犬が食べてよいフルーツといけないフルーツ【手づくりおやつのノンシュガーアップルマフィン】

実りの多い秋は、美味しい果物も豊富な季節ですね。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、愛犬の健康を守るために知っておきたいフルーツの知識と、この時期美味しく作れるノンシュガーのアップルマフィンのレシピをご紹介。愛犬と一緒に味覚の秋を楽しみましょう。
目次
犬はフルーツを食べてもよい?

味覚の秋。ブドウ、ナシ、リンゴ、ミカンなど果物の美味しい季節ですね。
私はフルーツが大好きですので、我が家にいる柴犬あんと一緒に美味しいフルーツを食べたいな、あんにも美味しいフルーツを食べさせたいなといつも思ってしまいます。テレビの映像で、こたつでおじいさんと仲よくミカンを食べているシーンや、リンゴを丸ごと豪快に食べている大型犬などを時々見かけます。
あんは、フルーツはあまり好んで食べません。気が向くと、小さくカットしたリンゴを1つ2つ食べる程度です。だから、フルーツ好きな犬が羨ましいなと思うのです。

ところで、そもそも犬は果物を食べてもいいのかなとふと思い、調べてみました。
犬が食べてもよいというフルーツで身近なものとしては、バナナ、リンゴ、イチゴ、ミカン、ブルーベリー、ナシ、スイカなどが挙げられています。
『元気で丈夫な子にするための「手作り犬ごはん」食材帖』には、以下のような記述があります。
「ビタミン、ミネラル、食物繊維などのほか、健康維持に役立つフラボノイド類やポリフェノール類、カロテノイドなどを含んでいます。低カロリーながら果糖を含み、甘みがあるので、好む犬が多いようです。果糖は腸での吸収が遅く、消化のスピードがゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやか。その反面、果物は中性脂肪に変わりやすいので、摂取カロリーの10%以内に収めて与える必要があります。」
やはり、甘くて美味しいフルーツは、好きだからといっても食べ過ぎは禁物ですね。そして、中毒やアレルギーを引き起こす成分が入っているフルーツもあるので、気をつけて与えたいものです。
犬が食べてはいけないフルーツ「ブドウ」

ブドウは、玉ねぎやチョコレートと同様、中毒症状を引き起こす食べ物と分かってきました。
ブドウの危険性は、2000年代に入ってからアメリカやイギリスで、ブドウを大量に食べた犬が中毒症状を引き起こした、という報告があったことで認識されるようになったそうです。ブドウのどんな成分が影響しているのかは、まだ解明されていないようですが、腎不全を引き起こし、場合によっては重症化し死亡してしまうという報告もあるとのことですから、絶対に与えないようにしましょう。
その一方で、ブドウに危険性はないという意見もあるようで、どう考えればよいか分からなくなりますが、飼い主としては、危険かもしれないという食物はやはり避けたいものです。

干しぶどうは、成分が凝縮されているので、少量でも危険! レーズンパンからポロっと落ちた干しブドウを、愛犬が食べてしまうことがありえなくはありません。身近にある食材ですので、十分に気をつけないといけないですね。
どのくらいの量のブドウを食べたら中毒症状が出るかとか、中毒症状が出るまでの時間などは、それぞれの犬によって違うので、少量であっても与えないようにということです。また、ブドウを食べても全く症状の出ない犬もいるようで、まだまだ分からないことだらけです。もし愛犬が食べてしまったら、すぐに病院へ連れて行くことが大切です。
我が家の犬は、勝手に何かを食べることはしないのですが、丸いボール状のものが大好きなので、ブドウをボールのようにして遊んでいるうちに中毒を引き起こしてしまうなんてことがあるかもしれません。床にブドウが落ちていることはそうそうありませんが、屋内に犬がいる場合は、こういう危険があることをいつも頭に入れておきたいと思います。
手づくりおやつ「ノンシュガーのリンゴたっぷりマフィン」

愛犬にフルーツを食べて欲しいなと思い、フルーツを使ったおやつを作りました。ノンシュガーでリンゴの美味しさそのままの、アップルマフィンです。
リンゴは栄養価が高く、整腸作用のある水溶性食物繊維のペクチン、利尿作用のあるカリウム、効率のよいエネルギー源になるブドウ糖や果糖が豊富なフルーツです。まさに「1日1個のリンゴは医者いらず」ですね。

リンゴをしっかり味わえることと、食べやすくするために、リンゴはなるべく小さな角切りにして、たっぷりと入れるのがコツです。
犬に与えるときは、小さくちぎって、喉に詰まらせないように注意してくださいね。また、与える量にも気をつけてください。
【材料】

リンゴ 1/2個
卵 1個
ヨーグルト 大さじ2
オリーブオイル 小さじ1
薄力粉 100g(米粉でも代用可)
ベーキングパウダー(アルミフリー) 小さじ1
【作り方】
- リンゴを3~4mm角くらいの大きさにカットしておく。
- 卵→ヨーグルト→オリーブオイルを順に入れてよく混ぜる。
- 薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるって混ぜ合わせる。
- カットしておいたリンゴを混ぜる。
- マフィン型に敷紙をセットして生地を入れる。
- 180℃のオーブンで25分焼く。
ノンオイルでもよいのですが、オリーブオイルを少量入れました。オリーブオイルは、よく知られているように、悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにする油です。カロリーが気になっていたり、投薬中のワンちゃんには油を入れないで作ってください。

あんの散歩の楽しみ
「季節限定、柑橘ボールはちょっと危険も」
我が家の柴犬あんの朝の散歩は、自宅からほど近い駿府城(すんぷじょう)公園へと行きます。お堀に沿って、「家康公の散歩道」という遊歩道が整備されています。散歩道の両側にツツジ並木が続き、そのツツジの上に枝が出るように夏ミカンの木が植えられています。
ゴールデンウィークの頃には、ツツジの花が咲き、とてもきれいな散歩道です。ツツジに続いて夏ミカンの花も咲き、甘いよい香りが家康公の散歩道に広がります。早朝の清々しい空気の中に漂う夏ミカンの花の香りは、まさに天然のアロマセラピーです。

花の後は、小さな実がたくさんつくのですが、大きくなる過程で、道路にポツポツと実が落ち始めます。はじめは小さな実が、だんだん落ちている実も大きなものになっていきます。柑橘類は、強風などによって振り落とされる物理的落果と、樹の特性や栄養条件が原因になる生理的落果があるとのこと。6月にこの生理的落果が発生しやすいことから、「ジューン・ドロップ」というそうです。
そう、それで、その落ちた実をボールのようにして、散歩の帰り道、あんと柑橘ボール蹴りをするのがこの時期の楽しみとなっています。
ところが、何しろこの柑橘ボールは、夏ミカンの青い実です。あんが、ガブっとちょっと強めに噛んでしまうと、かなり苦かったらしく、「うえーっ」という感じで、舌でペッペッという仕草をします(最近になって、オレンジには犬が中毒を起こす「ソラレン」という天然毒素が含まれていると知りました。夏ミカンも同じ柑橘類ですから、皮をかじったりしないように注意しないといけません)。
あんは、一度苦い思いをすると、次からは噛まずに鼻先や足でとめるようにするのですが、興奮してくると、ついガブっとしてしまいます。こんな風に柑橘ボール蹴りをしながら小走りすると、寄り道もせず夢中で柑橘ボールを追いかけるので、いつもより早く家に着き、私はちょっと時短ができて嬉しくもあり、柑橘ボール、大歓迎。ほどよくランニングもできて楽しい散歩時間ですが、天然毒素が心配です。
10月の夏ミカンの実は、普通のミカンくらいの大きさまでに成長してきました。生理的落果をしたはずですが、青々とした実がたくさんなっています。今の時期は、家康公の散歩道に柑橘ボールの姿はなく、あんは少し残念そうです。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
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