ダマスクローズで作るバラジャムレシピ〜甘く上品な香りを堪能♪
バラの楽しみ方はその美しい姿を愛でたり、香りを楽しむだけではありません。バラには体内に取り入れることで得られる素晴らしい効能があります。今回は、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんに、バラの中でも格別の香りを持つダマスクローズを贅沢に使ったジャムレシピをご紹介していただきます。バラの作用を丸ごと体内に取り込めますので、ぜひ作ってみてください。
目次
バラを食べることで得られる効能は?
日本人にとって、バラを食べるというのはあまり馴染みがないかもしれませんが、バラにはたくさんの栄養素が含まれており、薬の一つとして重宝されてきた歴史があります。
バラには皮膚や粘膜・血管・骨などを作るのに不可欠なコラーゲンの生成を助けるビタミンCや、毛細血管の血行を促進し、冷えや肩こり・肌荒れを改善するビタミンEなどの栄養素がたっぷり。また、食欲の減退・便秘・肝臓の不調などの消化器系トラブルにも○。さらに、生理痛・更年期障害、むくみなど女性特有の症状にも働きかけ、数あるハーブの中でも群を抜いてさまざまな効能を持っているのが、ローズです。
通常、ハーブティーなどでハーブを摂取する場合、3分お湯に浸すことにより、有効成分はほとんど出切るといわれています。ですが、丸ごとハーブを口から摂取すればより多くの栄養を丸ごと体内に取り込むことができます。今回、ご紹介するバラジャムは、バラの花びらをそのまま食べるため、効率よくバラの持つ成分を摂取することが可能ですよ。
ハーブを食べることも、ガーデンセラピー
植物のある癒しのライフスタイルを通じて、ストレスを軽減させ、心身の健康を促進しようという取り組みを、ガーデンセラピーと呼んでいます。ガーデンセラピーは、園芸療法・森林療法・芳香療法など、さまざまな植物療法の相乗効果を期待した、自然療法の総称です。このガーデンセラピーの定義の中には「食事療法」も含まれます。
一般的な食事療法というと、塩分やカロリーのコントロール、野菜の摂取といった食事指導がメインですが、ガーデンセラピーにおける食事療法は、ハーブや野菜など、食べられる植物を自らの手で育てていただいたり、それを食べたり飲んだりこと。ハーブの効能により健康促進につながるのはもちろんですが、自分たちで育ててみると、より食への関心が高まり、農薬やフードロス…といった社会問題にも意識を向けるきっかけになります。週末だけのガーデンセラピーでも、十分効果は得られます。自然に触れ、五感を刺激することで、感性も磨かれることでしょう。
どんなバラがジャムに向いているの?
今回バラジャム作りで使用するのは、最も香りがよいとされる「ダマスクローズ」。仕上がった時の香りは格別です。
バラジャムを作る場合は、食用のバラでしたら、どんな品種でも大丈夫です。インターネット通販が盛んになり、お取り寄せが簡単にできるようになったことで、食用バラも手に入りやすくなりました。配送面で時間がかかるので、花もちという点で少々心配ではありますが、クール便などを利用して送ってくれるお店もありますので、調べてみてくださいね。
食用バラを購入する際には、栽培期間中に農薬を使っていないかどうか、しっかり確認しましょう。農薬を使用せず、ご自身で育てているバラでもバラジャムが作れます。
農薬を使っていないものなら、洗わずにそのまま使えるのも大きなメリット! 水で洗うと、水のしみができてしまったり、繊細な花びらがきれいに使えなくなったりします。また、バラの花びらは鮮度が命。長くは保たないので、すぐ使用できない場合には冷凍しましょう。
バラジャムの作り方
それでは作っていきましょう。
<材料>
- 食用バラ 50g
- 砂糖 50g
- 水 50g
- レモン汁 大さじ1
<作り方>
1. バラをボウルに入れ、レモン汁を振り、揉みこんで10~15分ほど放置します。
2. レモン汁がピンク色になるので、よく絞ってバラは鍋に。絞り汁はそのまま取っておきます。
3. 鍋にバラ・砂糖・水を入れて、弱火で20分ほど煮込みます。
仕上がりをきれいな色にしたかったので、今回は白砂糖を使いましたが、甜菜糖やきび砂糖でも作れます。
4. 20分ほど煮込んだら、火からおろし、粗熱を取ります。
5. 粗熱が取れたら、2で取っておいたピンク色の絞り汁を加えて、軽く混ぜ合わせたのち、再度火にかけます。
6. 弱火で10分ほど煮込んだら、完成です。
保存方法とオススメの食べ方
完成したら、清潔なビンなどに入れて、冷蔵庫で保管しましょう。保存料などを使用していませんので、なるべく早く食べきりましょう。
さて、その気になるお味はというと…、「バラの香りがする、ほんのり苦みもある大人なジャム」というのが私の個人的な印象。バラにはタンニンという苦み成分があり、この苦みはバラの花びらの付け根の白い部分から出るので、ここをカットしてから使用すると、苦みやえぐみのない味に仕上がりますよ。
バラの花が採れる季節は、一瞬。もし、たくさん収穫できたらジャムにして。冷凍しておくと長期保存も可能です。
バラジャムは、ヨーグルトに混ぜたり、ハーブティー・紅茶などの飲み物に入れるのがオススメ。
この日は、スコーンに添えてみました。お好みのアレンジ方法を見つけて、食べるガーデンセラピーをお楽しみくださいね。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -
ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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