藁で作る素朴で美しいフィンランドのオーナメント、ヒンメリ。今年のクリスマスは北欧風にヒンメリを飾り、フライングリースを吊るしてみませんか? 海野美規さんによるウェブ上アレンジレッスン、今回は、冬の長い北欧で飾るヒンメリとともに飾りたい、天井に金具が無くても楽しめる軽くて手軽なミニミニフライングリースの作り方を教えていただきました。

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「ヒンメリ」って?

ヒンメリ

「ヒンメリ」ってご存じですか? 細い藁でできていて幾何学的な形をした、とても繊細な北欧の装飾品です。窓辺や天井から吊るされて、ゆらゆらと揺れているヒンメリの様子は、北欧雑貨店などでご覧になったことがあるかと思います。

私はヒンメリを見るたびに、きちんとデザインされてスタイリッシュという感じと、素朴で優しい感じ、その両面を持ち合わせているような、不思議な魅力を感じていました。 こんなに素敵なヒンメリは、どうやって作るのかな、どんな材料で作るのかなと、ずっと興味を 持っていました。

先日、ふらりと入った北欧雑貨のお店で、1週間後にヒンメリを作るワークショップがあると聞き、後日参加してきました。ワークショップでは、作り方をはじめ、ヒンメリのことをいろいろと教わりました。今回は、そんなヒンメリの話と、ヒンメリと一緒に飾りたいクリスマスのミニミニフライングリースをご紹介したいと思います。

ヒンメリは、北欧フィンランドの伝統な装飾品

ヒンメリ
繊細で複雑に形作られたヒンメリ。

ヒンメリは、フィンランドの冬至のお祭り「ヨウル Joulu」の伝統的な装飾品です。1150 年ごろに田園地方から始まったとされているそうで、それはそれは長い歴史のあるものと知り、まず驚きました。

家族で作ったヒンメリを天井から吊るし、 天へとつながる道を作る。「ヒンメリ」とは、スウェーデン語の Himmel (天)が語源です。ヒンメリを飾り、翌年の豊穣と太陽の復活を心待ちにしながら長い冬を過ごします。私も短い間でしたが、中欧ハンガリーに住んでいたときに、「冬の寒さ、長さ、暗さ、雪に閉ざされた暮らし」という感覚を少しだけ経験しました。太陽の光がこんなにもありがたいものだったかと、改めて感じたものでした。

ヒンメリの材料となるのは、ライ麦の藁です。その年に収穫された新しい藁には、穀物の精霊が宿っていて、幸せを引き寄せると信じられてきたそうです。

1800年代の終わりごろから、クリスマスツリーが入ってきてフィンランドでも流行したため、ヒンメリが衰退しかかった時期もあったそうです。いろいろな方々の努力で復活し、アーティストたちによって新しいデザインなどが生まれ、現在のヒンメリのように多様化していきました。 ヒンメリが消えてしまわないでよかったと、多くのフィランドの人々が胸をなで下ろしていることでしょう。そして、もしその時になくなってしまっていたら、遠い日本で、私たちはこの素敵なヒンメリを目にすることはできませんでした。

ヒンメリを作ってみよう

ヒンメリ作り

ヒンメリは、ライ麦などの麦穂の茎と糸で作ります。

最近では、プラスチックのストローを使った作り方もよく紹介されています。お洒落なストローもたくさんあって、入手しやすく手軽に作れるという点はよいのですが、ヒンメリの本来の意味を知ると、やはり藁を使って作りたいものですね。 ライ麦の藁と糸など材料がセットになったものも販売されていますので、ぜひ本物の藁で作ってみてはいかがでしょうか。 ヒンメリの素朴で優しいという印象は、藁で作られていることからくるのだと思います。

ヒンメリ
藁の中に糸を通してつなぐヒンメリ作り。基本の八面体は、三角形を5つ作り、さらに1本の藁を加えて立体にします。

作り方は、カットした藁に長い針を使って糸を通し、つなぎ合わせていくという具合なので、作業自体は簡単です。けれども、糸を通す順番を一筆書きにしていくところが、頭がこんがらがってしまい、ちょっと難しいと感じました。それでも、初心者でも教えていただきながら1時間ほどで完成したので、コツを掴めばいろいろと作れそうです。

ヒンメリを初めて作るなら、まずは、基本の八面体をマスターするとよいということでした。八面体を作れるようになれば、基本の形を大きくしたり小さくしたりサイズを変えて作ったり、基本形をいくつもつなぎ合わせてデザインしたりと、いろいろなアレンジも考えられます。

ヒンメリ
ヒンメリ
基本の八面体の完成。

日本国内にも、ヒンメリの作家さんがいらっしゃるそうで、ワークショップの会場だった店内には、見事なヒンメリが飾られていました。私が作ったヒンメリよりもさらに細い藁と糸で作られ、複雑な構造で繊細で、とても美しいものでした。 こんな素敵なヒンメリを作れたらいいなと思いましたが、私は基本の八面体を作るのが精一杯。 これが作れただけでも大満足でした。

ヒンメリのスターターキット
ヒンメリのスターターキット。

ここではヒンメリの作り方を詳しく解説することはしませんが、ヒンメリのキットの中には、大抵基本の八面体の作り方を解説したものが入っています。また、インターネットでもヒンメリの制作動画などが配信されていますので、詳しい作り方はそちらも参考にしていただければと思います。

●こちらの記事もどうぞ『手づくりの可愛い装飾「ストロースターオーナメント」のつくり方

吊るす、といえばフライングリース

フライングリース

ヒンメリを作りながら、今年のクリスマスはフライングリースにしよう! と決めました。フライングリースも、ヒンメリと同じく天井から吊るして飾ります。クリスマスの飾りとしても魅力的なフライングリースですが、じつは、意外と吊るす手段が難しいもの。ちょうどいい吊るす場所がなかったり、天井に金具を取り付けられなかったり、なかなか吊るすことができないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。大きなリースともなれば、それなりに重量もあるので、安心して吊るすことは難しいですね。

ミニフライングリース

憧れのフライングリースを、手軽に吊るせるように、小さくて軽いミニミニフライングリースにしてみましょう。今回ご紹介する小さなリースは、オーナメントを入れても100g以内で作ることができました。

フライングリースは小さなものをいくつか作り、長さを変えて吊すと楽しいですよ。 私は、ヒンメリと一緒に飾ってみました。

100gのミニミニサイズのフライングリースの作り方

材料

フライングリース
  • ヒムロスギ
  • ローズマリー
  • フランネルフラワーの葉
  • ユーカリの実
  • 巻き付け用の細ワイヤー
    アクセサリーを作る時に使う細いワイヤーを使いました。手芸店で購入できます。
  • オーナメント
  • ワイヤーのベース 直径10cm
    ベースがあると作りやすいですが、なくても大丈夫です。

手順

  1. ヒムロスギなどを3~5cm程度にカットしておきます。
  2. リースのベースに、吊るすための紐やリボンを、バランスをとりながらつけます。
  3. ベースに沿ってヒムロスギを巻き付けていきます。
    フライングリース
  4. ぐるりと一周巻きつけます。
    フライングリースの作り方
  5. ローズマリーなど、ヒムロスギ以外の植物をところどころに入れ込みます。
  6. オーナメントをつけてでき上がり。
フライングリース

オーナメント

リースオーナメント

リースのオーナメントは、軽くて、なるべくナチュラルな雰囲気のものを選びました。

ここで使っているのは、フィンランド「lovi(ロヴィ)」社の白樺のプライウッドで作られたボール状のものです。木の優しい風合いがとても気に入りました。ヒンメリの藁とも合いそうです。

リースオーナメント

フライングリースとヒンメリを吊るそう

マスキングテープ

ヒンメリやフライングリースを吊るすのには、マスキングテープを使います。吊るす天井や梁などの色に合うようなマスキングテープを用意します。マスキングテープには、いろいろな幅サイズのものがありますが、幅が広めのテープであれば強度が増します。貼り付ける際は、強度を上げるため3回ほど重ねて貼ります。テープは念のため試し貼りをしてから貼りましょう。

フライングリース
軽いフライングリースは、留めつける場所がなくてもマスキングテープで手軽に楽しむことができます。ヒンメリと一緒に、長さの違うリースをいくつも飾って。

フィンランドはアジア系にルーツ?

フィンランド人は、1世紀ごろに今のロシアのウラル地方から移住してきた民族といわれています。フィンランド語はウラル語族に属するといわれているのですが、「ウラル語族」!? と聞いて、ハンガリー語もウラル語族であったことを思い出しました。ウラル語族というと、中央アジアの国々と同じ系統の言語を話す民族で、ハンガリーもフィンランドも、もともとはアジア系の血を引くのだそうです。寒い地方に住み着いたのがフィン人、住みやすい土地に住み着いたのがフン族(マジャール人)という話を、ハンガリーに住んでいた時に聞いたことがありました。これらの国は、ヨーロッパのなかでは珍しく、アジアにルーツがある民族とされているそうです。

フライングリース

フィンランドでは、古くから自然を崇拝し、精霊信仰に基づいた生活を送ってきました。そんなところは、日本と共通している点です。 そういえば、日本でも、その年に収穫した稲穂でしめ飾りを手作りしてきました。お正月は、豊穣や幸福を運んでくれる歳神様をお迎えするための行事ですから、ヨウルと同じ考え方のように思います。そう思うと、なんだかフィンランドが近く感じて嬉しくなりました。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp

参考:『フィンランドの伝統装飾 ヒンメリ』おおくぼともこ著/プチグラパブリッシング
『お正月の行事を知ろう|お正月の過ごし方』 https://www.kyosei-tairyu.jp/osyougatu/

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