女性に嬉しい効能がいっぱい! ローズの精油・フローラルウォーターを使ってみよう
植物の持つ芳香成分は、私たちの心身に働きかけ、さまざまな作用をもたらしてくれます。今回は特に香りが高いことで古代から知られているバラ、ダマスクローズをハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんにご紹介いただきます。ローズは女性に嬉しい作用がいっぱい! 成分が凝縮された精油は、たった1滴で、美容面・精神面・健康面において、かなり優れた作用を発揮してくれますよ。精油よりリーズナブルで気軽に使える「フローラルウォーター」もオススメです。
目次
花の女王・ローズの精油はどうやって作られるの?
世界で2万種以上もあるローズのなかでも、特に甘く芳醇な香りをもち、花の女王ともいわれるのが「ダマスクローズ」。原種に近い中東原産のバラです。
ダマスクローズの花びらと水を加熱すると、ローズの成分を含んだ蒸気が立ち上ります。これを冷やすと液体と精油に分離するのですが、この液体の上にたまったものが、精油です。
この手法を水蒸気蒸留法といい、精油を採るときにはほとんどこの方法で行われています。
精油の含有量は植物によってそれぞれ異なり、バラの花から精油を1滴(0.05ml)採るためには200輪必要といわれています。そのため、バラの精油は非常に高価です。メーカーによって異なりますが、目安は2mlで20,000円前後。1滴およそ500円という計算になります。
とても高価ですが、作用はその分、桁外れ! 精油は種類により、数十から数百の有効成分から成り立っていますが、ローズの精油は判明しているだけでも、300を超える微量成分の集合体。他の精油とは別格のゴージャスさを誇ります。それだけの有効成分を含んでいるため、美容や健康にかなり優れた作用をもたらしてくれますよ。1回の使用量は少量でいいので、大切に使ってくださいね。
ローズの精油の取り扱いについて
ローズの精油は低温になると凍る成分を持っています。普段は桐箱に入れて保管をしていますが、冬場は凍っていることもしばしば。でも安心してください。これが本物の証。逆に固まらないローズの精油は植物100%から採れたものではない可能性も。
高価なだけに、入手する際には、信頼できるショップで、高品質なものを選ぶことがオススメです。
ローズの場合、水蒸気蒸留法で採取されたものを「ローズオットー」、有機溶剤を使用して採取されたものを「ローズアブソリュート」と呼びます。
ローズの精油の効能
ローズの成分が凝縮された高価な1滴は、美容面・精神面・健康面において、さまざまな優れた作用を発揮してくれますよ。
詳しく見てみましょう。
美容:1滴で贅沢な美容液が完成
収れん作用があるので、肌を引き締め、ハリをもたらし、シワ予防にも○。肌細胞の再生力を高めて、キメを整えますよ。
また抗炎症作用があるので、炎症を起こしたニキビ、日焼け後のお肌ケアにも有効です。
精油は肌に直接つけられません。ホホバオイルなど植物油などで希釈してつけましょう。
10mlの植物油にローズの精油を1滴入れれば、贅沢な美容液の完成です。
精神:気持ちが不安定になる時のお守りに
不安や落ち込みなど、精神的に不安定な時には、ローズの香りをかいでみましょう。心を落ち着ける鎮静作用とともに、気持ちを明るくし緊張感を和らげる高揚作用もあります。
一見すると相反する作用のように思いますが、人間には、生まれながらにして恒常性(ホメオスタシス)といって、健康な状態から少し外れた時に、元に戻そうとする機能が備わっているのです。植物にはその手助けをする力があり、ローズの香りをかぐことで、落ち着きが必要な場合には気持ちを鎮め、落ち込んでいる場合には気分を上げてくれます。
つまり、あなたの身体の状態に応じて、ローズが心身のバランスを保ってくれますよ。
健康:女性特有のトラブル症状に
ローズは女性ホルモンのバランスを調整するのが得意です。生理不順や生理痛、月経前症候群(PMS)、更年期障害など、女性特有のトラブル症状を和らげる働きを持っています。
ホホバオイルなど植物油(10ml)にローズの精油を1滴たらし、トリートメントオイルを作ります。それを使って気になる部分を優しくマッサージしましょう。
※ローズの精油は、妊娠初期の使用は避けてください。
精油を採る過程でできるフローラルウォーター
先ほどご紹介した、精油を採取する水蒸気蒸留法を用いた場合、副産物として水ができます。
この水は、お花やハーブたちの香りが抽出された水で、「フローラルウォーター」や「ハイドロゾル」などと呼ばれます。
このフローラルウォーターは、ペパーミントやローズマリーなど、さまざまな種類が購入可能ですが、その中でも特にオススメなのがローズ。フローラルウォーターにも、精油の有効成分が含まれているため、穏やかながら、精油と同じ作用も期待できるのです。
ローズのフローラルウォーターは200mlで1,500円~2,000円程度と、精油に比べると安価なので、普段使いもできますね。希釈する必要もないので、そのまま顔やお肌など、全身にパシャパシャと気軽に使えるのも嬉しいポイント。
フローラルウォーターは精油を販売しているメーカーで一緒に取り扱っていることが多いので、精油と同じようにアロマテラピー専門店などで購入してくださいね。
ローズのフローラルウォーターの使い方
フローラルウォーターの活用方法はさまざま。保湿作用のある植物性グリセリンを加えて化粧水にしたり、手作りアロマグッズの基剤としても活躍しますし、入浴剤にしても○。
私のオススメの使い方は、とにかくスプレー!
清潔なスプレービンに入れ、持ち歩くようにしています。
ちょっと気分を変えたい時、夏のべたつく肌が気になった時、冷房の風でお肌の乾燥が気になる時、目の乾燥が辛い時、日焼けした時、ニオイが気になる時など、気軽にシューッとするのです。それだけのことですが、かなり幸せな気持ちにさせてくれる優れもの。ぜひローズの香りをまとって、気軽にアロマテラピーを楽しんでみてください。
<注意点>
※ご紹介したレシピの作用や反応には、個人差があります。ご利用の際には、身体に合うかどうかパッチテストを行い、違和感がある場合にはすぐ使用を中止するなど、ご自身で責任を持ってお試しいただくようお願いします。
※フローラルウォーターをスプレーに詰め替えて持ち歩く場合は、1〜2日で使い切る分をこまめに作って、衛生的に活用してください。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -
ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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