四季がある日本には、長い歳月を重ねながら伝えられた、自然にまつわる言葉がたくさんあります。花から始まるライフスタイルを提唱する『花時間』が、美しい響きのそれらの言葉を、バラのアレンジに映してみました。花色、器、飾る場所などを考えながら、形作っていく楽しみ。ぜひ花で、季節を感じてみてください。
目次
テーマ、花色、器の順にイメージを固めていきましょう
一年の始まり、お正月となる1月は、おめでたい色、赤と白。3月はひな祭りのイメージから、桃色と黄色。風薫る5月は青葉の色、緑。こんな風に、その月の行事や自然を、花の色で表現してみましょう。テーマとバラの色を決めたら、どんな器を選ぶか、どこに飾るかを考えます。
バラで季節を描く、と言葉にすると、難しい印象がありますが、遊び心いっぱいに楽しく、想像の翼を広げてみてください。たとえば、上の写真は4月をイメージしたアレンジ。「春風」という言葉から連想して、風を感じるシーンをつくり出しました。
穏やかな風が吹いて、待ち望んだ春の到来を感じる4月。どの花を育てよう、どの花を活けようと心が浮き立つ時季でもあります。そこで、透明な瓶を並べ、茎のしなやかなスプレーバラや草花をぽんぽんと挿しました。光は花びらを透かし、風は葉を揺らす…軽やかなその表情こそ、作者が考える4月なのです。
画面トップにも登場した上写真のアレンジは、何月だと思いますか? 涼やかなアレンジも、その作品に込めた想いを知ると見方が変わってきます。キーは青紫色のバラ。答えは6月です。恵みをもたらす梅雨のもと、植物はぐんぐん成長します。人の暮らしに密に関わる植物を、雨の色をしたバラと合わせたのです。
季節の始まりのときや、月初め、特別なとき…。アレンジは大きくても小さくても構いません。花で、季節の絵を描いて、遊んでみて。多彩な色をもつバラなら、どの季節でも表現できますよ。さあ、続けて、7~9月をご紹介しましょう。
7月は「七夕」。夏の夜空に浮かぶ色とりどりの花の短冊
7~8月は日本各地で、七夕祭りが行われます。短冊に折り鶴に吹き流しなど、お飾りで彩る七夕のお祭り。その光景をなぞるように、夜空のような色のガラス鉢にグラスを沈め、花をあしらいました。賑やかな夏のひとときを、多色の花たちで描きます。
【花材】
バラ(‘ダーシー’、‘カフェラテ’、‘マリーローランサン’、‘レオニダス’)、ダリア、ケイトウ、ジニア、デルフィニウムなど
8月は「緑陰」。暑さを忘れる涼やかな緑色の効果を
緑陰とは、緑色に染まる木立の陰を表す言葉です。太陽に焼き尽くされそうな真夏の日々。暑さをものともしない植物、サボテンや多肉植物、エアプランツなど、タフな個性派を集めて、野生味のある緑色のバラと一緒に、花の木に仕立てました。足元には、給水が不要なエアプランツを涼しげに飾ります。
【花材】
バラ(‘コンキュサーレ’)、テマリソウ、エアプランツ、サボテン
9月は「お月見」。身近な自然の恵みを名月に供えます
澄みきった夜空を見上げては、月を探す9月。日差しは強くても、風はひんやりとして、すっかり秋の風情です。そして、山芋の蔓に、小さなムカゴができる季節でもあります。熟した果物を思わせる赤いバラを、初秋の植物と一緒に竹かごに盛って、お月見の花にしました。
【花材】
バラ(‘ザ・ダークレディ’、‘コンチェルト’、‘シャルロット’、‘ブラックティー’ほか)、ヤマブドウ、ヤブミョウガ、ハギ、ミズヒキなど
季節のイメージは、人それぞれ。ぜひ、これらを参考に、あなたならではの“花絵”を描いてみて。『花時間』では、バラが好きな方々へ贈るムックを、このたび刊行しました。ここでご紹介した作品を含め、12カ月のアレンジは、こちらの本に掲載されています。アレンジからガーデニング、ドライフラワーまで、バラの花を楽しみ尽くす74のアイデアを収録。アレンジに役立つバラ図鑑つきです。
新刊『花時間Petit 飾る、育てる、作る バラを楽しむ本』
定価/本体900円+税
B5判変型/80ページ
ISBN978-4-04-896543-9
発行/株式会社KADOKAWA
詳細は
https://www.kadokawa.co.jp/product/321902002136/
Credit
記事協力
花時間編集部
『花時間』は、花やグリーンから始まる、ボタニカルライフを提案しています。フラワーアレンジ、ガーデニング、クラフト、インテリア、イベント…暮らしの中に咲く花や癒やしのグリーンを、雑誌やムック本、書籍、SNSなどで発信中です。雑誌は1991年創刊。生産者や花市場との交流が深く、美しく役に立つ情報を厳選してお届け。
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