愛犬の歯磨き、どうされていますか? 実は、犬は人間よりも歯周病になりやすい! 虫歯にはめったにならないそうですが、人間と同じように歯周病にはなってしまいます。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、愛犬あんの日常のデンタルケアをご紹介します。
目次
愛犬のデンタルケア
犬は自分で歯ブラシを持って歯磨きをすることができませんので、飼い主がしっかりデンタルケアをする必要があります。
じつは、我が家の柴犬あん(5歳)は、2年ほど前から徐々に歯石がついてしまい、獣医の先生の勧めもあって、先日、全身麻酔の歯石除去を受けました。今回のことを経験してデンタルケアの大切さを痛切に感じました。やはり毎日のお手入れが肝心です。あんの日常のデンタルケアをご紹介します。
犬の歯周病は怖い!
犬の口腔内はアルカリ性のため、虫歯菌が繁殖しにくいのですが、問題なのは歯周病です。3歳以上の犬の約8割が歯周病を持っているといわれているそうです。歯周病の原因は歯垢の中の細菌で、犬の歯垢は3~5日で歯石に変わります(人間は25日)。歯石は、歯垢に唾液中のカルシウムなどが加わって石灰化したもの。 歯石があるとその上にさらに歯垢が付きやすくなり、どんどん歯石が厚くなっていきます。歯石がたまると、歯肉に炎症が起こり、歯周病となります。症状が進むと最終的には歯が抜け落ちたり、全身の内臓に悪影響を与える場合もある、怖い病気なのです。
<歯石除去手術>
我が家の柴犬あんは、3歳くらいまでは真っ白なとても綺麗な歯をしていました。歯磨きの大切さは、友達犬の飼い主さんから話を聞いたり、本やサイトなどで読んで承知していましたので、歯磨きは時々(週1~2回)はしていました。でも、3歳を過ぎた頃から、歯の所々が茶色っぽくなってきて、ある日歯ブラシを当てたところ出血してしまいました。きつくブラッシングしてしまったのもあったのかもしれませんが、これは大変なことになった! と思い、週1~2回の歯磨きを毎日するようにしました。けれども一度ついてしまった歯垢は歯石になり、歯周病になりかけていたようです。
獣医さんに相談し、半年ほど様子を見ていましたが、ついに全身麻酔の歯石除去手術を受けることにしました。
全身麻酔と聞いて、正直なところとても心配でした。いつも通っている獣医さんから事前に丁寧に説明を受け、もうここは先生を信頼してお任せするしかないと覚悟を決めてお願いすることにしました。
前日の夕飯を早めに終え、そのあとは絶食。当日のお昼前に病院に入り、血液検査などを受けてから麻酔をして、歯石除去となりました。
術後麻酔から覚めて「もう大丈夫ですよ」と病院から電話をいただいて、もう夕方になっていましたが、迎えに行くと、診察室の奥の方からノロノロ、尻尾を振りながら歩いてきたあんを見た時は、ほっとしました。歯は子犬のときのように、真っ白になっていました。もう絶対に歯石をつけないぞ! と、あんのそのピカピカの白い歯を見て心に誓いました。
愛犬あんの歯磨きグッズ
我が家での歯磨きは、歯ブラシと和紙でできたシートを使っています。あんは、歯ブラシを嫌がりません。歯ブラシを使い始めの頃に、「歯にマヌカ」という商品を使って、歯ブラシに慣らしていきました。「歯にマヌカ」は、マヌカハニーを犬の歯磨き用に加工したもの。よく知られているように、マヌカハニーは、高い抗ウイルス効果を持ち、歯垢や歯肉炎の減少にも効果があるとされていて、ニュージーランドの先住民マリオ族は、虫歯・口内炎・歯周病の治療や予防に使っていたといいます。それを犬にもという商品です。甘い美味しそうな香りがするので、歯ブラシを持ってくると、「あっ! マヌカだ!」とあんが思ったかどうか分かりませんが、いそいそと歯ブラシに寄ってきました。それでしばらく歯ブラシに慣れさせ、慣れた頃からは使わなくても大丈夫になりました。
今は、犬用の柔らかい歯ブラシと和紙でできたシートを交互に使っています。シートのほうは、歯茎のマッサージにも効果的に使えるようです。歯ブラシだけでは不十分なところ、シートだけでは不十分なところなど、それぞれ補えるとよいと思い、両方を使っています。
歯磨き時間は、犬が我慢できる範囲内で、なるべく短時間に済ませるようにすることも大事なポイントです。短いチャンスに効率よく歯磨きを終えるようにします。
歯周病予防には生肉がいいらしい⁈
狼だった頃の犬は、小動物や鳥などの獲物を捕って生活をしたので、皮を引きちぎり、生の肉や骨をガリガリ噛み砕いて食べていました。生の肉には、酵素や良性菌など口内環境を整える栄養がたっぷりあり、また、皮や骨など固いものを食べることは、天然の歯磨き効果とアゴの強化、また脳神経の刺激など、よい効果がたくさんあるといわれています。
そして噛むことで、殺菌・抗菌効果があり、歯垢や歯周病を予防する役目もある唾液の量が増加するのだそうです(そういえば、あんは口を閉じていることが多いし、あまり唾液が多いほうではないのも、歯石が付きやすい原因なのかもしれません)。
生肉がよいといっても、新鮮な生肉を食べさせることはなかなかできません。鹿肉や馬肉なんて手に入りませんし。
そもそも、すっかり野性味が乏しくなってしまった我が家のあんは、食べ慣れない生肉を食べて大丈夫かなと少々心配になります。友人から、鹿の骨がよいと聞き、取り寄せてみましたが、獣らしい匂いのする鹿骨は好きではないようで、あまり食べませんでした。
布製のおもちゃで歯磨き
そこで、遊びながら歯磨き効果が期待できるおもちゃが活躍! コットンでできたロープのおもちゃは、効果があり人気のようです。いつも公園で会う友達犬のりんちゃんは、ロープが大好きなだけあって歯が真っ白です。あんも子犬の頃は、ロープを噛んだり、引っ張りっこをして遊んでいました。大人になってあまりロープ遊びをしなくなってしまったのも、少なからず歯に影響したかもしれません。
デンタルケアの面からおもちゃを選ぶとすると、ロープのほか、コットン100%の糸で編んだ「ポケットディスク」がオススメです。「ポケットディスク」は、グアテマラ・マヤ族の人々の手によって丁寧に一つひとつハンドメイドされたフェアトレードの製品です。、名前の通り、折りたたんでポケットに入れて持ち運べて、インドアでもアウトドアでも楽しめます。コットン製ですので、キャッチに失敗して顔にディスクが当たっても痛くないところも、安心です。もちろん噛み噛みすれば、歯垢落としにも役に立ちそうです。
あんのために作ったアクリル毛糸のおもちゃ
アクリル毛糸やオーガニックコットンの糸を使って、手編みのおもちゃを作りませんか? 編み物があまり得意ではない私でも、テレビを見ながら1~2時間ででき上がりました。少々余っているアクリル毛糸で大丈夫です。
茶色と白の毛糸があったので、ホワイトチョコレートがかかったドーナツを作りました。本やサイトで探してみると、ドーナツのほか、骨形、ボール、編みぐるみなども紹介されていますが、私にとってはドーナツが一番簡単で可愛らしくできました。中に、あんが大好きな、ピーピー鳴る「鳴き笛」を入れました。鳴き笛は、手芸店で購入できます。
*材料
- アクリル毛糸(あれば2色)
- 中に詰めるワタ
- 鳴き笛
- かぎ針
*作り方
丁寧にレクチャーされた動画がいろいろありますので、参考にされるとよいと思います。
私は、こちらの動画を参考にさせていただきました。
https://youtu.be/HEXInHwedZ0
洗剤を使わなくてもピカピカになるというエコたわしは、アクリル毛糸を使って編んだもので、主婦の間では大人気ですね。そのアクリル毛糸で編んだ犬のおもちゃ。犬の歯の汚れも落としてくれるなら、もう~いくらでも作りたい!と思ってしまいます。頑張って編んだおもちゃを喜んでくれる愛犬の姿を想像すると、ワクワク楽しい気分になりますよね。あんもとても気に入ってくれたようでした。
併せて読みたい
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Credit
写真&文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
参考:ホリスティックケア・カウンセラー養成講座テキスト
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