暑かった夏の余韻を感じながら、秋の庭で日暮れに活躍するアイテムが、ランタンのほのかな灯り。神奈川県横浜で小さな庭のある暮らしを楽しむ前田満見さんは、庭の各所に飾っているランタンを灯して秋の庭で過ごします。そんな前田さんがお気に入りのランタンと、その使い方をご紹介します。
目次
癒しをくれる虫の音とキャンドルの灯り

朝夕の風に、秋の気配を感じられる9月。酷暑で傷んだ草花の手入れをしながら過ごす夕暮れは、庭の其処此処にランタンを灯します。薄暗い葉の茂みから聞えてくる虫の音と、ランタンのほのかな灯りは、庭仕事の癒し。日中の暑さから解放されて、心地よい疲労感に満たされます。
時を経た錆色のランタン

小さな庭に吊るしているランタンは2つ。一つは、ヤマブドウの棚に吊るしているインド製のランタンです。確か、庭づくりを始めたころ、ガーデンショップで購入しました。かれこれ17年以上も前のことです。当時は黒色でしたが、今では見事な錆色に。途中、何度か塗り替えようと思いましたが、この錆色は、雨風にさらされながら庭と同じ時を重ねてきた証。そう思うと、何だか惜しくなって、ずっとそのままです。

けれども最近は、かえって錆色が庭に馴染んでいるような気がしています。特にこれからの時季は、徐々に深みを増すヤマブドウの実や葉の色合いと合って、いい雰囲気に。細かな透かし模様からチラチラと溢れる灯りと相まって、味わい深い景色を演出してくれます。
見た目はサビサビだけど、まだまだ現役。これからも、ずっとこの場所で庭を見守ってほしいランタンです。
骨董市で見つけたオリジナルランタン

もう一つは、ナツツバキの枝に吊るしている鉄製のランタン。数年前に骨董市で見つけました。一見洋風ですが日本製で、もともとは室内用の灯りとして利用されていたのだとか。どこか大正ロマン漂うふっくらとしたフレームがなんとも素敵で、目にした瞬間、テラスのナツツバキの枝に吊るしたいと思いました。さまざまな物が溢れる骨董市で、これほど明確にイメージできるものはなかなかありません。とはいえ、底抜けなので、直ぐにはランタンとして使用できず…。

何か代用できるものがないかと家の中や庭を探していたら、偶然、底のサイズにぴったりの鉢皿とキャンドルガラスを見つけました。身近な物が古物にぴたりと収まった時の快感はなかなかのもの。ひらめきとアイデアで古物をリユースする楽しさは、まさにそこにあるような気がします。そうしてできたランタンは、他にはないオリジナルランタン。愛着は格別です。

デザインが素敵なので吊るしておくだけで絵になりますが、気泡ガラス越しのキャンドルの柔らかな灯りが、辺りの緑をふんわりと照らす様は、夏の陽射しを浴びて傷ついた草木を癒すよう。こちらまでホッとした気分になります。さらに、秋が深まり草木が紅葉する頃は、いっそうレトロな情緒が漂います。
それにしても、昔は、家の何処で、どんな風に使われていたのでしょうね。静かに揺れるランタンの灯りに、ふと、そんなことを想像します。
北欧デザインのランタン

そして最近、新たに「Holmegaard(ホルムガード)」のランタンが仲間入りしました。「Holmegaard」は、デンマーク王室御用達のグラスウェアブランド。ここ数年、日本でも大人気なので、きっとご存じの方も多いのではないでしょうか。レザーハンドルとガラスの組み合わせが印象的なこのランタンは、シンプルなデザインと持ち運びできる手軽さ、置いたり掛けたりできる使い勝手のよさが特徴です。

実際に使ってみると、無駄のないデザインがどんな場所にも馴染み、機能性も抜群。普段はリビングやダイニングに置いていますが、庭時間が長くなるこれからの時季は、ガーデンテーブルに置いて楽しみます。

一日の終わりに、庭仕事を終えてテラスでいただくお茶は、何よりのご褒美。虫時雨とランタンのやさしい灯りに包まれて、ゆっくり時が流れていきます。
Credit
写真&文 / 前田満見

まえだ・まみ/高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。
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