寒さに縮こまってしまいそうな時、体を内側からポカポカ温めてくれる食材といえば、ショウガ。じつは、ショウガは人間ばかりではなく、犬にとっても冷えの改善に効果があるのです。万病のもとともいわれる冷え対策に取り入れたいショウガについて、ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんに、愛犬との日々の暮らしに取り入れやすい方法、摂取の際の目安量などを教えていただきました。
目次
冷えは万病のもと 愛犬の冷え性にも注意
寒さも本番となっています。我が家の愛犬あんは、日本土着の犬種、柴犬なので、一般的には寒さに強いとされています。ところが、犬の生活環境も変化していて、暖房のきいた温かい部屋で過ごすことが多くなったため、寒さに弱い柴犬もいるようです。我が家の柴犬あんも寒がりらしく、暖かい部屋から外に出ると、ブルブル震えたり、くしゃみをしたり、肉球が冷たくなったりしています。あんも冷え性なのかなと心配になります。冷えは万病のもとといわれますから、日頃から気をつけたいですね。
冷え対策に効果的なのが、体をポカポカ温めてくれる食材としてよく知られているショウガ。ショウガは、犬や猫でも取り入れることができる食材で、感染症、嘔吐、食欲不振、過敏性腸炎などの治療補助に用いられているそうです。

先日、あんの定期検診に行った際、獣医の先生から「ショウガをほんの少しご飯に混ぜるといいですよ」というお話を聞きました。我が家でも、あんのご飯にさっそく取り入れることにしました。
今回は、ショウガを犬との暮らしに取り入れやすい方法や、どのくらいの量を摂取したらいいかなどをご紹介します。
冷え性には、蒸しショウガのパウダー

ショウガといっても、そのまま食べる「生」の場合と、加熱して食べる場合とでは、用途や効果が違います。
中国では生のショウガを「生姜(しょうきょう)」、乾燥したものを「乾姜(かんきょう)」と呼んで区別しています。
生のショウガは、血行をよくして体を即座に温め、発汗を促し熱を出す成分「ジンゲロール」が多く含まれています。寒さが招く風邪の寒気や節々の痛みに有効で、解熱作用も期待できます。このジンゲロールがショウガの辛みの主成分です。
ショウガを加熱したり乾燥させて調理すると、辛み成分のジンゲロールが「ショウガオール」という成分に変身します。生のショウガにはショウガオールがほとんど含まれていないそうです。このショウガオールは血行を改善し、体を芯からじんわり温めるので、胃腸の弱い人や慢性的な冷え症の人におすすめです。

ショウガオールを有効的に摂取するには、「蒸しショウガ」がよいといわれています。蒸しショウガは、ショウガを蒸し、天日干しで乾燥させて作ります。その際、「蒸気が上がった蒸し器で30分蒸す」ことがポイントです。
でき上がった蒸しショウガは、細かくパウダー状にすると使いやすいということで、私もさっそく蒸しショウガのパウダーを作ってみました。
蒸しショウガのパウダーの作り方

- ショウガをきれいに洗って、2mmくらいの厚さにスライスする。
- 蒸し器に、重ならないように並べる。
- 蒸気が上がった蒸し器で30分蒸す。
- ザルなどに並べて天日干しにし、乾燥させる。
- 乾燥したら、ミルサーやフードプロセッサーなどで細かくして完成。
しっかり乾燥させないと、保存中にカビが発生することもあるので注意します。
ご飯に添えて。初めはごく少量から

こうして作った蒸しショウガのパウダーは、人間用としては、お味噌汁に入れたり、ジンジャーティーにしたり、サラダに振りかけたり、いろいろなお料理に活用できますね。犬にも同様に、ご飯に添えて与えます。
与える量の目安としては、体重11kgのあんの場合、小さじ1/5くらいにしています。参考にしているレシピ本には、一日に耳かき2~3杯までとありました。犬の体重に合わせて、はじめはごく少量から与えて、様子をみましょう。与えすぎは下痢や軟便になったり、不整脈になったりすることもあるそうです。また、体質によって合わない犬もいるといいます。くれぐれも様子をみながら、慎重に使ってください。

この日あんに作ったメニューは、鶏もも肉と、白菜、にんじん、長いもなどの野菜を入れた卵とじスープです。ここに、小さじ1/5弱ほどの蒸しショウガのパウダーを添えました。


細かくしきれなかった小片は、やはり固いし辛さがあって、あんは「いやー」という顔をして出してしまいました。パウダー状になっていれば、お肉などと一緒に食べてくれますので、きれいなパウダー状になったところを与えるとよいと思います。

冬は犬も水分をあまり摂らなくなるので、汁の多い温かいスープ風のメニューがおすすめ。ジンジャーパウダープラスで、よりポカポカです。
愛犬との暮らしで冷え性が解消⁉︎
冷え性でお悩みの方は多いと思います。私もかつてはたいへんな冷え性でした。日中は、背中にカイロを貼り厚着をして過ごしました。夜は、手足が氷のように冷たくて、お風呂で温まってすぐにベッドに入っても、足がひんやりしてなかなか眠れませんでした。夜中にも目が覚めたりして、湯たんぽが必需品でした。
それが、6年ほど前、あんが我が家の家族になってから、冷え性で悩むことがなくなりました。
愛犬との一日は、1時間の朝の散歩から始まります。夕方も1時間。多い時は1時間半の散歩です。夏は涼しい夜明け前に、冬は夜明けとともに家を出て、広い駿府城公園をぐるり1周してきます。
それまでは、毎日継続する運動をしていませんでした。これではいけないと思い、ウォーキングをした時期もありましたが、暑いなぁ~、寒いなぁ~、雨だ! と、なんだのかんだの理由をつけてサボることも多くありました。
犬との散歩は、暑くても寒くても、夜でも、雨でも、どんなことがあっても絶対に行かなくてはなりません。相手は生き物ですから、放っておくわけにはいかないのです。
そんな暮らしを続けていたら、いつの間にか、カイロはいらなくなり、手足はいつもポカポカ。すっかり体質が変わっていました。
これは毎日(一日も欠かさず!)継続的に体を動かすことによって、血流改善、脂肪燃焼、基礎代謝向上という効果を得られたということのようなのです。
ともすると、犬の散歩は運動にならないといわれたりしますが、外の空気に触れて、愛犬と一緒に歩くことが、何よりも健康的なよい時間になっているのは確かです。
愛犬のぬくもり

愛犬と暮らすようになってから、湯たんぽをまったく使わなくなりました。血流改善の結果なのでしょうか、足が冷たいということがありません。
それともう一つは、湯たんぽの代わりに、もっと暖かくてモフモフした可愛い助っ人がいるからです。それは愛犬のあんです。あんが湯たんぽになってくれるので、一晩中、そのぬくもりに包まれて、心も体もポカポカぬくぬく状態でいられるのです。
犬の体温は38℃ほど。この温度が最高に心地よくて、安心して朝までぐっすり眠ることができます。私にとって、愛犬あんのぬくもりは、世界で一番の幸せではないかな(‼︎)と思うほどです。
まだまだ寒さは続きます。私にはあんがいるので、どんなに寒い夜も安心です。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp
参考:
『薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』(喩静、植木もも子監修・西東社刊)
『犬ごはんの教科書』(俵森朋子著・誠文堂新光社刊)
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