シャクヤクのバスケットアレンジ 北欧風と東洋風の2タイプを紹介!

シャクヤクの季節がやってきました。シャクヤクは大輪で、花びらが幾重にも重なりとても優美な花ですよね。一年を通して出回る花と違い、シャクヤクは期間限定の5月前後しか楽しめません! ぜひ、美しい大きなシャクヤクをお部屋に飾って季節を楽しみましょう。
シャクヤクとは、こんな花

シャクヤクはアジア原産の多年草です。英名はpeony(ピオニー)。和のスタイルや東洋的なシノワズリーなイメージがよく似合いますが、欧米でもたいへん愛されている花で、パリで見かけるような洋風のアレンジもとても素敵です。シャクヤクは1株から出荷できる期間が1週間〜10日と非常に短く、一年を通して出回る花とは異なり、期間限定の時期しか楽しめません。例年、4月から6月上旬まで流通し、5月中旬が出荷のピークです。旬のシャクヤクをいろいろなスタイルで楽しんでみませんか。
今回は、タイプの異なる2つのバスケットを使ったアレンジをご紹介します。一つは北欧風のカジュアルなイメージでアレンジしました。もう一つは違うタイプのバスケットで、東洋的な雰囲気に仕上げています。
<使った花>

*北欧風 手付きのバスケットのアレンジ
- シャクヤク‘華燭の典’
- アスチルベ
*東洋風 グレーのバスケットアレンジ
- シャクヤク‘華燭の典’
- ダリア
- コチョウラン
- キク
- ニゲラ
<手順>
*手付きのバスケットのアレンジ

- バスケットの中に、プラスチックの容器を入れて水を入れます。
- シャクヤクとアスチルベをバランスよく入れていきます。
- バスケットに空いているスペースがあったので、レモンなどのフルーツを入れました。
*グレーのバスケットアレンジ

- バスケットの中に、プラスティックの容器を入れて水を入れます。
- 大きな花のシャクヤク、ダリアから入れます。
シャクヤクの葉を間に入れて、クッションのようにすると花がとまりやすくなります。
- コチョウラン、ニゲラ、キクを入れます。

シャクヤクの扱い方

シャクヤクは固いつぼみの状態で売られていることが多いようです。つぼみに蜜がついていると、花が開きにくいことがあるので、蜜をしっかり水で洗い流すか、濡れたタオルで拭き取ってください。込み合っている葉は、間引いてスッキリさせましょう。あまりに固いつぼみを買うと、上手に開かない…ということもあるかもしれません。できれば、少し開きかけたものを選ぶとよいかなと思います。
シャクヤクはヨーロッパでも大人気

シャクヤクは東洋のバラともいわれますが、じつはヨーロッパでも大人気の花です。大ぶりな花器にシャクヤクをふんだんに使ったゴージャスなアレンジメントを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
19世紀、ヨーロッパ貴族の間で人気のあった陶磁器。マイセンやヘレンドにも、シャクヤクの柄が描かれています。マイセンのブルーオニオンシリーズ、ヘレンドのヴィクトリアブーケがそれです。ヨーロッパの陶磁器は、中国の磁器を真似て発展したものですから、シャクヤクがモチーフとして登場するのはうなずけますね。ヨーロッパの貴族たちは、東洋の香りのするシャクヤクに憧れていたのかなと想像します。

シャクヤクの香りって、どんな香り?

シャクヤクの香りといわれて、思い浮かべることはできますか? じつはシャクヤクには香りのよい種類があり、ワインの香りの表現にも用いられます。ワインの香りの表現では、「花の香り」がフルーツに次いでよく使われると聞いて、シャクヤクの他にはどんな花の香りに例えられるのか、興味が湧いて調べてみました。
結果は、ジャスミン、スイカズラ、ライラック、アカシア、バラ(赤、白)、スミレ、ボタン、ゼラニウム、ダリアなど…。どのような香りなのか、想像できる花とできない花がありますね。
分かりやすいところでいうと、バラは(赤と白で違います)若いワインのストレートさと華やかさを併せ持つ印象に使われます。白ワインのコメントでよくたとえられるというスイカズラは、白い花のイメージでストレートな甘さを感じた時に使うとのことです。

さて、シャクヤクはというと、「ドライな白ワインのキリッとした野性味を感じる部分を、「peony(シャクヤク)のような香り」と表現するそうです。
また、ボタンと同じくくりにされて紹介されていることが多いのですが、「実際の香りが感じられる言葉ではなく、比較的若いワインの香りの中に、シャクヤクやボタンからイメージする優雅で上品な印象を感じた時に使う」とあり、あの大輪の優美な花の姿をワインにたとえていて、へーなるほど! と思いました。実際の香りや味とリンクして思い浮かべるのは少々難しいのですが、とても素敵な表現だと感じました。
・育てた人だけの喜び! 抽出不可能な官能的香りを持つピオニー
ハンガリーの貴腐ワイン

私が以前2年ほど住んでいたハンガリーには、有名なワインの産地がいくつかありました。中でもトカイ地方は、フランス・ソーテルヌ地方、ドイツ・モーゼル地方と並んで世界三大貴腐ワインの産地です。ブダペストから車でだいたい3~4時間、電車でも3時間ほどなので、日帰りで行くことができます。トカイ地方に入ると、広大な葡萄畑が広がり緑一色。街はこぢんまりとしてなんだか可愛らしく、ワイナリーの見学や試飲も楽しめる人気観光地です。世界遺産にも登録されています。
貴腐とは「高貴なる腐敗」。貴腐菌を用いて作り出された、琥珀色をした濃厚な甘みと極上の風味を持つ高級ワインです。歴史は古く、17世紀のハンガリーのトカイ地方で、収穫期を過ぎてカビの生えたぶどうで作ったのが始まりです。
甘口のワインはちょっと…と思う人も多いかもしれません。でもこの貴腐ワインはただ甘いだけのワインではなく、もう別格の味わいなのです。私も初めは敬遠していましたが、ブルーチーズと一緒に勧められて味わってみたところ、以来、すっかり虜になってしまいました。ブルーチーズと合うんですよね。

トカイワインは、熟したリンゴやはちみつのような香り、とか、フレッシュなドライアプリコット、春の花カモミール、ドライオレンジ、トロピカルフルーツの香り、また、カリン、西洋カズラの甘美な甘い香りと紹介されています。デザートワインとしてほんの少しいただくのにちょうどよい甘さと香りです。
もう随分トカイワインをいただくなんて機会はありませんが、シャクヤクの花を眺めながら、久しぶりに飲んでみたくなりました。

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・初夏に花開く絢爛豪華な大輪花 シャクヤク
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Credit
アレンジ作成・写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
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