パチュリの香りは、湿った土や墨を思わせる、どこかエキゾチックな香り。熱帯アジアに育つこの植物は、日本では藿香(かっこう)の名でお香作りに使われてきました。心を落ち着かせるパチュリの香りは、静けさの増す、この時期の瞑想にぴったりです。

Print Friendly, PDF & Email

深みがありエキゾチック

パチュリ

パチュリ(別名パチョリ、学名Pogostemon cablin)はインドネシアやフィリピンを原産とする、シソ科の多年草。その精油は、インド、インドネシア、スリランカなどの熱帯の地域で産出されています。古くから風邪や腹痛の民間薬として使われ、また、その香りを虫が嫌うため、衣類の虫除けにも使われました。19世紀のインドでは、英国に送るカシミアショールの荷に、虫除けとして乾燥させたパチュリの葉を入れたといわれます。

パチュリ精油の抽出には、生の葉ではなく、摘んだ後に乾燥させたものが使われます。葉が乾燥し、発酵する段階で、独特の香り成分が生まれるためです。19世紀にパチュリがイギリスへ渡ると、乾燥させた葉がポプリの香りづけに用いられるようになりました。また、フランスでは精油が香水作りに用いられるようになり、現在でも、深みを与える香りとして、香水やオーデトワレのブレンドに重宝されています。1960年代には、パチュリの香りはヒッピーの間で人気となり、フラワー・ムーブメントを彩りました。

日本では藿香(かっこう)として

かっこう

日本では、藿香(かっこう)の名でお香作りの原料として使われてきました。沈香や白檀のように、伝統的に使われてきたものなので、その香りをはっきり思い浮かべられなくても、実際に触れてみれば、きっと馴染みのあるものに感じることでしょう。

藿香(かっこう)というと、パチュリを原料とする「広藿香(産地の中国広東省に由来した名)」を指すのが一般的なようですが、他に、カワミドリを原料とする「土藿香」があります。カワミドリ(Agastache rugosa)は、日本や朝鮮半島、中国に自生する植物で、コリアン・ミントとも呼ばれ、四川料理や韓国料理では野菜として調理されます。パチュリとカワミドリはよく似ていて、歴史的にも混同されてきた経緯があります。

心を解き放つ香り

パチュリの精油

パチュリの精油は1滴で十分香る力を持っています。しっとりとして、沈むような、深みのあるパチュリの香りからは、弦楽器の深い音や響きが感じられるようです。アロマテラピーでは、こんな風に香りを言葉で表現することも大切。香りを感じ、自分自身の言葉で香りのイメージを膨らませて、楽しんでみてください。

パチュリの香りには、抗うつ作用や鎮静作用があり、不安やストレスを和らげてくれます。緊張から解き放たれて、一息入れるようなイメージです。静脈やリンパの流れを促す作用もあるので、リラクゼーションに向いています。また、催淫効果も高く、フローラル系の精油と合わせれば、寝室の明るくて柔らかなムード作りに一役買ってくれます。ローズ、ジャスミン、イランイラン、ネロリなど、パチュリはどの花ともよく合います。

芳香浴レシピ パチュリ1滴+フランキンセンス3滴

パチュリ

6~8畳のディフューザー用のレシピです(フランキンセンスについては、こちらをご覧ください)。

秋の静けさに似合う、心をホッと落ち着かせてくれるブレンドで、瞑想にぴったりの香りです。パチュリとフランキンセンスのどちらにも鎮静作用があって、不安やストレスからの解放を後押ししてくれます。この香りを焚きながら、内面を見つめる時間を持ってみてください。このブレンドはまた、抗菌、抗ウイルス作用に優れるので、季節の変わり目の風邪の予防や症状の緩和にも役立ちます。

*『おうちでアロマテラピー』シリーズ、その他のブレンドはこちらからどうぞ。

*精油は信頼できるアロマテラピー専門店で、実際に手に取り、購入しましょう。肌に合わない、気分が優れない、などと感じた時は使用を止め、医師にご相談ください。

*精油はアロマテラピー専門店での購入が安心です。下記に取り扱い時の注意をまとめましたので、ぜひご一読ください。

〈精油を使用する際の注意〉
・原液を皮膚につけない。ついたらすぐ石鹸で洗い流す。
・飲用しない。目に入れない。
・火気に注意する。
・医師による治療や投薬を受けている場合は、必ず当該医療機関に相談する。
・3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は行わない。また3歳以上であっても使用量を半分以下にし、十分注意を払う。
・高齢者、既往症のある方は半分以下の量を目安に。妊娠中は体調を考慮し、芳香浴以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分注意する。

〈精油の保管・保存について〉
・直射日光と湿気を避け、火気のない冷暗所に保管する。
・子どもやペットの手の届かないところへ保管し、誤飲に注意する。
・開封後1年以内を保存期間とし、柑橘系の精油は半年以下を目安にする。
・香りに異変を感じたら使わない。

〈精油の品質について〉
・次の内容を箱やラベル、使用説明書で確認できるものを選ぶ。ブランド名、品名、学名、抽出部分(位)、抽出方法、生産国(地)または原産国(地)、内容量、発売元または輸入元。

Credit

Credit

アドバイス/髙畠美穂

公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター。特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター。香りとクラシック音楽が大好き。

文/萩尾昌美

〈参考文献・ウェブサイト〉
和田文緒(2008)『アロマテラピーの教科書』新星出版社
フレディ・ゴズラン、グザビエ・フェルナンデス、前田久仁子 訳(2013)『調香師が語る香料植物の図鑑』原書房
木田順子(2014)『あたらしいアロマテラピー事典』高橋書店
バーグ文子(2016)『アロマテラピー精油事典』成美堂出版
『梅薫堂』 http://www.baikundo.co.jp/

Print Friendly, PDF & Email