手荒れする園芸作業を極上の手肌ケアタイムに! ハンドクリーム活用法1 概要・作り方編 【乙庭Styleのガーデンセラピー1】
植え替えや植え付けなど、庭仕事で土に水分が奪われて、手肌が荒れやすい冬の乾燥シーズン。でもこの方法なら、手肌が荒れずに園芸作業や家事ができてしまうという、一石二鳥のアイデアをご紹介します。分類の垣根を取り去った植物セレクトで話題のボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが提案する、男女問わず使えるハンドクリーム活用法と作り方です。
目次
「園芸作業に手荒れは付き物?」…ではありません
園芸・ガーデニング作業というと、真っ先に「土いじり」のイメージが思い浮かびますよね。植物を植えて育てていくことは、とても気分のよいことです。
しかし、素手や軍手などで土に直接触れて作業をしていると、特に冬の乾燥した季節などは、土に水分が奪われ、手肌の乾燥や荒れ、加齢も進んでしまいます。
また指先がひび割れたりささくれたり、爪の間に土が入ってしまったりして、なんだかネガティブな気分になったり、園芸に対してのみならず生活全般のモチベーションが下がったりしませんか?
そこで今回から2回シリーズで、乙庭でも実践している、土いじり作業を「手荒れタイム」から「手肌ケアタイム」にポジティブチェンジするハンドクリーム活用法についてご紹介します。
そして、本記事後半では、その「手肌ケアタイム」までも自分らしい香りでカスタマイズできる、オリジナル手作りハンドクリームのレシピや作り方もご紹介します。
老若男女問わず、園芸や家事など、日々の暮らしを隅々まで自分らしく、楽しく健やかに過ごすヒントや、お悩み解決の糸口となれば幸いです。
ハンドクリームと薄手手袋の二重使いで土作業が手肌のスペシャルケアタイムに
では早速、乙庭流ハンドクリームの活用法をご紹介します。園芸やキッチンでの水作業をする場合、作業が終わってから手肌保護のためにハンドクリームを塗る方が多いと思います。しかし、乙庭では、土に触れる作業の時間自体を「ハンドクリームを手肌に浸透させるスペシャルケアタイム」として使っています。
このように書くと「土に触れている間にハンドクリームが落ちゃうんじゃない?」と思われるかもしれませんね。かいつまんでいうと、土いじりをする際、ハンドクリームを付けてから、使い捨ての薄手の手袋とゴム手袋を二重使いするのです。
そうすることで、作業中も手袋内の温湿度が上がって血行がよくなり、手肌もしっとりしたところにハンドクリームが浸透していき、「園芸作業前よりも作業後のほうが手肌がキレイ」効果が得られるんですね。
では、具体的に乙庭ではどういう風にしているか、順を追ってご説明します。
まず、用意するものは、本記事の主役であるハンドクリーム。意外と簡単に自分オリジナルのクリームを作れるので、今季からは、乙庭でも自作のクリームを愛用しています。
肌によい植物油と香り高い天然の精油(エッセンシャルオイル)で作ったクリームなので、浸透性も潤いの持続もいい感じですよ。作り方は後述しますね。もちろん、手作りでなく市販品で自身に合うものをお使いいただくのでも大丈夫です。
次に、食品加工や介護の現場でも使用される使い捨ての薄手の手袋。最近では、家事用としてもホームセンターで販売されています。
そして、手にフィットする丈夫なゴム手袋。以上3点です。
まず、ハンドクリームを通常よりも多めに手に塗り込んでいきます。
そのまま手袋をしてしまうので、ややべっとり・テカテカするかしないかくらい塗っても大丈夫です。
ちなみに今回の手のモデルは、乙庭勤務歴6年の30代男性スタッフ。毎日植え替えや植栽を手伝ってもらっていますが、普段から手袋で保護しているので、園芸や農業従事者の男性の手としては、とてもキレイですね。
そして、ハンドクリームを塗った手に、使い捨て薄手袋→ゴム手袋の順に二重につけていきます。
間に薄手袋をしないと、ゴム手袋の内側にハンドクリームがべっとりついてしまい、ゴム手袋を裏返して洗ったりする手間が増えたり、結局洗う時に土や水に触れるハメになってしまいます。
この下準備をしてから園芸作業に取り掛かると、土いじり作業に熱が入るにつれて血行がよくなり、手袋内の温湿度も上がって、ハンドクリームがとてもよく手肌に馴染みます。
作業前より作業後のほうが格段に手肌のコンディションがよくなりますよ。園芸と手肌ケアを両立しつつ好循環を生み出せますね。
乙庭でも毎日、全スタッフが多くの時間、土に触れています。もし、普通に素手で作業し続けていたら、手肌がガッサガサになったり、ひび割れたりするのは必定です。
しかし、園芸はツラい趣味であってはいけないと私は常日頃から思っているので、スタッフにも土が直接手につかないよう、ゴム手袋の着用を勧めています。ゴム手袋をつけるだけでも、手があまり汚れないので、作業後の手洗いも楽に済みます。
土のついた手を石鹸でゴシゴシ洗うと、さらに水分が奪われて手肌が乾燥して荒れますし、冬の屋外で冷たい水で手を洗ったり、屋内に土汚れが入ったりすると生活のモチベーションが下がりますよね。手袋の使い方一つでこれらのマイナス要因を回避できて、いいこと尽くめといえるでしょう。
そこにプラスしてハンドクリームを有効活用することで、手肌にとってマイナスイメージだった日々の土いじり作業をしながら、「普段なかなかできないようなスペシャルスキンケア」を同時に行えるようになります。園芸のモチベーションアップにもつながりますよね。
「老け手」なんていう言葉もあるように、手は肌年齢の差が目に見えて分かりやすい場所でもあります。手は顔と違い、女性でもメイクもせず素肌がむき出しですし、意外と人目につきますので、「素のままでキレイ」な状態を目指したいところでしょう。
素手で土に触わることにこだわる本格派の園芸家の方もたくさんいらっしゃいますし、確かにそれも一理あると思います。しかし、一般の方の趣味の範囲でいうなら、素手で行う土いじり作業は、日々の暮らしや年齢の重ね方として、エイジングの加速防止や衛生・健康の観点からも「避けてもよいこと」であるように思うのです。
男女を問わず抵抗なく利用できるアロマティック手作りハンドクリーム
前述のハンドクリームと手袋二重使いの併用で、相当の手肌ケアが期待できます。市販のハンドクリームでも必要十分なのですが、ここでさらに一歩、「自分らしく」楽しく演出できる応用編として、今季から乙庭でも使い始めて、とても効果がよく愛用している自家製の「アロマティックな」ハンドクリームの作り方をご紹介します。
アロマセラピーで用いられる精油(エッセンシャルオイル)と手肌ケアによい植物油などを使って作ります。精油のブレンドや、基剤となる植物油の種類を変えることで、自分だけのオリジナルのアロマや効能にカスタマイズできますよ。
ご自身の庭やお部屋のイメージで香りのブレンドやコーディネートをしても、生活全般の統一感が生まれて面白いでしょう。
アロマセラピーというと、「なんとなく女性的なイメージが強くて、興味はあるけど、なんだか踏み込みにくいなぁ」と思っている男性の方も多いかもしれませんね。
しかし、近年ではナチュラルコスメブランドを中心に、男女を問わず抵抗なく使える、天然アロマエッセンシャルオイル使用のヘアケア・スキンケア商品も多く発表され、人気が高まっています。
そういった「日々の生活を心地よくしてくれる」アイテムを自分オリジナルで作れるとしたら、なんだか楽しそうじゃありませんか?
樹木系やハーブ系など、使用する精油を選んでブレンドすれば、男性でも全く抵抗なくアロマセラピーを楽しむことができます。
自身の生活全般の香りをプロデュースする…これは男性のライフスタイルとしては、むしろハイセンスで新感覚なことではないでしょうか。材料を調合して作る過程もちょっと実験っぽく、理系気分で楽しめるかもしれません。
ハンドクリーム作りだけだとエッセンシャルオイルの使用量も少ないですし、その他の材料や道具ももて余してしまいますので、ぜひアロマディフューザーでお部屋の香りを演出したり、ボディクリーム、軽めのオーデコロンなど、多角的に香りライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。日々の暮らしやメンタルが多彩で豊かなものになるでしょう。
オリジナルの香りで空気のデザインをする。庭も室内も、そして服や身体さえも、分け隔てなく自分らしい雰囲気を演出できますね。
オリジナル手作りハンドクリームの作り方
オリジナル手作りハンドクリーム(25ml入りクリーム容器1個分)
【材料】
- スイートアーモンドオイル 15ml
- カレンデュラオイル 5ml
- お好みのエッセンシャルオイル(精油) 5滴
(今季乙庭配合例/フランキンセンス3:ラベンダー2)
- ミツロウ(蜜蝋) 2g
※上記材料はアロマセラピー用品店やネット通販などで購入できます。
※精油原液は刺激が強いため、直接皮膚につかないように注意して作業しましょう。
※上記レシピの量では、精油使用量は5滴程度までにします。高濃度になると刺激が強くなります。
※各精油で成分や作用が異なります。作用やリスクについて事前によく調べてから使用しましょう。
※肌ケアにおすすめの精油・植物油などについては次回記事にて解説します。
【用意するもの】
- クリーム容器(今回は25mlのものを使用、100円ショップなどでも購入可能)
- キッチンスケール (0.1g単位で測れるものが便利)
- ビーカー(今回は30mlのものを使用。ご家庭用のアロマセラピーだと、30ml・50mlのビーカーと10mlのメスシリンダーを買っておくと計量に便利)
- 竹串(正式にはガラス棒がよいが、ご家庭用のアロマセラピーなら竹串や割り箸で代用可)
【作り方】
- ビーカーにスイートアーモンドオイルとカレンデュラオイルを入れて湯煎にかけ、温まってきたらミツロウを加えて、竹串でかき回しながら溶かします。
- ミツロウが溶けたら湯煎からはずし、少し粗熱が取れてから、手早く好みのエッセンシャルオイルを加えて竹串でよく混ぜます。
- 冷めて固形化する前に手早くクリーム容器に流し込み、常温で冷まします。
- 軟膏状の柔らかさになったらでき上がり。
※計量を誤ってミツロウの分量が多くなってしまうと低温で固まってしまい、冬のガーデニング作業などでは塗りにくくなるので要注意。
※鮮度が劣化していくので、2カ月程度で使い切るようにしましょう。
住まい方療法としてのアロマセラピー
植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、美と健康に役立てていくアロマセラピー(芳香療法)。
超高齢化や生活上のストレス増加が懸念されている今日において、病気や不調の原因となる生活習慣やストレスなどのメンタル面の問題、住環境などを包括的に整えていくホリスティック(包括的)ケアの一つとしてアロマセラピーにも注目が集まっています。
植物を多角的に生活の中に取り入れ、健康寿命を延ばしたり、日々の暮らしを心身ともに溌剌と健やかに過ごして人生の質を高めることを目指すガーデンセラピーの観点からも、老若男女問わず、住まい方療法の一つであるアロマセラピーを効果的に生活に取り入れたいですね。
では、次回記事では、手作りハンドクリームにおすすめの汎用性の高い精油や基剤をご紹介します。
どうぞお楽しみに!
「実年齢と同じスピードで、心の年をとっていくことはないと思うんです。」
(郷ひろみ 歌手 1955 – )
Credit
PHOTO/2) Alex Brylov /4) Arman Novic 8) mihalec /14) GUNs /16) wk1003mike /17) PopTika /19) grafvision /20) Africa Studio /21) JPC-PROD /22) Luxpictura /23) Africa Studio /25) P-fotography /29) bitt24 /Shutterstock.com
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