春のフラワーギフトの主役として、隠れた人気があるのがアネモネです。アネモネは1本100円前後と比較的リーズナブル。開くとボリュームがあるうえ、花芯のインパクトが強いので、予算が少なくても印象的なフラワーギフトに仕上げてもらうことができます。はっきりした花色はギフト向きで、華やかに見せたいから赤をメインに、白をメインにして清楚に、と明確なイメージを形づくれます。そんなアネモネのフラワーギフトについて、価格の相場や選び方、おすすめのスタイルなどを、東京・二子玉川の花店『メゾンフルーリ』の佐々木久満さんに教えていただきました。
目次
アネモネのギフトを贈りたい。ぴったりのシーンは?
アネモネは草花系の花なので、カジュアルなシーンのフラワーギフトに向いています。たとえば、プレゼントの品物に小さなアネモネの花束を添える、いただき物のお礼にアネモネのアレンジを渡す、などの使い方です。
もうひとつ、アネモネの花色のなかでも特によく知られる、濃い紫色の花には特別な使い方があります。花芯が黒く、落ち着きのあるたたずまいなので、お悔やみの花としても使われるそう。また、アネモネの紫色はシックなだけでなく、高級感と深みがあるので、男性や年配の方へのフラワーギフトにも最適です。最近、登場し始めた大輪タイプは1本600円前後と高価ですが、華やかで花もちが非常によいので、お祝いの席のフラワーギフトにおすすめです。
贈るときに気になる! アネモネの花言葉
最近は、フラワーギフトを贈る際に、花言葉にこだわる方が増えています。そこで、アネモネの花言葉を紹介しておきましょう。
アネモネの花言葉
全般…あなたを信じて待ちます、期待
赤…あなたを愛しています
ピンク…期待
白…真実、希望
紫…あなたを信じて待ちます
花言葉はその花の特質などに合わせて象徴的な意味をもたせたもので、明確な根拠があるものではありません。監修する人や国、文化などによって、選ばれる言葉が違うこともよくあります。贈られる相手は花言葉を知らないことも多いので、あまりこだわりすぎず、自分や相手の好きな色の花を選ぶのが、いちばんよいでしょう。
アネモネのギフト(プレゼント)。価格や相場は?
フラワーギフトの価格は、花の種類や本数、大きさ、地域、時期(季節)によって、かなり違います。また、ギフトを作る花屋さんの立地条件、そのポリシーなどによっても幅があります。
このため、あくまでも目安にはなりますが、アネモネを主役にしたフラワーギフトの場合、価格の相場は2000円前後です。花束でもアレンジでも、スタイルによって、相場額に違いはありません。アネモネだけでフラワーギフトを作るなら、この金額で10~15本ほど入ります。他の花と組み合わせた場合は、アネモネの本数は減ることになるでしょう。
フラワーギフトには、3つのスタイルがあります
アネモネが主役のフラワーギフト(プレゼント)の種類は、大きく分けて次の3タイプです。フラワーギフト(プレゼント)は、花の種類にかかわらず、ほとんどがこのどれかのスタイルになります。フラワーギフトのベスト3といっても過言ではありません。もちろん、これ以外のスタイルをオーダーすることは可能なので、花屋さんに相談してみましょう。
花束
いちばんオーソドックスな、贈り花のスタイルです。茎を長く使うと、大きさやボリュームが出るので華やかさが感じられ、贈る際のインパクトは抜群です。ラッピングペーパー、リボンの色や素材にこだわると、よりおしゃれにセンスよく見えます。贈られた相手が、あとから束をほどいて、好きなスタイルにいけ直せるメリットがあります。
アレンジメント
器に吸水性スポンジを入れて、デザインしながら花をいけたものです。花屋さんが素敵にいけた花を器と一緒に贈るので、そのまま飾れるというのが便利です。花に詳しくない方、病院や施設など手間をかけられない場所にいる方、給水ができるので遠方の方に花を贈るときには、特におすすめです。
ボックス
アレンジメントのなかで、器に箱(ボックス)を使ったものは特にこう呼ばれます。近年、人気のスタイルで、箱(ボックス)にセロハンなどを敷いて、水が染み出ないようにしてから吸水性スポンジを置き、デザインしながら花をいけたものです。アレンジメントと同様、このまま飾れるので、贈られた相手に手間がかからない、というメリットがあります。安定性がよく、スポンジで給水ができるので、自分で長時間持ち運びする際にも便利です。
アネモネのフラワーギフト(プレゼント)の選び方
フラワーギフトは基本的に、用途、予算、主役にしたい花、贈る相手の年齢・性別・好きな色などを伝えて、花屋さんにおまかせするのがよいでしょう。花屋さんにオーダーをする際に、もうひと言、下記のような要望を付け加えると、より花の魅力が引き立ち、あなたの気持ちが伝わるギフトになります。
草花とナチュラルなイメージで
最初にも触れましたが、アネモネは草花系の花なので、ナチュラルな雰囲気が似合います。バラなどの、ボリュームがあって豪華な大輪と組み合わせると、存在感が消えてしまうので、あくまでもアネモネを主役に。繊細な色や形の小花と組み合わせてみましょう。
1種アレンジで、おしゃれに
アネモネの魅力のひとつに、その葉っぱのかわいらしさがあります。澄んだきれいな緑色で、レースのような細かい切れ込みが入る葉は、清楚で上品。新たに、グリーンを添える必要がありません。アネモネ1種だけでも、十分おしゃれに見せることができるのです。特に花束の場合は、相手や自分の好きな色のアネモネだけで組んでもらうのも素敵です。
1種の花束の場合、1色のグラデーションにする、というのもひとつの手です。アネモネは、同じ赤でも全体がまっ赤なもの、中心が白っぽいもの、白に少しだけ赤が混じるものなど、色の出方がさまざまです。こうした微妙なニュアンスの赤を集め、ペーパーの2色使いなど、ラッピングに凝った花束にするのも小粋です。
アネモネのフラワーギフト(プレゼント)、おすすめ10
花屋さんにおまかせではなく、自分の好きなスタイルのフラワーギフトを選びたい。そんなときにおすすめしたいのが、ここに挙げた10種類のフラワーギフトのスタイル。ヘアカットの際に、ヘアカタログの写真を示して美容師さんにイメージを伝えるように、「こんなイメージで、アネモネのフラワーギフトを」と花屋さんに伝えれば、より自分好みのギフトに仕上げてもらえますよ。
その1 男性上司に贈る、ブルー系の花束
アネモネ、ラッピングペーパー、リボンまで、全体をブルー~パープルでまとめた花束はいかが? クールカラーだから、男性の上司に贈っても喜ばれそう。シンプルすぎると思う場合は写真のように、ペーパーとリボンに白を加えて2色使いにするなど、小技を効かせてみてください。センスアップします。
その2 女性の後輩に贈りたい、赤系の花束
女性に贈る花束なら、花とペーパーを赤で揃えてみましょう。まっ赤なアネモネよりも、ほんのり赤が入るアネモネの分量を多くすると、いっそうかわいらしく見えます。ペーパーにピンクをプラスして、リボンではなくラフィアで結ぶと、いっそうキュート!
その3 ふりふりがかわいい、清楚なボックス
まだ開ききっていない、白のアネモネを使った清らかなボックスアレンジ。特徴的な花芯が見えないので、薄くてひらひらとした花びらの存在感が際立ちます。フリルの寄った花ばかりを同じ高さにいけているので、ふりふりのファブリックのよう。
その4 ニュアンスカラーでアンティークに
色褪せたようなニュアンスカラーのアネモネのアレンジは、都会的な女友達に似合いそう。合わせる花材もヘレボルスやパンジーなど、同じようなトーンのもので統一します。器もマットなシルバー×ゴールドにして、全体をアンティークな雰囲気に。まっ赤なアネモネがアクセントです。
その5 改まった席には、品のいい紫色で
カジュアルなアネモネも、濃い紫色をメインにすれば、高級感のあるアレンジになります。これなら、改まった席に持参しても品格があるし、お悔やみの花としても使えます。落ち着いた色が好きなお母さんなら、母の日に贈るのもいいでしょう。
その6 誕生日祝いは、まっ赤で決めて!
予算が少ないときはインパクトで勝負! お誕生日会に招かれたら、こんなまっ赤な花束を持参してみましょう。赤バラだけを束ねると、かなりの出費ですが、アネモネならリーズナブルだから安心。あえてペーパーもリボンも全部、赤で揃えるのがポイントです。
その7 年配の方には和風のテイストを
クレマチスなどと同じキンポウゲ科のアネモネは、和風のあしらいもよく似合います。紫色や白の抑えめの色をチョイス。キクやレンギョウといった、和の花材と一緒に藍染めのぐい飲みにあしらってみたら…。和室にも似合うアレンジになりました。
その8 初々しい白を黄色でやさしい雰囲気に
白いアネモネは、上品で初々しい。淡い緑色の花芯は、まるで自然の宝石のような美しさです。この造形的な白い花に黄色い花を添えて、春らしくやさしい雰囲気のアレンジに仕立てました。入学式をはじめ、門出のお祝いにも似合いそう。
その9 どの色が好き? グラデーションボックス
こちらは、白~ピンク~赤という微妙な花色のグラデーションが楽しめる、ラブリーなボックスアレンジです。ピンクの丸いボックスを器に、上向きに花顔を並べているので、1輪ごとに微妙に色が違うアネモネの魅力が堪能できます。ボックスから溢れるような様が贅沢。
その10 爽やかな花贈りに。反対色で印象強く
紫色を明るく印象的に見せる方法。それは、反対色の黄色い小花を周りにちりばめることです。反対色は互いに色を強調するので、紫色の分量が少なくても目を惹くアレンジになります。紫色の分量が少ないことで、爽やかに仕上がるのも嬉しいですね。
Credit
佐々木久満
『メゾンフルーリ』統括マネージャー。
生産者とのつながりを大切にし、これまでに訪問した花の生産地は150以上。数多い日本国内の花店のなかでも特に、産地や新品種に精通するフローリストとして活躍している。東京・二子玉川にある本店『メゾンフルーリ』とともに、長野県松本市でも花店を営む。いずれも珍しい品種の花が揃うのはもちろん、季節感を重視し、地域いちばんを目指しているというサービスのよさでも知られる。
https://www.facebook.com/MaisonFleurieTamagawa
構成と撮影と文・高梨奈々
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