コスモスといえば、公園の花壇や、秋の行楽地で出会う大きな花畑など、風に揺れる花景色を思い浮かべる人は多いでしょう。秋の思い出をそっと引き出してくれるような、コスモスのギフトを贈ってみませんか。アトリエ『ブランディーユ』の落合惠美さんが、印象的なコスモスの花贈りを提案します。
目次
コスモスのフラワーギフトを贈りたい。ぴったりのシーンは?
親しみやすさ、懐かしさを感じる、可憐なコスモス。豪華な花に合わせると、どうしても脇役になりがち。そこで、少量のグリーンと合わせて、コスモスらしい可憐さ、愛らしさを発揮させてみましょう。コスモスは、さりげなく贈りたい小ぶりなアレンジ、ギフトに添える小さな花束などに最適です。ホームパーティの手みやげにも、季節の空気を運ぶコスモスは、きっと注目の的。主役の株を取ってしまうかもしれませんね。
大きく仕立てたいときは、秋の草花やグラス類と一緒にコスモスをあしらいます。秋のお祝い事にふさわしい花束やアレンジになりますよ。
贈るときに気になる! 乙女心を伝える花言葉
花言葉のことにも、少し触れておきましょう。コスモスにはどんな花言葉があるのか、知っていますか。
コスモスの花言葉
乙女の純潔・真心、調和
コスモスがもつ可憐な雰囲気から、乙女をイメージしたのかもしれませんね。また、コスモスの英名、Cosmosは、ギリシャ語のkosmosに由来します。ギリシャ語の意味は「秩序、調和」。花言葉につながります。
花言葉はその花の特徴などに合わせて象徴的な意味をもたせたもので、明確な根拠はありません。監修する人や国、文化などによって、選ばれる言葉が違うこともよくあります。贈られる相手は花言葉を知らないことも多いので、あまりこだわりすぎず、自分や相手の好きな花を選ぶのが、いちばんいいでしょう
コスモスのフラワーギフト(プレゼント)の価格や相場は?
ショップや時期によって価格はまちまちですが、コスモスは1本およそ150~250円。ひと重咲きよりも、ダブルクリックなどの八重咲きは、ひと重咲きより多少高い価格で出回っています。
ひと重咲き(ピコティ)
八重咲き(ダブルクリック)
ギフトはミニブーケなら、1500~2000円ぐらいのお手頃価格と考えていいでしょう。
フラワーギフトの価格は、花の種類や本数、大きさ、地域、時期(季節)によって、かなり違いがあります。流通量が多くて需要が少ない時期は安価に、母の日、クリスマス、正月、彼岸のなどのイベントある時期は価格がアップします。また、ギフトを作る花屋さんの立地条件、そのポリシーなどによっても幅があります。
コスモスのフラワーギフト(プレゼント)の3つのスタイル
コスモスが主役のフラワーギフト(プレゼント)の種類は、大きく分けて次の3つです。もちろん、これ以外のスタイルをオーダーすることも可能なので、花屋さんに相談してみましょう
花束
いちばんオーソドックスな贈り花のスタイルです。ラッピングペーパー、リボンの色や素材にこだわると、よりおしゃれにセンスのいい花束になります。実際に会って目の前で手渡せるシチュエーションなら、花束がいいでしょう。
コスモスの親しみやすさを生かして、庭から摘んできたかのようにざくっと束ねたミニブーケは、いかがですか。また、コスモスのすらりとした花姿を生かす花束を、パーティの手みやげにするときは、飾る空間の広さ、大きな花瓶の有無を確かめておくことをおすすめします。丈の長い大きな花束は、広い空間にいけてこそ、その魅力が発揮できます。花瓶は、縦長の深い器やガラス器などがふさわしいでしょう。
アレンジメント
器に吸水性スポンジを入れ、花をいけたものです。そのまま飾れるのが便利です。花に詳しくない方、病院や施設など手間をかけられない場所にいる方、給水してあるので遠方の方などへ贈るの場合は、特におすすめです。
ボックスアレンジ
アレンジメントのなかで、器に箱(ボックス)を使ったものは特にこう呼ばれます。近年、人気のスタイルで、箱(ボックス)にセロハンなどを敷いて、水が染み出ないようにしてから吸水性スポンジを置き、花を詰めます。長く持ち歩いても水落ちの心配が少なく、蓋を開けた時に、ひときわ強い感動があるでしょう。
詰め込まず、ボックスを器として大きくアレンジしても素敵です。ボックスは軽いので持ち運びやすく、陶器のように割れる心配がありません。
コスモスのフラワーギフト(プレゼント)の選び方。その秘訣が知りたい
コスモスの出回り時期は、8~10月。親しみやすく、秋になるとよく見かける花ですが、じつは流通量が安定しません。生産の多くは露地植えで、出荷時期と秋雨や台風のシーズンが重なるためです。花屋さんに必ずしも並んでいるとは限らないので、見かけたら、ぜひ、主役として選んでみてください。
コスモスのギフトをオーダーするとき、知っておきたいのは、花材としてのコスモスの良し悪し。まず、茎を確かめましょう。細く締まった茎なら、水あげがよく、長もちする高品質のコスモスです。葉は色がよく、張りがあれば新鮮です。
コスモスの多くはひと重咲きで、つぼみがついています。もちは意外とよく、5~10日。ただし、つぼみは花色が見えるものは咲きますが、緑色の小さな堅いつぼみは開かずに終わってしまいます。いけるときは、堅いつぼみはあらかじめ、取っておきましょう。
咲き始めたばかりの新鮮なコスモスは、上の写真のように花びらが伸びきらず、小さな花です。花の中心も堅い状態です。
咲き進むとコスモスは、上の写真のように、中心に花粉が出ます。花粉が出ているかどうかで、花の鮮度がわかります。
いくら新鮮であっても、開き始めの小さな花やつぼみだけでは寂しいですね。花贈りには、よく開いた華やかな表情のコスモスを選びます。
フラワーギフトは用途、予算、主役にしたい花、贈る相手の年齢・性別・好きな色などを伝えて、花屋さんにお任せするのがいいでしょう。コスモスが主役のギフトの場合は、希望するコスモスの色やイメージを、花屋さんに伝えてください。
コスモスのフラワーギフト(プレゼント)、おすすめ10スタイル
その1 コスモスだけを束ねた、シンプルブーケ
庭先に咲いたコスモスを摘んで、さっと束ねたようなミニブーケ。束ねたのは、よく開いたコスモスだけです。手元にはラフィアを結び、シンプルながらも、季節を贈ります。
その2 エレガントなレースで、より甘く!
その1のミニブーケを、レースでラッピングしました。素朴な表情から、甘やかな花束へ。オーガンジーのリボンを手元に結べば、よりエレガントに仕上がります。
その3 花畑を切り取ったようなミニアレンジ
ぱっちりと開いた愛らしいコスモス。コスモスを贈るときは、よく開いた華やかな花を使うことがポイントです。大きな花は中心に低く挿し、外側には小さな花をあしらい、高さを変えた立体感のあるアレンジ。布を張った器やリボンの演出で、かわいらしさをアップします。
その4 ハーブの香りを添えた癒やしのひと束
季節のムードを届けてくれるコスモスですが、残念ながら香りはありません。香りを添えたブーケにするため、サブ花材にみずみずしいハーブを選びました。やさしい草花のコスモスには、枝もののハーブよりも、セージやバジルなど草のハーブが似合います。
その5 よく似た形、大きさの草花で華やかに
アスターやスカビオサ…。コスモスと相性のいい、よく似た花形、大きさの花を集めた花束です。かわいらしいお日さま顔の花ばかりですが、パープル系のワックスペーパーで包んで、大人っぽく。アクセントにセージの花穂、ハーブのグリーンを合わせています。
その6 白いコスモスの花畑を、贈ります
白いコスモスのすがすがしさ、潔さを贈ります。かすむような緑色はパニカム。人気のグラス類とコスモスは、もちろん好相性。パニカムの流れを生かすため、丈の長い花束に仕立てました。
その7 紅葉グリーンと実もので、秋色をプラス
実ものや紅葉した葉を添えた、より秋を感じる花束です。葉や実の茶色で、全体を少し落ち着いたムードにすると、ぱっちりと開くコスモスの華やかさが引き立ちます。
その8 満開のコスモスを、ボックスに詰め込んで
庭にコスモスが咲いていたら、よく咲いた花だけを摘み取って、こんな小さなボックスにアレンジしてみては。ボックスの底に吸水性スポンジを敷き、モスを詰め、コスモスを挿します。蓋を開けると、秋が目に飛び込んでくるギフトです。
その9 秋の草花と一緒に、風と戯れる時間
秋の庭を連想するようなアレンジです。コスモスは可憐な花なので、コスモスより小さく、あまり主張が強くない花材を選びます。コスモスのしなやかな茎のラインを生かして、アレンジに動きをプラス。
その10 部屋に、コスモス畑がやってきました
かすむように咲く素朴なコスモスの風景を、卓上に運びます。バスケットごと贈るギフトなので、丈は低くしてコスモスをふんだんにあしらいました。華やかな花は合わせず、控えめなハーブの花や花木の花を合わせています。
Credit
落合惠美
『ブランディーユ』主宰。1988年、東京・三軒茶屋に、 花のアトリエを設立。花教室のほか、ウエディングやイベントの花装飾などを手掛けている。ナチュラルでありながらエレガントなスタイルのアレンジが、幅広い年代の女性に支持され、雑誌やテレビ、広告でも活躍中。オーガニックや自然素材にこだわり、地球環境や動物へ配慮した野菜中心の食生活を心がけている。現在、オーガニックフラワーの普及を目指した活動も。著書多数。
https://www.instagram.com/brindilleflowers/
構成と撮影と文・瀧下昌代
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