本格スパイスチャイの作り方〜シナモン・クローブ・カルダモンで香り豊かに

寒い日はホットドリンクが嬉しいですね。体がポカポカ温まる、スパイスチャイレシピを、ハーブとスパイスの歴史とともに、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんにご紹介いただきます。粉末ではなく、ホールスパイスを使うことで、香りが際立つ本格的なチャイが楽しめます。甘くアレンジしたら、スイーツを食べたような満足感も味わえますよ。ぜひ、試してみてください。
目次
ハーブとスパイスの歴史
はるか昔から薬草として活躍してきたハーブやスパイスですが、今日まで5千年もの長い間、世界情勢と密接に絡まりながら、生活に役立ってきた歴史があります。
古代エジプトでは、死後、魂は肉体に再び戻ると信じられていたため、高貴な人々の遺体が腐らないようにミイラを作っていました。その際、強力な防腐作用のあるシナモンが使われていたといわれています。また、最新の研究では、殺菌作用の高い針葉樹の樹脂(おそらく松ヤニ)も使われていたことが分かっています。その頃、ハーブやスパイスは、神事・祭事・呪術などに使われていましたが、その後、紀元前400年頃には、医学の祖・ヒポクラテスがハーブを使って病気を治療するようになり、これが医学の基礎になったともいわれています。
こうして、ハーブやスパイスの作用効果が、医学や薬学となって伝わり、中国では漢方として、インドではアーユルヴェーダとして、医療に役立てられていきました。
今では私たちの身近にあるハーブやスパイスですが、こうやって振り返ってみると、とても興味深い歴史物語を感じることができますね。
ハーブとスパイスの違いは?
先ほどから、ハーブとスパイス…と書いていますが、「ハーブとスパイスって何が違うの?」と思ったことはありませんか? 実は、ハーブとスパイスの区分や定義は、国や専門家によってさまざまで、決まりはありません。
ハーブとは、生活に役立つ香りのある植物たちの総称。ハーブの中にスパイスも含まれると考えてもいいですし、ハーブは花・茎・葉で、スパイスは種子・根・実と、使用する部分で分けて考える場合もあるようです。
本格的なスパイスチャイを楽しもう
今回は、クローブ、シナモン、カルダモンの3種類を使います。いずれも、ハーブやスパイスの専門店、スーパーのスパイス売り場などで購入できます。できたら粉末のものではなく、ホールをご用意ください。ハーブやスパイスは香りが命。使うその時に粉砕することで、香りが生きてきます。作っている時や完成した時の味や香りに格段の差がでますよ。本格的なスパイスチャイを楽しみたいなら、ホールがオススメです。
〇クローブ

インドネシア原産で、樹高10mを超える常緑高木に咲く花のつぼみを使用しています。単体で嗅ぐと、ひときわ強烈な香りがしますが、ほかのスパイスと混ざった時には角が取れて飲みやすくなりますのでご安心を。どうしても苦手な方は、量を減らすなどして調整してくださいね。
〇シナモン

インドやスリランカが原産で、5mを超える常緑樹の若木の樹皮を採取して、乾燥させたもの。甘くスパイシーな香りは、お菓子や紅茶、コーヒーなどの香り付けや料理の隠し味などにも幅広く使われています。
シナモンの近縁種に「カシア」がありますが、これもシナモンと同じように、葉巻のような枝状で売られています。シナモンよりも臭いが強く鼻にツンとくるのが特徴です。チャイにするならシナモンがオススメです。
〇カルダモン

インドが原産で、熱帯アジアに自生するショウガ科の植物(多年草)。背丈が2~3mもあります。秋に結実して、実になったものをスパイスとして使用します。高価で貴重な3大スパイスの1つ(あとの2つは、サフランとバニラ)といわれています。緑色のカラを割ると、黒い小さな実が出てきて、そのままでも香りはしますが、すりつぶすとさらに香りが強くなります。
スパイスチャイの作り方
スパイスチャイを入れてみましょう。
<材料> 2杯分
- アッサム茶葉 ティースプーン山盛り2杯
- クローブ 4個
- シナモン 1.5本
- カルダモン 2個
- 水 200ml
- 牛乳 200ml
- きび砂糖 大さじ1
<作り方>
1. シナモンは割ってバラバラにし、カルダモンはさやから黒い小さな実を取り出して、スプーンの腹などでつぶしておく

写真はスパイスミルという、スパイスをすりつぶしたり、叩いたりするための道具で、乳鉢のようにも使えます。
2. 鍋に水とスパイスを入れて、火にかける
3. 始めは強火で、沸騰したら中火にして、3~5分程度煮込む
4. 火を止めて、茶葉を入れ1分ほど蒸らす
5. 牛乳を加えて火にかけ、沸騰直前で火を止める
6. 茶こしで茶葉などを濾し、きび砂糖を加えて完成

他にもチャイのレシピはたくさんあります。スパイスの量や砂糖の種類、組み合わせを変えることで、いろいろな味のバリエーションが楽しめます。ぜひ、お気に入りのチャイレシピを見つけて、ティータイムをお楽しみくださいね。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -

ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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