愛犬あんに与えるときは、野菜は小さくカットして、鶏ハムは手で小さく割き、野菜と混ぜます。

この鶏ハムは、人間が食べる場合はそれほど塩味を感じませんが、ドレッシングをかけることを考慮すると、このくらいでも十分です。

犬はどう感じるのかなと気になります。感想を聞けるといいのですが…。

あんは、この鶏ハムが気に入っているようで、いつも美味しそうに食べてくれます。

犬にも塩分は必要

犬と塩分

「犬は汗をかかないから塩分は要らない」と耳にしたことはありませんか。私は「なるほど! それなら犬には塩は要らないかも」と思い込んでいました。ところが、ふとしたきっかけで、「それは本当?」と疑問に思うようになりました。

私の花の教室に来てくださっている方で、馬術競技の指導をされている方がいます。その方と話をしているときに、「馬は塩分補給がとても大切」と聞きました。なんでも、馬房に塩の塊(鉱塩)を置いて、いつでも馬が自由に塩分を摂ることができるようにしているのだそうです。

馬は犬と違うんだな、とぼんやり思ったのですが、いやいや人間も含めて、すべての生き物は塩分が必要なのではないか、犬だけ塩が不必要なんてことがあるはずがないと思い、あらためて調べてみました。すると、やっぱり…。

ナトリウムの働き

塩

動物が生きるために摂り入れなければいけないものを栄養素といいます。犬にも五大栄養素といわれる「脂質」「タンパク質」「糖質」「ビタミン」「ミネラル」が必要です。

脂質、たんぱく質、糖質の「三大栄養素」は、身体の基礎を作り、身体を動かすエネルギーを生み出し、「ビタミン」や「ミネラル」は三大栄養素の働きを助けます。

ミネラルは身体の機能の維持や調節に欠かすことのできない栄養素です。ミネラルは体重のわずか4%に過ぎないのですが、ビタミンと同様に微量で体内の重要な整理作用を担っています。体内では作ることができない栄養素で、食べ物からの摂取が必要です。

ミネラルには、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、鉄などがあります。バランスをとって、過剰に摂取することがないように注意します。

*「ペットフーディスト養成講座テキスト」より

さて、塩分のもと、ナトリウムの働きはというと、浸透圧とpHの維持、細胞内の栄養素の移行を調整し、カリウムとセットになって水分代謝を促進するということです。不足すると、食欲不振、疲労、脱毛などを引き起こし、過剰だと喉の渇き、便秘などの症状が表れます。

愛犬は塩分足りている?

犬と塩分

我が家には6歳になる柴犬のあんがいます。あんは、散歩から帰ってきた後や食事をした後、自分の足を舐める癖があります。私は、その様子を見て、お散歩にも行ったし、お腹もいっぱいになったし、リラックスしているのかなと思っていました。はたまた、退屈でなんとなく足のお手入れでもしているのかと。

ところが、犬が自分の足を舐めるのは、塩分不足のときにすることがあると知り、もしかして、あんは塩分が足りていないのではないかと気がつきました。

あんの食事は、朝と夜の2回で、お昼にヨーグルトやさつまいもなど軽食をとることがあります。朝は手作りごはんで、夜はドッグフードと手作りのおかずを併用しています。規定量のドッグフードを食べていれば、ナトリウムは摂取できるそうです。食事はすべて手作りという場合は、少し注意したほうがよいようです。我が家の場合は、手作りごはんと規定量の1/3程度のドッグフードですが、これではもしかすると、ナトリウムが少なめではないかと心配です。

しかしながら、肉や海産物には多少のナトリウムが含まれているため、自然と摂取できていることもあるそうです。厳密に、どのくらい摂取していて、どのくらい不足しているのかは、残念ながら分かりません。

犬が一日に必要な塩分は?

犬と塩分

それでは一体、一日にどのくらいの塩分を摂取したらよいのでしょうか。

一日に必要なナトリウム量と、ナトリウムを塩に変換する計算方法が紹介されていました。

<ナトリウムを塩に変換する式>

① 犬の体重(kg)×ナトリウム推奨値(50mg)=一日に必要なナトリウム量(mg)

② ①で計算したナトリウム量(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)

これに当てはめると、我が家の柴犬あんの場合は、

① 体重11(kg)× 50 =550 mg

② 550mg × 2.54 ÷ 1000 = 1.397g となります。約1.4gというと、結構多いような印象です。

ちなみに、厚生労働省による一日あたりの塩分摂取量目標値は、男性で7.5g、女性で6.5gということです。

毎日の食事で、必ずこれだけの量の塩を、食塩で摂取するということではなくて、食材の中には、塩分を含んだものがありますので、うまく取り入れていくことが大切になります。

そして、ナトリウムを含むミネラルは、それぞれが単体で働くわけではなく、他の栄養素と一緒になって働いたり、また、偏ると吸収を阻害したりするので、過不足なくバランスよく摂取するのがとても大事です。いろいろな食材を利用することでバランスをとるのが理想です。

愛犬の食事について考えましたが、これは飼い主である人間の食事も同じです。

あんと一緒に暮らすようになり、犬のための手作りごはんを実践するようになってから、我が家では(人間用も)野菜を茹でるときに塩を使わなくなりました。それに慣れると、だんだん塩味に敏感になってきました。外で食べる枝豆のしょっぱいこと!

愛犬の手作りごはん作りは、愛犬のためだけでなく、自分自身の食生活を見直すよい機会にもなっています。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp

参考:
『ペットフーディスト養成講座テキスト』(カラーズ・エデュケーション)
『元気で丈夫な子にするための「手作り犬ごはん」の食材帖』(岡本羽加、高崎一哉、安川明男監修・日東書院本社刊)
『犬ごはんの教科書』(俵森朋子著・誠文堂新光社刊)

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