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リンドウの、上手なドライフラワーの作り方と簡単アレンジ

リンドウの、上手なドライフラワーの作り方と簡単アレンジ

夏から秋にかけて出回るリンドウ。夏はその色合いが涼しさを運び、秋になればしっとりとした和の風情を漂わせてくれます。そんな季節限定で花屋さんに並ぶ花、リンドウを、もっと長く楽しめたらいいのに…と思うことはありませんか? ドライフラワーにすれば、リンドウをずっと部屋に飾っておくことができます。花のアトリエ『グリーン ローズ』の松浦奈美子さんに、リンドウのドライフラワーの作り方と、その簡単なアレンジ方法について伺いました。

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リンドウのドライフラワー作りは難しくありません

「花が縦長で立体的なリンドウ。ドライにするのは難しいのではないかしら」と思うかもしれません。でも、大丈夫!「リンドウをドライフラワーにするのは、難しくはないですよ」。リンドウのドライフラワー作りを教えてくれた松浦さんは、こう言います。「リンドウは仏花にもよく使われているほど花びらが丈夫な花なので、ドライフラワーにしても形が崩れにくいんです。もっと気軽にリンドウのドライフラワーを楽しんでください」。

それでは、花の選び方や、作ったドライフラワーの飾り方など、リンドウをドライフラワーで楽しむ方法について、具体的に教えてもらいましょう。

ドライフラワーに適している、リンドウの種類と選び方

基本的には、どんな色、形のリンドウでもドライフラワーにすることができます。ポイントは、花屋さんで買ってきたばかりの、新鮮な花をすぐにドライフラワーにすること。新鮮な花ほど、花びらのつけ根がしっかりしているので、形をキープしやすいからです。反対に、飾ってから日数が経ったものやガクが傷んでいるものは、避けたほうが無難です。ドライフラワーにしたときに、花の形が崩れやすくなってしまいます。

もちろん、「生花として少し楽しんでからドライにする」という方法もあります。その場合は、花瓶に入れて楽しむのは1~2日に留め、早めにドライフラワーにするほうが、仕上がりがきれいです。ドライフラワーとしてのもちもよくなります。

リンドウのなかでも、特にドライフラワーにおすすめなのは、下記のタイプです。

濃い色のリンドウ

リンドウは花が密生してつくので、花同士が触れ合っているところが蒸れてしまい、ドライにしたときそこだけ花色が茶色っぽくなることがあります。一般的な青や紫のリンドウなら、もともとの花色が濃いので茶変した部分があまり目立ちませんが、白やピンクの花は目立ってしまいます。初心者は、濃い色のリンドウを使うほうが無難です。

リンドウのドライフラワーの作り方は、ふたつあります

ドライフラワーの作り方には、大きく分けて、ハンギング法、シリカゲル法、ドライ・イン・ウォーター法の3つがあります。このうち、ドライ・イン・ウォーター法は、花に水分を多く含むリンドウには向きません。花の形が崩れる原因になるからです。また、ひと昔前には電子レンジを使う方法もありました。ただ、生きている花を電子レンジにかけることに抵抗を感じるかたが多く、作っている途中で嫌な臭いがしたり、花の形が崩れたりしやすいので、こちらの方法も避けたほうがいいでしょう

今回は、リンドウに比較的向いているハンギング法とシリカゲル法、このふたつの方法について手順を紹介します。

簡単にリンドウをドライフラワーにする「ハンギング法」

花を束ね、下に向けて吊すだけ、という、もっとも一般的なドライフラワーの作り方です。簡単で手間がかからず、できあがったドライフラワーをそのまま飾ればいいので、初心者向きといえます。ただし、外気に触れながら乾燥させるので、あとで説明するシリカゲル法と比べると、どうしても色褪せの度合いは大きくなります。その褪せた花色こそがドライフラワーの魅力でもあるので、ドライフラワーらしさを好む人には、いちばんおすすめの方法です。

ハンギング法でドライフラワーにしたリンドウ

さらに言うと、リンドウはシリカゲル法にすると花がつぶれやすいので、どちらかといえばハンギング法のほうがおすすめです。乾燥の度合を毎日確認できるハンギング法なら、花びらがチリチリになる前に乾燥を止めることができるので、多少花色が褪せてもきれいな形のドライフラワーを作ることができます。

ハンギング法で必要なもの
・リンドウ
・輪ゴム
・麻紐 *吊すために使うので、紐でもリボンでも可
・ハサミ

ハンギング法のコツと注意点
リンドウは、乾燥すると茎から水分が抜けてしまい、茎が細くなります。そのため、リンドウをハンギングにするときは、最初に輪ゴムで茎を束ねておきます。このとき、輪ゴムは、できるだけきつく掛けるほうがいいでしょう。茎が細くなって輪ゴムがゆるむと、途中で花が落ちてしまうことがあるからです

花を束ねるときは、やや花顔をずらしながら重ねるのが、ハンギング法でのドライフラワー作りのコツです。花同士が重なっていると風通しが悪くなり、乾燥までに時間がかかったり部分的に花色が悪くなったりします。

ハンギング法を行うのに最適なのは、からっとした晴天が続く日。長雨の時は湿気が多くなるので避けましょう。できるだけ風通しがよく、直射日光があたらない場所に吊るしてください。また、閉めきりにした室内で、エアコンを風量控えめの暖房に設定し、直接花に風があたらないようにしながらやさしく乾燥させる、という方法もあります。

ハンギング法の手順

① 複数のリンドウの茎を束ねるときは、根元を輪ゴムで留めます。できるだけきつく掛けましょう。なるべく花が重ならないように、花の向きや重なりを調整してください。

②輪ゴムの上から麻紐をきつく巻きつけます。1本だけを吊るすときは、直接茎に麻紐を巻いても構いません。いずれの場合も、干すときに結びつけられるよう、紐の端は長めに残してカットしておきましょう。

③ 湿気が少なくて直射日光があたらない、風通しのいいところに②を吊します。外気にあてると花が傷むので、室内のほうがいいでしょう。コート掛けやタオル掛けなどを使うのもよい方法です。ただし、壁の近くに吊るすときは、花の湿気で壁紙がふやけたりしないよう注意してください。乾燥の度合いは好みにもよりますが、10日~2週間ほどして、花びらからほぼ水分が抜けたらできあがりです。

リンドウの色をきれいに残す「シリカゲル法」

クッキーや海苔の乾燥剤として、よく目にするシリカゲル。水分を吸着するシリカゲルの働きを利用してドライフラワーを作るのが、この方法です。シリカゲルを使う方法は、乾燥させている間、花が外気に触れないため、退色を防ぐことができます。従って、花の色をきれいに残すことができるのです。一方で、シリカゲル法で作ったドライフラワーは、ハンギング法で作ったドライフラワーよりも湿気に弱く、花びらがへたりやすいという特徴があります。

シリカゲル法でドライフラワーにしたリンドウ

シリカゲルにはドライフラワー専用のものがあります。お菓子用でも代用できますが、避けたいのは、粒状のもの。粒だと、花と花の間など、細かいところまでシリカゲルが入らないからです。シリカゲルは100円ショップやインターネット、資材店などで購入することができます。

シリカゲル法で必要なもの
・リンドウ
・シリカゲル *パウダー状のもの
・密封できる蓋つきのタッパー *蓋付きの瓶でも可
・ハサミ
・スプーン
・ピンセット

シリカゲル法のコツと注意点
花をタッパーに入れてしばらくすると、「もうできているかな?」と、中の状態を確認したくなりますが、しっかり水分が抜けるまで、タッパーの蓋を何度も開け閉めするのはやめましょう。乾燥させている途中で、花が空気に触れると、色が悪くなってしまいます。作る時期や保管場所の湿度にもよりますが、できあがりまではだいたい10日~2週間ほどかかります。

シリカゲル法は花だけをドライフラワーにするものと思われがちですが、大きなタッパーを使えば、茎をつけたまま、リンドウを丸ごと1本ドライフラワーにすることも可能です。ただし、大きな容器と大量のシリカゲル、タッパーを置くスペースが必要になるので、そうした点を考慮したうえでトライしてみましょう。

シリカゲル法の手順

① タッパーにシリカゲルを敷きます。目安としては、深さ1~2㎝ほどです。

② シリカゲルの上にリンドウを置きます。花だけをドライフラワーにする場合は、複数の花を同じ容器に入れて構いません。ただし、花同士がくっつかないように、1輪1輪を離して、それぞれの四方がシリカゲルで埋まるようにするのがポイントです。

③ 花の上や周りに、シリカゲルをやさしくかけていきます。シリカゲルがいちどにどっと花にかかると、形が崩れてしまうので注意しましょう。隙間ができないように、スプーンを使って花びらと花びらの間にも丁寧にシリカゲルを詰めてください。細かいところは、丸く切った紙を円すい形にしてジョウゴを作り、その中に入れたシリカゲルを砂時計の砂のように少しずつ落としていくのもいいでしょう。

④花が完全に隠れて見えなくなるまで、③を繰り返したら、蓋をきっちり閉めます。日の当たらない湿気の少ない場所に約10日~2週間置けばできあがりです。

⑤ ドライフラワーになったリンドウを取り出すときは、タッパーから新聞紙などの上に少しシリカゲルを移します。花が見えたら、ピンセットで下からやさしく、すくうようにつまんで取り出しましょう。最後に、花びらをペーパーなどにトントンと軽く何度か打ちつけて、中に入り込んだシリカゲルをきれいに取り除いてください。

リンドウのドライフラワーをより楽しむために…

リンドウは花が重なってついているので、ドライフラワーにしたあとも花びらと花びらの間がムレやすいものです。湿気の多い場所に置くとカビが生えることがあるので、飾る場所には注意しましょう。

さらに、どんな作り方をしても、ドライフラワーは完成したあとも少しずつ乾燥が進み、徐々に色が褪せていきます。飾っておけばホコリがつきますし、花びらが落ちやすいため、あまり手をかけることもできません。季節に関係なく長く楽しめるのがドライフラワーの魅力ではありますが、やはり時々は花をいけ替えるのがベストです。

リンドウのドライフラワーを使った、簡単アレンジ

ドライフラワーを作ったら、部屋に飾ってみましょう。ここでは、一般的なアレンジだけでなく、ひと手間加えたおしゃれなあしらい方を紹介します。

その1 ボリューミーなリボンが印象的な下げ飾り

花材:リンドウ、バラ、リュウカデンドロン

大きなリボンの中心に、ぎゅっとまとめてリンドウやバラをアレンジ。下にハート形や蝶形のペーパーオーナメントを吊るしました。厚紙でベースを作り、そこに接着剤でリボンや花を貼って、紐でつなげたオーナメントを下げるだけで簡単に作れます。

その2 反対色の花と合わせてインパクトを

花材:リンドウ、マリーゴールド

小さなイエローの器の口もとにリボンを巻いて、両面テープで接着します。前面には、同様にかわいいカードを貼りつけて。花はシンプルに、紫色のリンドウと反対色のマリーゴールドのみにして、色のインパクトをいかします。窓辺にちょこんと置いてもかわいい。

その3 ちょっぴりアンニュイな2種のドライリース

花材:リンドウ、ダスティミラー

右上がハンギング法で作ったリンドウのドライフラワー。左下がシリカゲル法で作ったリンドウのドライフラワー。微妙に違う、ふたつのドライの表情が楽しめるリースです。白いベースに、ブルーのリンドウとホワイトグレーのダスティミラーだけをあしらい、透明感いっぱいに。

 

Credit

記事協力

松浦美奈子
『グリーンローズ(Green Rose』主宰。国立岐阜大学農芸化学科卒業後、外資系製薬会社に勤務中、プリザーブドフラワー、ドライフラワー、生花のアレンジを習得。退職後、世界各地で研鑽を積み、スクール開校、プリザーブドフラワージャパンアート協会設立に至る。伝統的なスタイルから新しい感覚のデザインまで、既成概念にとらわれることなく、自由な発想のアレンジを提案。ほか、スタイリングや写真技術、アクセサリー制作も指導している。
http://www.greenrose-m.com
https://www.instagram.com/green_rose_matsuura/

撮影・松浦奈美子 構成と文・高梨奈々

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