プロが教えるフラワーベースの選び方&タイプ別アレンジ法~白い陶器編~
フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスン。季節の花をサラリと活ける感覚を身につけて、素敵な大人になりましょう。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。初心者でもちょっとしたコツで、アレンジメントがぐんと上手になりますよ。今回はフラワーベースとアレンジメントのコツについてご紹介します。
目次
オールマイティーな白い陶器のベース
みなさんは普段、どのようなスタイルのフラワーベースに花を活けていますか。
私は大小いろいろなタイプのものを使いますが、やはり、透明のガラスと白い陶器のものは使い勝手がよく、使用頻度が高くなります。白い陶器はどんな色の花にも合いますし、花をきれいに引き立ててくれます。また、部屋のどこに飾っても、インテリアにすっと馴染んでくれるのもいいですね。
早春の花に合う白い陶器のフラワーベースを4つご紹介します。
1.花をたっぷり活けられる広口型円錐形のフラワーベース
口径が広く、下部が細くなっている円錐形のタイプです。口径が広いので、たくさんの花が入ります。花を丸いブーケにして、ポンと入れるのもいいですね。また、ベースの中に、プラスチックのカップなど「落とし」を入れて使うとまとめやすくなります。
<ベース>
- 高さ15cm 口径14.5cm 底直径8.5cm
- Astier de Villatte アスティエ・ド・ヴィラット 「すずらん」
クラシックな雰囲気も素朴な雰囲気もあり、花との相性が良いベースです。スズランのモチーフが浮かび上がるのもエレガント。
<使った花>
- アネモネ(マリアンヌパンダ) 15本
- 蝋梅 3本
アネモネをバサッとラフな感じに入れて、アクセントに蝋梅の小枝を入れました。
アネモネの高さは、ベースと同じくらいかやや低めにして、枝もので高さを補うようにしました。咲いている花を口元に配置すると、ベースから花が浮き上がって見えない、ベースと花が分離して見えないという効果があります。小枝を入れることで、動きが出ました。
ベースの中にカップが入っています。
~アネモネ~
ビビッドな赤や紫の花色もありますが、この白と黒のパンダ色のアネモネは、シックで大人っぽいところが魅力です。満開に咲いたところもきれいですが、半開き咲き具合の花びらがとてもエレガントです。
~ロウバイ(蝋梅)~
名前の通り、蝋でできたような半透明の黄色の花が可愛らしいですね。とても香りが良いのも特徴です。英名では”Winter sweet”と呼ばれています。寒い冬に甘い香りを放つこの花にぴったりです。
2.スリムでキレイにまとまる、縦長で口径が小さいタイプのフラワーベース
<ベース>
- 高さ25cm 口径8cm 底直径13cm
貫入という、表面にひびが入ったような陶器のベースです。厚みのある器でどっしりしています。
つる首とまではいえませんが、口が小さく、縦長のタイプです。
高さを出して、スッとスリムにまとめるときれいです。花(枝)の高さは、ベースと同じくらいか、高くても1.5倍くらいに収めるとバランスよく見えます。口が小さいので、たくさんは入りませんが、花・枝が留まりやすく、とても活けやすいベースです。
どっしりとしているという点でも、安定感があります。ボリュームのある花木、例えばミモザやユーカリなどをたっぷり活けるのもオススメです。
<使った花>
- アネモネ(マリアンヌパンダ) 5本
- オーニソガラム(サンデルシー) 5本
- ロウバイ 3本
目立つ大きな花は、ベースに近い所に配置します。つぼみなどは上のほうでも大丈夫です。
今回は、オーニソガラムがつぼみの状態だったので、こちらで大体のフォルムを作って、ロウバイの枝を添えるように入れました。
高さの違うフラワーベースを2つ並べて置くと賑やかになります。どちらも白い陶器ですので、統一感をもって飾れます。
花のボリュームに差をつけて、2つで1つのようなアレンジにするといいですね。2つがつながりよく見えるように、共通する花を使うと(この場合はアネモネ)、より馴染んで見えます。
3.シンプルアレンジでも個性が光る! ピッチャー型フラワーベース
<ベース>
- 高さ19cm 口径9cm 胴17cm (くちばしは除く)
- Francfranc
以前に、キバナコスモスたっぷりのアレンジでご紹介したペリカン似のフラワーベースです。ぽったりと丸いフォルムで、ボリュームがあるアレンジになります。
洋風なフラワーベースという印象ですが、「和」のイメージの強いツバキを活けてもしっくりと合います。欧米でも椿はとても人気のある花ですから、和でも洋でも、どちらのイメージでも活けることができます。
<使った花>
- 椿 5本
つやつやの葉もたっぷりと入れ、横に少し広げてボリュームを出しました。大きく咲いている花はベースの口元に。上の方に大きな目立つ花があると、頭が重くアンバランスに見えてしまうので気をつけます。
4.少量の花もかわいく見せてくれる手のひらサイズのフラワーベース
<ベース>
- 高さ6.5cm 直径8cm
- シマムラヒカリ
コロンと丸いベースです。上から見ると、花を挿すところが鹿のシルエットになっており、そのフォルムを花留めに使って活けることができます。小さなベースの小さなアレンジは、ティータイムのテーブルに飾って楽しんではいかがでしょう。邪魔にならず、近くで見ることができて、おしゃれな花器にいっそう会話が弾みそうです。お庭で摘んだ少しの花でもかわいく飾ることができますよ。
<使った花>
- 白黒パンジー 3本
- 白ビオラ 2本
- ネコヤナギ 2本
あまり高くせず、コロンとしたシルエットに合わせて花も丸く入れ、ネコヤナギの小枝をアクセントにしました。白黒の大輪のパンジーと器で白+白ですが、力強い印象になっています。
小さなベースですので、私は庭摘みの小さな花を活ける時に使うことが多いです。
春のアレンジは枝もので季節感を演出!
飾る場所に合わせて、ちょうどよいベースを選んでください。白いベースは花色を選ばず、どんなスタイルにも合わせることができて、やはり重宝だなと思います。サイズやタイプを変えて、いろいろ揃えると愉しいですね。
これから春本番に向けて、庭でも、ショップでも、たくさんの花を見るようになります。チューリップ、スイートピー、フリージア、アネモネなどに加えて、この季節に出ている桜、桃、コデマリ、雪柳などの枝ものを活けるのも楽しみです。
枝ものだけをスタイリッシュにダイナミックに飾るのも素敵ですし、また、可愛らしい花に少しだけプラスするだけでも雰囲気が変わります。
枝ものは季節限定のものが多いので、少量入れるだけでぐっと季節感がアップします。ぜひ、お部屋のあちこちで春のアレンジを楽しんでくださいね。
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Credit
アレンジ作成・写真・文/海野美規(Unno Miki)
パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp
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