蔓のグリーンの代表といえば、なんといってもアイビー。丈夫でほどよい硬さがあるから使いやすく、葉の形が愛らしいので人気です。葉の大きさもいろいろあるし、色も緑色だけじゃなく黄色っぽいものがあったり、白や黄色の斑が入っていたり、紅葉していたりとさまざま。そんなアイビーを、もっと自由に伸びやかに、アレンジや暮らしに取り入れてみませんか? 東京・表参道の花店『カントリーハーベスト』の深野俊幸さんが提案します。
目次
アイビーをアレンジするときに知っておきたいこと
アイビーには、さまざまな種類があります
アイビーってどれも同じ、なんて考えていませんか? アイビーにはいろいろな色や形、大きさの品種があります。シャムロックという品種は、オーソドックスな緑色ですが、葉の中央が長め。モナリザは緑色の葉に黄色い斑が入り、大きくなると先端が反り返ります。ゴールデンチャイルドは、その名の通り黄緑色の葉で、全体的に丸みがあります。
長いつるを上手に切り分けましょう
つるに長さのあるアイビーは、上手に切り分ければ、少量でたくさんのグリーンが取れるアレンジの強い味方です。コツは、枝分かれしたすぐ上で茎を切ること。こうするとつるを長く取れるので、さまざまな使い方ができるんです。茎を切った跡も目立たないので、自然な感じにあしらえます。
それでは、これからいくつかのタイプにわけて、アイビーの使い方をご紹介していきます。
つるを絡めるアイビーの飾り方
もっともオーソッドックスなつるものの使い方といえば、「絡める」こと。リースのように輪にしたり、花の周りに巻きつけたり、ベースに絡めて形を作ることもできるんです。
好きな形に簡単トピアリー
形を作り、沿わせるようにアイビーのつるを這わせます。ところどころをラフィアで縛って留めたら、簡単トピアリーの出来上がり! 切り葉でもできますが、苗ごと使うと生長を楽しむことができるのでさらに○。
アレンジ風水栽培の足元に
花束などの周りにつるを絡めるのはよくあるスタイル。ここでは水栽培している球根ヒヤシンスの足元に、間を縫うようにアイビーを絡めています。アイビーの根元も水に漬けておけば、根が出てつるがまた伸びていくんですよ。
長いまま丸めてグリーンリース
つるがしなやかなアイビーは、丸めるだけでリースになります。ポイントに花を飾りたいときは、給水用の瓶を取りつけたビニールコーティング・ワイヤーのベースに絡めて。アイビーの切り口も水に浸けておけば、ずっと長もち。
パーティには涼やかな水中葉を
丈夫なアイビーの葉は水に浸かっても簡単には傷みません。だから、花束の茎に絡ませて、ガラスの器のなかにドボン。時間とともにつるが自然にほどけていき、水のなかに涼しげな模様を描いてくれます。
つるを垂らすアイビーの飾り方
高さのある器から垂らす、というのも基本的なつるものの使い方。アレンジがナチュラルな表情になるだけでなく、つるのラインの美しさが引き立ち、躍動感も演出できます。
窓辺に吊せば風を感じさせて
少しうねりながら伸びていくアイビーは、じつに表情豊か。花に少量添えるだけで、素敵なアレンジに仕上げてくれます。青い花に合わせるなら、緑の葉と白い斑のコントラストが鮮やかなタイプを。窓辺に下げるとこんなにすがすがしく。
贅沢なグラスにさらりと1本
おしゃれなシャンパングラスに、白い葉色がクールで上品なアイビーを1本だけ。都会的で洗練されたあしらいです。つるの途中をひと巻きしてから入れると、一旦立ち上がってから滴り落ちる、優雅なラインを描いてくれます。
短く切り分けるアイビーの飾り方
長いつるを短く切り分ければ、グリーン数本分ものボリュームが出せるのもアイビーの強み。長短をつけたり、同じ長さに揃えたり、切り方によって印象も変わります。
つる先の小さい葉を伸びやかに
小さくて若々しい葉っぱがついている、つるの先端を長く遊ばせた軽快なアレンジ。ハーブと一緒にいけているので、爽やかな香りも楽しめます。残った下の方のつるも、切り口を葉っぱでうまく隠しながら足元に添えましょう。
赤く色づく葉っぱの絨毯
気温が下がるにつれ、色が変わっていくアイビーもあります。秋~冬のアレンジにぜひ取り入れたいのが、えんじ色に紅葉するタイプ。赤や茶色の花の足元に埋めるだけで、こっくりとした深い陰影をつけてくれます。
余った小枝はコサージュにしても
ぱっと広がる葉形が赤ちゃんの手みたいなアイビー。その形をはっきり見せたくて、アレンジで余った小枝をささっと束ねて小花を加え、気取らないコサージュにしてみました。束ねた茎の上にも1枚葉っぱを貼って。
苗ごと使うアイビーの飾り方
たくさんアイビーを使いたいときは、ポット苗で買ってくるほうがリーズナブル。丈夫で手間いらずのアイビーは、苗のまま飾って育てながら使っていくのがベストです。
アイビーだけでもかわいいんです!
バリエーション豊富なアイビーは、何種類か合わせて植えるだけで、素敵なグリーンガーデンになります。こうしておけば、短い苗もいつの間にか優雅に枝垂れるつるになっているので使い出もアップ。ペンキでペイントした鉢にどうぞ。
空き缶でゆらゆらブランコ遊び
カラフルな柄の缶に金づちと釘で穴をあけ、つり下げ用のワイヤーを通したら、底にも水はけ用の穴を3カ所。土を入れて苗をポン。四方に大きく伸ばしたつるに風を受けて揺れる“空き缶のブランコ”で、ベランダを彩って。
草花と野原仕立ての寄せ植えに
丸みのある白っぽい色のアイビーは、草花との相性がバッチリ。可憐な花のようなそぶりで、澄んだ花色の草花にうまく溶け込みます。高くそよぐ花と低く群れる花を組み合わせて、野の風景を思わせるナチュラルな寄せ植えに。
食卓を彩るアイビーの飾り方
スイーツにミントを1片乗せるように、食卓の小物やフルーツにアイビーをあしらうと、がぜんおしゃれに見えてきます。アイビーの魅力で、日々の暮らしをもっと豊かに。
リング代わりにナプキンに巻いて
お料理への期待が高まるテーブルセッティング。真っ白いナプキンにくるりとひと枝、アイビーを巻きつけました。茎を絡めながら巻いておけば、はずしてそのままミニリースになるので、楽しみも2倍!
ブドウ畑をそのままテーブルに
ワイン好きなゲストを招いたディナーにぴったりの、サプライズ演出。延々と緑が連なるブドウ畑を思わせるあしらいです。箱の中に吸水性スポンジを入れ、ワインの瓶の周りに短く切ったアイビーを挿しただけなので、作るのも簡単。
葉っぱがイチゴのヘタに似てるかな
イチゴをお皿に盛っただけ。なのに、アイビーを1本添えれば、あっという間にカフェデザート風の一皿に大変身。イチゴのヘタと葉っぱの形がよく似ているのが楽しいですよね。アイビーはよく洗ってから使いましょう。
Credit
花・深野俊幸 撮影・小西康夫 構成と文・高梨奈々
カントリーハーベスト http://www.countryharvest.co.jp
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