ぱっと華やかに咲くダリアは、その特別感からフラワーギフトとして人気の高い花のひとつです。おしゃれな品種も毎年、登場。大切な人へ贈るなら、ダリアと思っている人は、この記事を参考にしてください。東京・自由が丘で花のアトリエ『ランコントレ』を主宰する大髙令子さんに、印象的になる花贈りのコツと、まねたいギフトプランを提案してもらいました。
目次
贈るときに気になる! ダリアの花言葉
まず、本題に入る前に、ダリアについて、少し知っておきませんか? そう、ダリアの豆知識。
ダリアが日本にもたらされたのは江戸時代末期。天保12年(1841年)頃とされ、「天竺牡丹(てんじくぼたん)」の名前で紹介されました。牡丹の名前をつけたのは、豪華な花姿からかもしれませんね。昭和20~30年代には、園芸を楽しむ人の間で、熱狂的なダリアブームが到来。珍しい品種は、1球800円もの高値で取り引きされたこともあったそうです(ダリアは、球根から生まれる花なのです)。
現在のダリア人気の火付け役は、平成9年に誕生した「黒蝶」というダリア。黒に近い、深い赤い花色と美しい花形のその花が切り花として出回るや…ダリアの人気が再燃! 日本全国の産地で、新品種がつぎつぎと生み出され、現在のように、ほぼ一年を通して花屋さんに並ぶ花になりました。「黒蝶」は今も栽培されているので、見つけたら、ぜひ飾ってみてくださいね。
そんなヒストリーをもつダリアの花言葉は、「華麗」、「エレガント」。丸くて、愛らしいダリアもありますが、一般的な印象からついた花言葉なのでしょう。女性に贈るときには、ぜひ、ひと言添えてみませんか?
ダリアのフラワーギフトにぴったりのシーンは?
ダリアはまず、お祝い事全般にふさわしい花と言えます。特に好まれるのは、開店祝いや発表会、栄転祝いなど。大輪の鮮やかなダリアを選ぶことで、多くの人が目にするシーンで本領発揮! お祝いにかけつけた人たちにも、晴れやかさがひと目で伝わります。おめでたい席では、周囲の目を引く花選びもフラワーギフトのマナーかもしれませんね。
では、それ以外のシーンには向かないもの? いえいえ、そうではありません。ふだんのちょっとしたお礼など、デイリーなプレゼントにもぜひ、使ってみましょう。存在感のあるダリアは、たとえ1本でも、贈られたらうれしい花。親しみを込めて贈るなら、丸いボール咲きやポンポン咲きの花がよいかもしれません。
ダリアのフラワーギフト(プレゼント)。価格と相場は?
ショップや時期にもよりますが、ダリアは1本700円前後で出回っています。そのことから、ダリア1本に小花とグリーン各1本程度の、もっともお手頃のミニブーケでも1500~1700円が相場となります。
なお、フラワーギフトの価格は、花の種類や本数、大きさ、地域、時期(季節)によって、かなり違いがあります。流通量が多くて需要が少ない時期は安価に、母の日、クリスマス、正月、彼岸のなどのイベントある時期は価格がアップします。また、ギフトを作る花屋さんの立地条件、そのポリシーなどによっても幅があることを覚えておきましょう。
ダリアのフラワーギフト(プレゼント)。3つのスタイル
ダリアをメインにしたフラワーギフトで、もっともスタンダードなのは以下のスタイルです。これ以外にも、リースなどのイレギュラーな形が考えられるので、花屋さんに相談してみてください。
花束
手渡しできる状況なら、花束がおすすめです。形としては「縦に長い花束」と、「丸いブーケのような形」があります。豪華な咲き方のダリアをすっきりと引き立てるには、縦形。花が横に向いてつく花のため、少ない本数のダリアでも印象的に贈れます。一方、丸い形の花束では、ほかの花やグリーンを合わせることで、たわわにこぼれんばかりのボリューム感が可能です。
どちらにしても、ラッピングでぐんとセンスアップできるのが花束です。持ち帰るまでの楽しさをラッピングでも演出してあげませんか? なお、花束をオーダーするときは、切り花栄養剤をつけてもらうようリクエストを。栄養剤を使うことで、ダリアをいけた水がきれいに保たれ、使わない場合よりも長くきれいな状態で楽しんでもらえます。
アレンジメント
水を含ませた吸水性スポンジ(緑色のあのスポンジです!)に花を挿して作るアレンジメント。メリットはまず、そのまま飾れることです。そう、よほど親しい人でもない限り、花器をもっているかどうかなんてわからないもの。手間といえば、スポンジの水が減ったときに、水を差すことくらいです。忙しい人にダリアを贈るなら、このスタイルで。
ボックスアレンジ
アレンジメントのなかで、箱の中に花を詰めるタイプがボックスアレンジ。蓋を開けたときの驚きを狙えるのも特徴ですが、ダリアの蒸れが心配なら、蓋はかぶせずに作ってもらいましょう。箱の中に収めるので、「ポンポン咲き」↓などの小ぶりなダリアがおすすめです。ポンポン咲きについては、つぎの章で説明します。
ダリアのフラワーギフト(プレゼント)の選び方。その秘訣を知りたい
わぁ、きれいだな、と感動してもらえるダリアのギフトを贈りたいなら、「季節」が最大の秘訣になります!
知っていましたか? 周年出回るダリアとはいえ、じつは「秋から霜が降りる前の晩秋」が最盛期なんです。ダリアの生まれ故郷の冷涼な気候にもっとも近いのがその頃で、さまざまな種類が各地の産地から大量に出荷されます。旬なので、花のもちもよくなります。逆にいえば、高温多湿の真夏は、ダリアがあっという間にしおれ、残念ながらギフトの花にはおすすめできません。
ベストシーズンは秋から晩秋。冬は種類も出回り量も減るものの、花がもつので、おすすめです。
花形で言えば、安心なのは「ボール咲き」や「ポンポン咲き」のダリア。ほかの咲き方のダリアとくらべ、日にちが経っても、花形が崩れにくいのでギフトにぴったりなんです。
ボール咲きもポンポン咲きも、花びらを筒状に巻きながら、全体が丸い形になるタイプ。花径(花の部分の直径)5㎝以上のものをボール咲きと呼び、それ以下のものはポンポン咲きと分類されます。↓の写真では、左がボール咲き。右の小さなダリアはポンポン咲きです。ほら、花びらがくるんと丸まっていますよね?
もしも作り置きの花束やアレンジからギフト選ぶなら、花びらをしっかり観察しましょう。↓の写真を見て! ダリアは裏側の花びらからしおれていきます。
裏が見えないときは、外側の花びらに「ハリのあるダリア」を選ぶようにしましょう。
ダリアのもちは、季節にもよりますが、5日前後。最初から弱っている花だけは避けたいものですね。
ダリアのフラワーギフト(プレゼント)。おしゃれな8スタイル
お待たせしました! ここから紹介するのが、大髙令子さんが提案するダリアのファッショナブルフラワーギフトです。ポイントはふたつ!
・ダリア4、5本に、ほかの花材を加えて作る場合は→ダリアは同じ咲き方で。まとまりよく、シンプルにダリアの魅力を伝えられます。
・ダリアだけたくさん贈りたい場合は→いろんな咲き方のダリアをミックスしてみて。にぎやかで、ダリア三昧の贅沢さを味わってもらえますよ!
その1 大輪ダリアひと花の色を写し取って
秋、ちょっとしたお礼としてプレゼントしてみませんか? 赤と白のダリアは、歌うような名前の「ラ・ラ・ラ」。赤い色に合わせて、つやつやと色づくノバラの実を添えました。別名「ベビーハンズ」と呼ばれるキイチゴの葉にも、秋の色合いが。わずか1本のダリアでも紅葉の季節を眺めてもらえます。
その2 小さなダリアには小花模様のラッピング!
ボタンみたいに丸い花がダリア。ダリアには、こんなにも愛くるしい花もあるんです。女友だちへは、ちょっとガーリーに! 小花模様のペーパーはじつは、紙袋。小さな花束にぴったり。模様を花の色でリフレインすると、とびきりかわいらしい花束になります。
その3 白い大輪はダークカラーでマニッシュに!
男性に贈るなら、こんな花束はいかが? まっ白な大輪ダリアをグリーンで囲み、ダリアの造形美を引き立てます。ダークブラウンのペーパーで包めば、花束を抱えた姿はきっとイケメン!
その4 敬老の日には、赤と白のダリアを
敬老の日にも贈ってみませんか? おめでたい紅白の色合わせで、末永い幸と健康をお祈りするギフト。ダリアなら、華やかで、晴れやかな気分を味わってもらえます。花火のように開くダリアに丸いダリアを合わせ、咲き方でも贅を感じさせるアレンジに。
その5 コサージュに仕立てて、プレゼントに添える
ダリアは、寒い時期には水から上げても意外にもちのよい花。コサージュに仕立てて、贈り物に添えてみましょう。
コサージュの作り方は難しくはありません。
①まずは、茎を短くカット。
②先端を曲げた花用のワイヤーを花芯から花裏まで通します(曲げたほうを上にします)。
③あとはワイヤーに花用のテープを巻くだけ。
ダリアに水をよく吸わせてから作ると、安心です。
その6 草花やランも一緒のボヘミアンスタイル
おしゃれに敏感な人へは、こんな花束を。草花とラン、そしてユーカリ。自由奔放な取り合わせで、流行をとらえた花贈り。黒などの渋めのペーパーが似合う組み合わせです。
その7 野原で摘んだ花をイメージして
かごにあしらったのは、ピンポン玉くらいの小さなダリア。草花と相性抜群なんです。秋なら、コギクを間にちりばめて、野原の景色を眺めてもらいましょう。ふさふさしたグリーンはフェザーグラス。野原を描くときに便利な花材です。
その8 いい夫婦の日にはピンクのダリア
11月22日は「いい夫婦の日」。感謝の気持ちを託して、ダリアを贈ってみたいものですね。ピンクのダリアに寄り添うのは、結婚式で胸に抱いたような白いバラ。レースフラワーがふたつの花の間をやさしく取り持ちます。
ダリアがますます好きになりましたか? 大切な方へも感動をお伝えしてみませんか?
Credit
記事協力
大髙令子
『ランコントレ』主宰。
パリの花に魅せられ渡仏を重ね、1992年、東京・自由が丘にアトリエをオープン。“優雅とナチュラル”が同居した、パリ仕込みの洗練された花装飾が好評で、花教室、ウエディングなどで活躍。植物を素材にしたあらゆる表現において、クライアントのイメージをキャッチする能力に評価を得ている。多くの雑誌に作品を発表するほか、著書に「きほんのフラワーアレンジ」(学習研究社)などがある。
https://www.instagram.com/atelier_rencontrer
撮影・大髙令子、山本正樹、鈴木清子 構成と文・鈴木清子
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