カサカサ肌が気になるこの季節。保存料や添加物の入っていない天然素材の手作りバームのレシピをご紹介します。手作りレシピに加え、素材となるミツロウと蜂にまつわるエピソード、さらにはハンドマッサージのコツなどを、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。

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いつも携帯しておきたい手作りハンドクリーム

冬場だけではなく、庭仕事や水仕事でハンドクリームは一年中手放せません。おしゃれにキメたって、手がガサガサでは格好がつきませんね。市販のクリームには難しいカタカナの成分がたくさん入っていますが、自家用なら数種類の材料だけで保存料や添加物の入っていないバーム(クリームより固い軟膏状のもの)を簡単に作ることができます。今回はミツロウのバームと、それを使ったハンドマッサージをご紹介します。

ミツロウとは

手作りハンドバームの材料
画像中央のキャラメルのようなものが未精製のミツロウ。

ミツロウとは、ミツバチの巣から蜂蜜を採った後に残る「ロウ(ワックス)」のこと。英語では「BEES WAX (ビーズワックス)」と呼ばれ、大昔から重宝され親しまれています。甘い香りを持つ天然ワックスで、色はミツバチが運ぶ花粉の色素の影響を受けて黄褐色です。精製された白く無臭なものも販売されていますので、用途に合わせて使うとよいでしょう。

精製されたミツロウ
精製された白く無臭なミツロウは、色をつけたい時や、精油だけの香りをつけたい時に。

ミツロウは皮膚刺激性が低く、酸化しにくく保湿効果が高い、とてもお肌にやさしい素材です。殺菌・抗菌作用もあるので古代エジプトでは精油と共にミツロウも、ミイラ作りに欠かせない材料だったとか。なるほど!それはお肌によさそう!

ミツロウラップ
最近では殺菌・抗菌と保湿作用を活かして、布をミツロウでコーティングした「ミツロウラップ」も人気です。

効能の高さと、扱いやすさ(熱を加えるとやわらかくなる性質) から、化粧品やスキンケアなど、さまざまなものに使われてきました。電気のない時代の中世ヨーロッパの教会では、キャンドルを大量に使うので、蜂蜜ではなくミツロウを採るためにミツバチを飼っていたとか!

蜜蝋のロウソク
ミツロウのロウソクはススが出にくい特徴があります。

養蜂は意外と身近?

私自身アロマセラピーを通してミツロウに触れる機会がありますが、なかなか養蜂に関しては興味が湧きませんでした。

蜂蜜を食べるのは好きだけど、養蜂と聞くと、なんだかおしゃれな感じでもないし(全国の養蜂家の皆さまごめんなさい!)、リンゴ狩りやイチゴ狩りのようなエンターテインメント性もない、少し地味なイメージがありました(重ね重ね、全国の養蜂家の皆さま、ごめんなさい!)。

そんな時に出会ったのが、「Backyard Beekeepers」 の大庭 零士郎氏。

私は何事も形から入ってしまうタイプなので、まずは「Backyard Beekeepers」という名前に興味津々。バックヤードビーキーパー(裏庭養蜂家)とは、自宅の裏庭で趣味の養蜂を楽しむ人たちのこと事。定年退職したおじ様や時間にゆとりのある人々に近年人気なのです。

その名の通り、零士郎氏は自身を養蜂家とは呼ばずに、「日本みつばち愛好家」と呼び、本業のおしゃれクリエイティブディレクターの傍ら、ライフワークとして野生在来種の「日本みつばち」を逗子、葉山、鎌倉で自作の巣箱に招き入れ、生態系の観察、採蜜、ミツロウ採取まで、全て自身で行っています。

backyard beekeepers

一見、コワオモテな零士郎氏ですが、話し始めると私の母並みによく喋る、喋る、喋る! まるで「歩く女子会」みたいなチャーミングでギャップのある人柄に、気がつくと私はすっかり彼のファンになっていました。

市場に出回っている「国産蜂蜜」の99%は西洋ミツバチの蜂蜜だそうで、日本ミツバチの蜂蜜は一般的な西洋ミツバチに比べて、わずか1割程度しか収穫できないそうです。

なんと! 日本ミツバチ1匹が一生の間に集める蜜の量は、わずかティースプーン1杯ほど。

西洋ミツバチに比べて飼育が難しく、採蜜量も少ないため、高価で商業的には不向きだとか。

日本ミツバチのハチミツ

彼が採蜜した日本ミツバチの蜂蜜は、私が普段食べている蜂蜜の味とは全く異なり、口に入れた瞬間に、まるで自分が清々しいお花畑のど真ん中にいるような錯覚に陥らせてくれる味でした。でもなんだかフルーティだし、若干の酸味もあり、とにかくさまざまな花や木の蜜が混ざり合ったフレーバー。例えるなら「素敵なガーデンの宝石箱や〜!」って感じかしら。聞けば、日本ミツバチは西洋ミツバチとは違い、季節や場所によってさまざまな種類のお花の蜜を集めるため「百花蜜」とも呼ばれているそうです。うん、納得!

「美味しい」なんて薄っぺらな言葉では表せないほどの情熱と手間が込められている、希少な日本ミツバチの蜂蜜、ぜひ機会があればご賞味くださいませ。

「Backyard Beekeepers」
「Backyard Beekeepers」は不定期でバームやキャンドルを作るワークショップなども開催しています。

仕事としてではなく、カルチャーとして日本ミツバチの養蜂を行う「Backyard Beekeepers」。環境問題や食に対する意識が高まる昨今、彼のアクションは時代にフィットしているなぁ……と、なんだか羨ましくも感じます。

ミツバチたちは生命活動として蜜を集めながら、体に花粉をつけて植物の受粉をさせるので、古来より自然環境において欠かせない存在です。さらに、私たちはミツバチから美味しい蜂蜜と、日常生活のさまざまな助けとなるミツロウをありがたく頂戴しています。

大昔から人間はミツバチとの関わりが深く、彼らは私たちにとって必要不可欠でサステナブルな生き物。零士郎氏いわく「一家に一台、裏庭に巣箱を置けば世界が平和になる!」とのこと。「あー、確かに。それも一理あるかも!」と思う今日この頃です。

庭のきれいな草花や、畑の美味しい野菜もハチたちのおかげ、明日からはハチを見かけても「BEE FRIENDLY」。感謝し、優しくしてあげましょう!

「Backyard Beekeepers」のマグ
零士郎氏の本業(クリエイティブディレクター)が故に「Backyard Beekeepers」はステッカーやマグカップなどのオリジナルグッズがあります。

今回はそんな希少な日本ミツバチのミツロウ(私のホームタウン葉山産!) を使い、バームを作りたいと思います。

ミツロウ
神奈川県葉山町で採れたミツロウ。精製されてないミツロウには本来の甘い香りがあり、精製されたものよりも有効成分が多く残っています。

ミツロウバーム作りに必要な道具は?

ハンドバームの材料
ほぼ家にあるもので大丈夫!

「ビーカー」

材料を入れて湯煎にかけるので、耐熱性のものを選びましょう。少量作るのであれば50〜100ml程の容量のものが使い勝手がよいです。

「鍋」

普段お料理に使っているもので構いません。なんならフライパンでもよし!

「竹串」

湯煎にかけて溶けた材料を混ぜるのに使います。

「容器」

私のおすすめはガラス製。煮沸消毒ができるものを選べば繰り返し使えて、精油の香りが瓶に移りません(光による劣化を防ぐ遮光ガラスが最適です)。

ミツロウバーム作りに必要な材料は?

ミツロウバームの材料

「ミツロウ」

アロマ関連の商品を扱うお店や、インターネットでも購入が可能です。各地の養蜂場のホームページからも購入できる場合が多いです。せっかくなので、ミツロウと共に美味しい蜂蜜も注文してみては?

「キャリアオイル」

精油を希釈するためのオイルです。精油の成分を効率的に皮膚へ運ぶ「carry」から、キャリアオイルと呼ばれています。私がよく使うキャリアオイルは「ホホバオイル」。ホホバは砂漠地帯に生える多年草の植物で、その実や種子から取れるオイルです。ネイティブアメリカンたちが肌の保護や傷の治療などに用いていました。

ホホバオイルは酸化安定性が高く、長く保存しても劣化の少ないオイルとして知られています。肌にとても馴染みやすく、皮膚刺激性も低いので赤ちゃんから高齢者、アトピーなどの皮膚トラブルがある方にも安心してお使いいただけます。ホホバオイルって本当に万能! お風呂上がりの足裏マッサージやクレンジング、整髪料代わりに! 私は全身に使用しています。

「精油」

精油(エッセンシャルオイル)は植物から抽出した揮発性の芳香物質のことで、植物それぞれが独特の香りと効能を持っています。

今回は、ガーデニングでもおなじみの2種類をブレンドしてみましょう!

精油の効能 ラベンダー&ゼラニウム

「ラベンダー」  学名Lavandula angustifolia

ラベンダー

ガーデニングでもよく見かけるラベンダーは、アロマセラピーの原点ともいえる精油。酢酸リナリルとリナロールが主成分のため、「鎮静」、「抗痙攣」、「鎮痛」作用が主な特徴です。難しい成分名はさておき、芳香成分が少量ずつ300以上含まれているため用途が広く、万能に使えるオールラウンダー。その効能の多様さから「疑わしきはラベンダー」といわれるほどです。

ラベンダー
乾燥タイプのラベンダーはケーキのトッピングやハーブティーに!

遠足の前日のように明日が楽しみで眠れぬ夜も、悔し涙で枕を濡らす夜もあるものね、だって女の子だもーん。女心は秋の空ではなくて、ゲリラ豪雨。そんな日は、お守り代わりに枕元にラベンダーを。

心、体、感情、精神すべてのバランスを整えてくれる香りで、アロマセラピー入門時の1本としてもお勧めしています。心がモゾモゾする日には、ぜひお試しを!

※妊娠中は使用を避けてください。

「ゼラニウム」 学名Pelargonium graveolens

ゼラニウム

こちらもガーデニングでよく登場するローズゼラニウムです。バラと共通の成分を含んでいるため、高価なバラの精油の代用として使用されることもあります。爽やかなローズのような香りは女性的で、「静かな力強さ」と「安心感」を与えてくれるでしょう! バラに似たフローラルな香りを葉っぱもっているなんて、ちょっと不思議。

ゼラニウム精油は肌質を問わずに使え、「シワ」や「しみ」、お肌の「アンチエイジング」、「皮脂分泌のバランス」作用があり、スキンケアにも大活躍! 女性に嬉しい効能が詰まっています。

自律神経のバランスを調整する効果があり、「情緒不安定」や「更年期障害」など、ホルモンバランスの乱れからくる症状にも効果が期待できます。インスピレーションや直感力などの「感受性」を高め、自分の感情を素直に受け入れて生きることは、豊かな人生を送ることに繋がります。自分で作ってしまった「心の部屋」に閉じこもっているあなたへ、ドアの下の隙間から「そっ」と差し出してあげたい香り。さあ、もう時代は令和よ! 壁を壊して飛び出しなさい! Girls be ambitious!

※妊娠中は使用を避けてください。

ルーシーのミツロウバームレシピ

ミツロウバームの作り方
大きな固まりのミツロウは、カッターなどで小さく切ってから湯煎すると溶けやすいです。一般的に販売されているのは小粒のペレット状のものが多いです。

30ml容器量

  • ミツロウ 5g
  • ホホバオイル 25g
  • ラベンダー精油 4滴
  • ゼラニウム精油 3滴

作り方

  1. 耐熱の容器にミツロウとホホバオイルを入れ、弱火で湯煎しながら、竹串でかき混ぜる。

    ミツロウバームの作り方
    火から下ろしたところ。ミツロウとホホバオイルが溶けて混ざると透明になります。
  2. ミツロウが溶けたら瓶に移します。冷え始めると、まわりからうっすらと白くなってくるので、このタイミングで精油を加え、よく混ぜます。
    ミツロウバームの作り方
  3. そのまま静かに置いておき、全体が白濁して固まったらでき上がり!
    ミツロウバームの作り方

※無添加なので2カ月程度で使い切りましょう。

ハンドリフレクソロジー

ハンドクリームを塗る際に手のマッサージもすれば、保湿しながら精油の効能を取り込み、免疫力も高まり、一石三鳥。「アロマセラピー」と「リフレクソロジー」がタッグを組めば「鬼に金棒!」。風邪やウイルス、不運や、悪霊だって私を避けて通るんだから! つまりは「心も身体も健康になれますよ」という意味ね。

リフレクソロジーは英国式足裏マッサージ。「反射」という意味のreflexに「学問」を表すlogyをつけた「反射区療法」のことです。足や手には体全体の反射区というものがあり、反射区は各器官や内蔵につながるといわれている末梢神経の集中箇所のことです。

手の反射区
足裏と同様に、手にも反射区がたくさんあります。手と足の形状は多少違っても、反射区の存在する場所はほぼ同じ!

今回は簡単に押せる反射区を2カ所ご紹介します。

①「頭と髪の毛」

「頭部」の反射区
「頭部」の反射区。

リフレクソロジーの考え方で指先と爪は「頭部」の反射区。

手にハンドクリームを塗る際に、意外と爪には塗り込んでいないのでは? 刺激することで頭部の血行を促進し、乾燥気味な髪の毛にも潤いを与える効果があります。安眠にも効果的。

②「肩と肺」

「肺(胸)」の反射区
「肺(胸)」の反射区。親指から薬指までの付け根のすぐ下。

親指から薬指までの4本の指の付け根のすぐ下は「肺(胸)」の反射区、小指のすぐ下は「肩(腕)」の反射区です。肩こりはもちろん、ストレスで呼吸が浅くなっている方にもおすすめしたい場所です。ミツロウバームの香りで深呼吸! リラックスしながら押してみてくださいね。

「肩(腕)」の反射区
「肩(腕)」の反射区。小指のすぐ下。

リフレクソロジストとしては大声で言えませんが、とにかく適当に! 痛気持ちいい所をなんとなく押しとけばオッケーなのです。どう? これなら毎日続けられそうな気がしてきたでしょう?

反射区を刺激して全身のバランスを整えると、自然治癒力や免疫力アップにも効果があります。メンタル面のケアも期待できるので、心と身体がアンバランスになってしまっている時にも頼もしい味方となるでしょう。

ミツロウバームは、「肌」「髪」「唇」など全身に使える万能保湿クリーム! 髪の毛の乱れを直したり、練り香水のように使ったりと使い道はさまざま。いつもカバンの中に入れておきたい相棒です。ぜひお試しください!

Credit

ルーシー恩田

写真&文/ルーシー恩田
アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト
20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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Instagram http://instagram.com/say_it_with_lucys

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