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ローズマリーの、上手なドライフラワーの作り方と簡単アレンジ

ローズマリーの、上手なドライフラワーの作り方と簡単アレンジ

料理でも使われる身近なハーブのひとつ、ローズマリー。ローズマリーはリラックス効果があり、記憶力を高め、頭痛や肩こりを改善するなど、多くの薬効がある人気のハーブです。ドライにして、長く楽しんでみませんか。岐阜・笠松と愛知・名古屋にアトリエがある『グリーンローズ』の松浦奈美子さんに、ローズマリーのドライフラワーの作り方と、簡単にできるアレンジを教えていただきました。

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ローズマリーのドライフラワー作りは難しくありません

香りがよいことでも人気のローズマリーは、料理に添えたり、キャンドルやワックスバーなどのクラフトに使ったり、と大活躍です。また、表が濃い緑色、裏が白っぽいリバーシブルの葉色、細い葉の形が軽やかで使いやすいことから、アレンジのグリーンとしても重宝されています。そんなローズマリーを、ドライフラワーにして、もっともっと活用してみませんか? ローズマリーのドライフラワー作りには、特に難しいテクニックは必要ありません。針葉樹のようなすがすがしい、ローズマリーの香りがそのまま残る、ドライフラワーに仕上がります。

ドライフラワーに適している、ローズマリーの種類と選び方

ローズマリーは品種が多く、すっとまっすぐに伸びるタイプ、ほふく性のものがあります。切り花用は、まっすぐに伸びた若い枝が出回りますが、葉や枝が柔らかく繊細なものは、頼りないドライフラワーになりがちです。しっかりしたものを選ぶか、鉢植えや庭で育てたものを使うと、ほぼ生花と同じ状態のドライフラワーになります。

ローズマリーをドライフラワーに仕立てる、ふたつの作り方

ドライフラワーの作り方には、大きく分けて、ハンギング法、シリカゲル法、ドライ・イン・ウォーター法の3つがあります。ローズマリーのドライフラワー作りは、このうちハンギング法とシリカゲル法が適しています。

実際に、ローズマリーをドライ・イン・ウォーター法で、ドライフラワーにしようとしたところ、2週間以上経ってもドライフラワーになりませんでした。葉は蒸れてしまい、葉の先が茶色くなったものもあり、ドライフラワーになる気配がありません。最後はそのまま茶色く傷んでしまいました。この方法でドライフラワーになる花材は限られているようです。

電子レンジを使う方法もありますが、焦げてしまうことも多く、微妙な時間の調整が難しいので、ドライフラワー作りの初心者はこちらの方法は避けたほうがいいでしょう。

ローズマリーを吊るして乾燥させる「ハンギング法」

ドライフラワーの作り方として、もっとも定番が「ハンギング法」です。英語だと難しく聞こえますが、花を下に向けて吊るすだけの、初心者にも嬉しい方法です。ハンギングを行うのに最適なのは、からっとした晴天が続く時季。直射日光が当たらない、風通しのいい場所に吊るします。湿気が多い梅雨や長雨の時期は、乾きにくいので避けます。

ハンギング法で必要なもの

・ローズマリー
・麻紐 *麻紐はほどけにくく、花を傷めません。水分が少なくなると、枝が細くなり、枝が紐から抜けて落ちてしまうことがあるので、輪ゴムで一旦しばってから、麻紐で吊るすといいでしょう。
・輪ゴム
・ハサミ

ハンギング法のコツと注意点
色鮮やかなドライフラワーに仕上げるには、一気に乾かすのがコツです。吊るし方をちょっと工夫したり、花材を裏返したりするだけで乾燥する時間が短縮できるので、工夫してできるだけ短い時間で乾燥させましょう。

吊るすときは、花材が重ならないように吊るします。枝を何本かまとめて吊るしても問題はありませんが、長さの違う枝を合わせると、お互いに接する部分が少なくなるので、乾燥しやすくなります。乾くと水分が抜けた分だけ枝が細くなり、枝がするりと抜けてしまうことも。紐はきつめに縛ってください。輪ゴムでまとめてから、麻紐を結ぶといいでしょう。

前述したように、基本的にドライフラワーが作りやすいのは、雨が少ない乾燥した季節です。風通しがよく、直射日光があたらない場所を選びましょう。冬の乾燥した時期は、エアコンのやや温かい風が当たる場所などが最適です。

ハンギング法の手順

①ローズマリーは2、3本をまとめて、茎を輪ゴムで縛ります。これは、乾燥していくうちに、茎が細くなるため、茎の先に麻紐を直接巻くと、するりと抜けてしまうことがあるからです。

②麻紐は、茎に巻いた輪ゴムに引っかけましょう、そのあと、茎先に麻紐を巻きつけ、コート掛けやタオル掛けに吊るします。エアコンをつけた室内の場合は、特に空気が滞留して乾燥しやすいので、コート掛けのような高い場所がいいでしょう。

*スワッグを壁に飾るようにして乾燥させるときは、ローズマリーの湿度で壁が湿気を含み、カビが出るようなことがないよう、注意しましょう。束にしたローズマリーは、表側と裏側を返しながら、まんべんなく乾燥させましょう。

もっと素敵に楽しむワンポイントアドバイス
葉や茎が柔らかいローズマリーは、ドライフラワーにすると細い糸状になってしまいます。しっかりした枝の場合は、ハンギング法で乾燥させると、四方に向かって葉をつける本来のローズマリーらしい姿になります。

また、低温期の場合は、エアコンで少し温度を上げ、乾いた風を当てて一気に乾燥させると、きれいに仕上がります。秋~冬の低温期にドライフラワーを作るときれいに仕上がる理由は、温度や湿度の関係だけでなく、花材自体がゆっくり育っているため、葉や茎が引き締まっているからかもしれません。

ドライフラワー作りに最適な室温の部屋に長時間いると、人も乾燥してしまいます。脱水しないように水分補給に気をつけましょう。

ローズマリーの美しい葉色を残す「シリカゲル法」

湿気を嫌うお菓子や海苔などのパッケージに入っているシリカゲル。水晶や石英の成分と同じ、二酸化ケイ素で作られています。二酸化ケイ素は、表面に微細な穴があって水分などさまざまな物質を吸着します。この働きを利用してドライフラワー専用の乾燥材として使われています、ネット通販や100円ショップなどでも手軽に購入できます。

シリカゲルを使ってドライフラワーを作るメリットは、葉の色を鮮やかに残せること。また、蒸し暑い梅雨時でも、シリカゲルを使えば、きれいにドライフラワーを作ることができます。ただし、できあがったドライフラワーは、ハンギング法で作ったものよりも湿気に弱いので、保存方法には注意が必要です。

シリカゲル法で必要なもの
・ローズマリー
・シリカゲル *ドライフラワー用が最適
・タッパー
・スプーン
・ハサミ
・ピンセット

シリカゲル法のコツと注意点
誤って乾燥する前にシリカゲルからローズマリーを取り出してしまうと、色鮮やかに仕上がりません。また、生乾きのときに動かしてしまうと形が崩れて、自然な葉や枝の形に仕上がりません。タッパーの蓋に作業をした日付を書くなどして、花材が完全に乾くまで触らず、待ちましょう。

シリカゲル法の手順

①新鮮で緑色が鮮やかなローズマリーを用意。使いたい大きさに短くカットします。

②花材の量や大きさによって、適当な大きさのタッパーを用意。まず、タッパーにシリカゲルを敷き詰めます。シリカゲルは砂のように細かな粒子です。

ローズマリーにシリカゲルをかける時にはスプーンを使うと便利です。ローズマリーはピンセットを使うと扱いやすいでしょう。

③②の上にカットしたローズマリーをのせます。ローズマリーの量が多すぎると花材が重なり合って、乾きにくい部分ができるので、適度な量にしましょう。また、ローズマリーの葉は四方を向いて上向きについています。細い葉は形が変わりやすいので、ローズマリーを押しつぶさないように、葉の上からそっとシリカゲルをかけます。

④③のローズマリーがすべて見えなくなるまで、まんべんなくシリカゲルをかけて埋めます。蓋をして、そのまま1週間ほど待ちます。

ローズマリーのドライフラワーをより楽しむために…

左がドライ・イン・ウォーター法を試したローズマリー。乾ききらず、よく見ると部分的に蒸れて黒くなっています。まん中はハンギング法で作ったドライフラワー、右はシリカゲル法で作ったドライフラワーです。グリーンなので、ハンギング法、シリカゲル法での仕上がりの違いは、花ほど大きくはありません。シリカゲル法の方が葉の開き具合が、生花に近いようです。

品種にもよりますが、庭で摘んだローズマリーは枝にしなやかな動きを見せます。ドライになっても茎の曲がり具合は変わらないので、ナチュラルな動きのあるアレンジにしたいときは、鉢植えから切って使ったほうがいいでしょう。

ローズマリーは、もともと暮らしを豊かにするハーブ。ドライフラワーにしたときにも、雑貨として飾るだけでなく、ハーブとして活用すれば、もっと楽しさが広がります。料理では爽やかな香りで、肉料理、魚料理のにおい消しとして使われます。ハーブとして利用する場合は、無農薬で育てたローズマリーを使い、ハンギング法でドライフラワーにしましょう。

キッチンハーブとして、ローズマリーを使いたいとき…。鉢植えがあれば、小枝を切って使えて重宝しますが、ドライにしておけばもっと便利。束ねて小さなスワッグに、長い枝をくるんと丸めればリースにもなりますね。必要なときに、さっと手を伸ばして使える場所に飾っておくことをおすすめします。

ローズマリーのドライフラワーは、実用も兼ね備えたおしゃれなキッチン雑貨です。ただし、キッチンは水蒸気や油分を多く含む場所。ドライフラワーは湿気を吸い、においを吸着しやすいので、早めに使い切ってください。

ローズマリーのドライフラワーを使った、簡単アレンジ

ハーブとしても利用されるローズマリーは、ナチュラルな印象があります。また、すらりとした枝に細かい葉をちりばめて、上品で大人っぽい雰囲気が漂います。ドライフラワーにすると花色や葉色が茶色っぽくなる、褪色すると思いがちですが、実際に短時間で乾燥させたドライフラワーは、とても色鮮やか。ドライフラワーに仕上げたあとは、本来もっているローズマリーのイメージそのままに、アレンジしてみてはいかがでしょう。

ドライにしても、ローズマリーの香りは持続します。アレンジしたローズマリーを指でさっと触れば、清涼感ある香りが楽しめます。

ローズマリーのドライフラワーは、ハンギング法、シリカゲル法とも仕上がりに大きな差がないので、ここで紹介するアレンジは両方のドライフラワーを交ぜて使っています。アレンジに使ったローズマリー以外の花材は、すべてハンギング法で作っています。

その1 ラッピングのアクセント

花材:ローズマリー

ちょっとしたプレゼントに、ローズマリーをひと枝添えてラッピング。それだけで、ちょっと特別感が出ませんか。ローズマリーの葉は表が緑色、裏が白の複色です。その葉色に合わせて、紐は白とグレーのコンビカラーを選びました。

その2 フランネルフラワーとアレンジ

花材:ローズマリー、フランネルフラワー

ドライフラワーをグラスに入れたアレンジ。フランネルフラワーの花びらの端の色と、ローズマリーの葉色をコーディネイトしました。フランネルフラワーのドライフラワーは、ハンギング法でとても簡単に作れます。

その3 フォトスタンドにミニ花束を

花材:ローズマリー

たった2本ですが、フォトスタンドにあしらったローズマリーは印象的。グレーと黒のモノトーンなので、アクセントに鮮やかなブルーのリボンを付けました。香りも相まって、癒やしのインテリアになります。

その3 森の香りのフレグランス

花材:ローズマリー、ガーベラ、デルフィニウム

ローズマリーは針葉樹のような爽やかな香り。気持ちをリフレッシュしてくれます。心地いい香りの樹木で、羽を休める小鳥をアレンジしました。

合わせたガーベラは、ハンギングでドライにすると、意外と味わいのある素敵な色に仕上がり、生花の時の印象と大きく変わります。花びらがくるっと丸まるもの、開き切ったままで仕上がるものも。デルフィニウムもハンギング法で乾かすだけ。手をかけなくても色鮮やかなブルーが残るのが魅力です。

その4 小さなスワッグ

花材:ローズマリー、レモンリーフ、シロツメクサ

ローズマリーとシロツメクサ。野原で摘んだような花の組み合わせが新鮮ですね。シロツメクサは花も茎もしっかりしていて、ドライフラワー向き。大きな葉を添え、リボンを結んでスワッグにしました。軽いので、どこにでも吊りさげられます。

シロツメクサの花もドライフラワーにしやすく、丸くて実ものようにかわいく仕上がります。レモンリーフもハンギング法で、簡単にドライになります。

その5 小花を合わせたミニリース

花材:ローズマリー、ルスカス、マトリカリア

ローズマリーの枝をワイヤーに添わせながら、リース状につなげました。その細い葉とは対照的な大きなルスカスを合わせ、白と黄色の小花をあしらった可憐なリースです。ルスカスは水もちがとてもいいグリーンです。ドライフラワーにしやすい花材ではありませんが、これを合わせると大きくて見栄えのいいドライフラワーのリースができあがります。

Credit

記事協力

松浦美奈子
『グリーンローズ(Green Rose』主宰。国立岐阜大学農芸化学科卒業後、外資系製薬会社に勤務中、プリザーブドフラワー、ドライフラワー、生花のアレンジを習得。退職後、世界各地で研鑽を積み、スクール開校、プリザーブドフラワージャパンアート協会設立に至る。伝統的なスタイルから新しい感覚のデザインまで、既成概念にとらわれることなく、自由な発想のアレンジを提案。ほか、スタイリングや写真技術、アクセサリー制作も指導している。
http://www.greenrose-m.com
https://www.instagram.com/green_rose_matsuura/
撮影・松浦美奈子 構成と文・瀧下昌代

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