デルフィニウムは、直線的に花穂を伸ばして咲く、存在感のある宿根草(多年草)。バラや他の草花とも合わせやすく、初夏のガーデニングで活躍します。「高貴」という花言葉を持つデルフィニウムは、青やピンク、白など花色が豊富。デルフィニウムの魅力や品種、育て方を、ガーデンでの写真とともにご紹介します。
目次
デルフィニウムってどんな花?
長い花穂をまっすぐに立ち上げて、青や紫、白などさまざまな色の花をびっしりとつける姿が印象的なデルフィニウムは、初夏のガーデンで人気の花です。本来は宿根草ですが、高温多湿に弱いため、日本の夏に耐えられずに枯れてしまうことも多く、暖地では基本的に一年草扱いとされます。バラとの相性もよく、ローズガーデンでも活躍。他の草花と合わせてボーダーガーデンなどに植栽されていることも多いですね。長い花穂が縦のラインを生み、ガーデン演出のアクセントになります。また、花束やフラワーアレンジ でも豪華な雰囲気が出る花材として、一年中、花屋さんにも並ぶ人気の草花です。
デルフィニウム(Delphinium)は、キンポウゲ科オオヒエンソウ属(デルフィニウム属)、和名はオオヒエンソウ(大飛燕草)です。原産地は、ヨーロッパのピレネー山脈からアルプス山脈、シベリア、中央アジアから中国西南部の標高1,000m以上の山岳地帯。また、シベリアからモンゴル、中国に分布。野生種は、雪解け水が流れ込むような冷涼な高地に自生しています。
ちなみにデルフィニウムという名前の由来は、ギリシア語でイルカを意味する「Delphis」。つぼみの形がイルカに似ていることからこの名が付いたといわれています。
デルフィニウムの種類
デルフィニウムには大きく分けて、長い花穂にたっぷりと花を咲かせ、柱のようにボリュームのある花姿が楽しめる大型のエラータム系と、細い茎葉に花を付け、華奢で繊細な姿を持つシネンセ(シネンシス)系があり、またその中間的なベラドンナ系が知られています。特にガーデンでよく見るのはエラータム系ですが、どのタイプもガーデン素材として使いやすいオススメの花です。カラーバリエーションも豊かなデルフィニウムの仲間は、濃いブルーや淡いブルー、白、紫、ピンクまで、さまざまな花色があります。
「オーロラ」や「キャンドル」シリーズなどのエラータム系のデルフィニウムは草丈1mを越え、その長い花穂にびっしりと八重花をつけるので、存在感抜群。背が高くなるので、ボーダーガーデンの奥に配したり、フェンスの手前に植えたりするのに向いています。また、直線的なラインの花姿を持つので、ふんわり茂るタイプなど、他の草花と組み合わせる際のアクセントにも。繰り返し植栽すると、ガーデンにリズムも生まれます。バラにはないブルー系の花色と直線的な姿は、バラとの相性もよく、ローズガーデンに取り入れるのもオススメです。矮性種もあるので、ガーデンのデザインやスペースに合わせて選ぶことができます。
「ミストラル」シリーズなどのシネンセ系のデルフィニウムは、青や水色、白など透明感のある爽やかな花色を持つものが多く、華奢な花姿と相まって、ナチュラルなガーデン演出にぴったりです。白花や同系色の花でまとめたり、風に揺れるナチュラルな小花と組み合わせて、コテージガーデン風の優しい印象の庭に活用するのもいいですね。
デルフィニウムによく似ている花が、一年草のラクスパー(チドリソウ/千鳥草/飛燕草)。デルフィニウムの多くの葉は、手の平のように切れ込みが入る葉で、花穂は1株に1本伸びて丈高くなります。一方、ラクスパーの葉はコスモスのように細く、枝分かれ(分枝)しながら花が咲く点が見分ける方法の一つです。
デルフィニウムのガーデンでの使い方 実例紹介
花色豊富でボリュームある花姿が、ボーダーガーデンやローズガーデンでもよく利用されるデルフィニウム。実際に、ガーデンにデルフィニウムを取り入れている例を、写真を通してご紹介しましょう。
花色にグラデーションをつけたデルフィニウムを、他の植物と混ざり咲くように植えて、ナチュラルな印象に。
同じ品種を一カ所にまとめて植えてもインパクトがあって華やか。
春〜初夏の開花期にはいくつもの花穂を立ち上げ、見事な眺めに。
ピンク系のバラと青や紫のデルフィニウムは、好相性。お互いの花が引き立つ効果があります。
背が高くなるので、華やかな初夏のガーデンでもひときわ目を引きます。
大きな鉢に植えてもインパクト大。バラのトンネルと組み合わせて。茎が長く伸びる品種は、支柱を添えて育てます。
デルフィニウムの育て方
デルフィニウムは宿根草ですが、日本では夏越しが難しいため、暖地では一年草または、多年草と考えて育てたほうがよいでしょう。春と秋に苗が出回りますが、秋に植え付けをすると大株に育ち、ボリュームのある花姿が楽しめるのでオススメです。植え付けの際は、根を傷つけないように注意します。
若い苗を早めに植え付け、定植後に大株に育てると根を傷めにくいです。種まきをして育てる場合も、秋にタネを播いて苗をつくり、晩秋に植え付けるとよいでしょう。特定の品種を育てたい場合には、品種が記されていないことの多い苗から育てるよりも、園芸店や通信販売でタネを入手して育てるほうが確実です。
栽培の際には、日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所に植え付けます。病気の発生を防ぐため、新しい土や清潔な土に植えるとよいでしょう。植え付けの際には、緩効性肥料などを元肥として混ぜておきます。庭植えの場合は、植え付け時を除き水やりはほとんど必要ありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいまでたっぷりと水やりをしましょう。葉が展開してきたら、必要に応じて追肥を行います。
デルフィニウムの開花期は5~6月頃。花穂が下から咲き上がっていくので、花がらを摘む際は、花が咲ききって終わりかけた頃に、株元から花茎を切り戻します。花後、早めに花茎を切ることで、6月から二番花を楽しむことができる場合もあります。花のボリュームがある時期に切って、ドライフラワーにする花材としても人気です。
タネを採る場合は、花茎を切らずにそのままにしておき、結実してできたさやが茶色くなったら採って乾燥させてましょう。デルフィニウムのタネは寿命が短いので、採取したタネは、その年の秋に播いて苗をつくるとよいでしょう。
デルフィニウムは寒冷地では宿根(地中で冬を越し、春に再び芽生える)しますが、暖地では一年草として扱ったほうが簡単です。夏越しにチャレンジする場合は、夏は直射日光の当たらない、風通しのよい木陰などで育て、水やりを控えめに行うとよいでしょう。
併せて読みたい
・植えっぱなしで毎年花咲く「宿根草」特徴と育て方
・宿根草ショップの店長が教える! バラと一緒に咲かせる人気の宿根草
・夏の花壇に咲かせたい、涼しげな青い花7選
参考:みんなの趣味の園芸 https://www.shuminoengei.jp/
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