そよそよ風に揺れる姿が魅力 セリ科の花でナチュラルアレンジ
ナチュラルな印象のフラワーアレンジメントは、とても魅力的ですが、正解の形がないために意外ときれいに作るのは難しいもの。そんなナチュラルフラワーアレンジ作りにぴったりの花と、アレンジのコツを、フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんに教わります。
目次
ナチュラルにアレンジするって難しい?!

フラワーアレンジメントは、どんなスタイルがお好きですか? キュッと花をまとめた華やかな雰囲気のアレンジ。または、野に咲く花を摘んできてそのまま束ねたようなアレンジ。さまざまなスタイルがあり、それぞれの魅力があります。
私がフラワーアレンジメントの教室を始めた頃は、花首をキュッとまとめて、きちっと形を作るようなアレンジをしていました。ここ数年は、形にとらわれず、オアシスをあまり使わずに「自然な感じに、ナチュラルに活けましょう」とお伝えしています。 そうすると、「ナチュラルって、意外に難しいんですよねー」と、皆さんおっしゃいます。
確かに、目指す形があって、それぞれに役割のある花を配置していくようにすれば、見映えのよいアレンジができ上がります。 ナチュラルスタイルとなると、それぞれが思う自然な感じというものが違うため、正解がありません。それで、難しく感じるのかもしれませんね。 きちっとした形のあるアレンジメントが上手な方ほど、「ナチュラルスタイルが苦手」とおっしゃるような気がします。
私が思うナチュラルスタイルは、全部の花がお行儀よくこちらを向いていなくてもよく、ときどき横を向いた花もあっていいし、大幅に飛び出した葉っぱがあってもいい。そんなふうに、整えすぎないようにするのがいいのかなと思っています。
ナチュラルアレンジに重宝するのは、セリ科の花

ナチュラルスタイルのアレンジをするなら、野に咲いているような花を使うのがオススメです。 花自体が持つイメージも加わって、よりナチュラルな雰囲気のアレンジメントになります。 そこで重宝するのが、セリ科の植物です。
セリ科の植物というと、レースフラワー、ホワイトレースフラワー、ブプレリウム、アストランチア、フランネルフラワーなどがあります。思い浮かべただけでも、なんだかそよそよしてきませんか。 それから、ハーブや野菜の中にもセリ科の植物があります。ウイキョウ、フェンネル、アニス、 イタリアンパセリ、キャラウェイ、コリアンダー、チャービル、ディル、ミツバ、ニンジンなどです。

セリ科の花は、花軸が短く、一点から放射状に花柄が伸びているように見える傘形花序が特徴で、 散 (傘) 形花科ともいいます。 花を見て、あっこれはセリ科! とすぐに見分けられるのが楽しくて、好きなところです。そんなたくさんあるセリ科の植物の中でも、私はふわふわしたブルーレースフラワーが好きです。
セリ科の花は、どんな花と合わせると素敵に見える?
セリ科の花がナチュラルテイストなので、他の花も、同じような雰囲気のものを選ぶと合わせやすいです。お花屋さんで選ぶとしたら、たとえば、ラークスパー、アスチルベ、カモミール、スカビオサなど優しい花がよいでしょう。 バラでしたら、スプレータイプや、カップ咲きのものを選ぶとナチュラルに仕上がります。ベルテッセンや、ラベンダー、アジサイ‘隅田の花火’なども素敵な組み合わせになりそうです。
セリ科の花を合わせたナチュラルアレンジの作り方
<使った花>
*セリ科の植物だけのアレンジ

・ブルーレースフラワー(白)
・フェンネル
・オルレア ‘ホワイトレース’
*セリ科の植物+ブルーの花を合わせて

・ブルーレースフラワー(白)
・ラベンダー
・ギリア
・ワスレナグサ(白)
<手順>
セリ科の植物だけのアレンジ
- 器に1/3ほど水を入れます。

- フェンネル→オルレア→ブルーレースフラワーと入れていきます。

ガラスに入る部分の葉は取り除いておきます。花の足元がきれいに見えるように注意して、1本ずつ入れていきます。

ポイント
ナチュラルアレンジメントを作る際は、花の高さも向きも、あえて不揃いにして、整えすぎないようにします。ただし、ブルーレースフラワーは、前後左右重ならないほうがきれいに見えます。また、茎(器の中の足元)は揃えたほうがすっきりします。
口元が細くなっている器は、まとめやすくてオススメです。
ブルーの花を加えたアレンジ

ブルーの花を加えたアレンジも同じ要領で花を入れていきます。
ブルーレースフラワーの白を引き立てるために、”青”を差し色として入れましょう。その際、”青”の分量が多すぎないようにします。
こちらのアレンジでは花を同じ長さにし、ラベンダーやギリアが白い花から飛び出すように入れます。ワスレナグサの曲がった茎もうまく使うと、より自然な感じになります。
あまり詰め込みすぎないようにしましょう。
ヨーロッパの田舎道に咲くホワイトレースフラワー

もうかれこれ13年ほど前のこと。私は家族と中欧ハンガリーに住んでいました。住み始めた頃のハンガリーは EU に加盟したばかりで、まだまだのどかな風景がたくさん見られるよう なところでした。
ブダペスト郊外には、西ヨーロッパ資本の大型スーパーマーケットが多く進出してきて、毎週末に買い出しに行くのが楽しみでした。スーパーマーケットに行くには、自宅から車で30〜40 分ほど。徐々に整備されてきた高速道路を使ったり、舗装されてはいるけれどデコボコの田舎道を通って行きました。
初夏になると、その田舎道の沿道に、ホワイトレースフラワーが、ずーっと延々と咲いていました。 当時は、それがフラワーアレンジメントでよく使うあの”ホワイトレースフラワー”だと思っていましたが、セリ科の植物は、似たような傘形花序の花をつけるものがあるので、ノラニンジンとか、セリとか、何かそんな感じの野生種のセリ科の花だったのかもしれません。
真っ白な花が、ふわふわ、そよそよと風に揺られ、気持ちよさそうに咲いていて、それはそれはきれいでした。 きちんと整備して植えてあるという感じではなく、ごく自然に自生しているという様子でした。 背の高いもの、低いもの、ちょっと斜めになって生えているもの、太い茎、細い茎。それぞれあっちを向きこっちを向き、不揃いの中に自然の美しさのようなものを感じました。
「ホワイトレースフラワー」という名前は、ヨーロッパの伝統手芸、ボビンレースから?

ホワイトレースフラワーといえば、こんな思い出もあります。 少し前、知り合いの方のご紹介でボビンレースの作品展のお手伝いをする機会がありました。その際に、たくさんのボビンレースの作品を見せていただいたのですが、まぁ、繊細で優雅で美しいこと! これを手仕事で作り上げるというのですから、どれほど根気のいる大変な作業なのだろうと、不器用な私は想像しただけでも気が遠くなりそうでした 。
ボビンレースの作品を見て、私はすぐにホワイトレースフラワーを思い出しました。 18世紀のヨーロッパでは、女性だけでなく男性もレースを取り入れたファッションをするように なり、レースが富の象徴になりました。ホワイトレースフラワーという名前は、あの繊細なボビンレースから連想して名付けられたに違いないと確信しました。
ホワイトレースフラワーは、アレンジの仕方によって、クラシックな雰囲気になるのですが、 そんなところも共通していると思います。
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Credit
アレンジ作成・写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
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