芳香療法(アロマセラピー)で使われる小さなビンに入った精油、見たことがある方も多いと思います。この中身は、凝縮された植物の芳香成分で、私たちの心身に働きかけ、さまざまな作用をもたらしてくれるのですが…「何がどう身体に作用してるの? 正直、よくわからない」と思ったことはありませんか? そこで今回は、アロマセラピーの入口・入門講座と題して、植物が持つ芳香成分が人にどんな作用をもたらしているのかを、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんに解説していただきます。
目次
植物の持つ芳香成分は、人にどんな作用をもたらすか

人は太古の昔から身近にある植物を利用してきました。ミイラを作ったり、宗教的儀式を行なったり、傷や病を癒したりと、植物はさまざまな場面で用いられてきた歴史があり、その時代ごとに、研究も盛んに行なわれてきました。
芳香療法(アロマセラピー)という言葉ができたのは1928年頃で、精油というものが世界的に広まったのは、つい最近のことです。科学的な成分分析技術の進歩により、植物の持つ芳香成分が私たちの身体にどのように作用するかが、徐々に解明されていますので、ご紹介していきますね。
1. 生理作用
人の健康は自律神経系・内分泌系・免疫系の3つのシステムが健全に機能することで成り立っています。普段特別に意識することなく私たちが行っている、呼吸や消化などの生理機能は、ストレスなどにより、呼吸が浅くなったり、消化不良などの不調を引き起こしたりと、機能が低下することがありますが、それは3つのシステムのバランスが崩れることによって起こります。
何かとストレスの多い現代社会では、このバランスを保つことが難しいのが現状…。このような時に精油の香りをかぐと、植物の持つ有効成分が鼻から大脳辺縁系に伝わり、自律神経系・内分泌系・免疫系の3システムに情報が伝達され、心身のバランスを調整してくれます。植物の芳香成分をうまく利用することで、日々のストレスをセルフケアすることができますよ。
2. 生体リズム調整作用
心臓や脈拍、脳波、女性の月経周期など、人間の身体は規則正しくリズムを刻んでいますが、不規則な生活によって、このリズムが狂ってくると、不眠やうつなど身体に不調をきたします。毎日一定の時間に太陽の光を浴びることで、この生体リズムを整えることができますが、実は、植物の芳香成分にも、生体リズムを調整する作用があることが分かっています。
3. 心理作用
「芳香成分をかぐとリラックスできる」「癒される」という印象を持っている方も多いかもしれませんね。鼻から芳香成分を吸い込むと、電気信号となって脳にダイレクトに伝わります。この信号により、気持ちを高めたり、鎮めたり…といった作用を感じることができます。
4. 抗菌作用
森の中を散歩した時に感じるあの清々しさは、ストレスが解き放たれて、リラックスしたから、という心理的な面だけではありません。あの森の中の空気には「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性の抗菌物質が含まれていて、さまざまなウイルスや菌に対抗する作用や、免疫力を上げる作用があるのです。
5. 薬理作用
それぞれの芳香成分を持つ植物には、数十~数百の有機化合物が含まれています。この有機化合物が、痛みを抑える鎮痛作用や炎症を抑える消炎作用といった、薬理作用を持っています。「この病気にはこの草を煎じて…」「この時期にはこの植物を摂る」など、人類は、体の不調や傷の手当てなどに、古くから植物の持つこの作用を利用し、暮らしてきた歴史があるのです。昔はその成分は伝聞で、それぞれの地域や国に伝わるだけのものでしたが、現代は成分解析の技術が発達し、薬理作用をより活用できるようになりました。
アロマセラピーを始めよう
上に挙げた5つの作用は、すべての植物にそれぞれ含まれています。加えて、ラベンダーは鎮静作用が優れている、レモンは頭脳明晰作用が優れているなど、それぞれに植物によって得意なことがあるので、それを心身の状態に合わせて、日々の暮らしに役立てていこうというのが、アロマセラピー(芳香療法)です。
一番簡単に取り入れられるのが、精油の香りをかぐ「芳香浴」。

精油をコットンやハンカチに1滴たらして身に着けたり、マグカップに1滴たらして近くに置いたり…そんな簡単なことで、十分香りを体内に取り込むことができますよ。
アロマセラピーをやってみたいと思ったら…

精油には植物の芳香成分が詰まっています。例えばラベンダーは、1滴の精油を採るのに、お花だけで100gほど必要です。この写真の場合、お花だけなら50gあるかないか程度ですので、どれだけ濃いかお分かりいただけるでしょうか?
そんな植物の成分が凝縮した精油は、成分が濃すぎるため、妊娠中・授乳中の方、治療中の病気がある方、体質等の心配がある方は、使用できない種類もあり、使い方を間違えると身体に逆効果になることもあるので、使用する際には注意が必要です。
アロマセラピーに興味があって、やってみたいなと思ったら、まずは、1冊、アロマセラピーの本を手に取ってみてください。本には、使用にあたり注意することの記載もありますので、慣れないうちは、1つずつ確かめて使うことをおすすめします。
私もアロマセラピーを始めたばかりの頃、本を読んでは「こんな症状の時はこの精油がいいのか、どんな香りがするのかな」と、ワクワクしていました。その気持ちは十数年経った今でも変わらず、香りの組み合わせを楽しんだり、体調管理に役立てたりと、楽しんでいます。
精油は、特性を理解して正しく使えば、怖いものどころか、日々の健康づくりに役に立ち、暮らしの楽しみの幅が広がる優れものです。一緒にアロマセラピーを楽しみましょう。
Credit

写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/
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