日本人にとって「和風の庭」は、眺めたり、身を置いているだけでホッとできる空間なのではないでしょうか。白い砂を川や池に見立てたり、獅子威しがあったり…和の庭だからこその仕掛けはいろいろありますが、そんな素敵な空間をライトアップすると、夜もより情緒のある雰囲気を楽しむことができます。今回は、和の庭に合うライトアップの方法やコツをご紹介します。
目次
和の庭をライトアップするコツ
ライトアップによって和の庭の魅力をより引き立たせるには、特に光の強さや色み、影、高さを意識するとよいでしょう。
〈光の強さ〉
和の空間では、間接光で周囲をやさしく照らし、眩しさを感じる光源は見えないようにするとよいでしょう。照明の色は、やわらかく発光する乳白色がオススメです。
〈光の色み〉
和の雰囲気を高めるには、温かみを感じる色みの光を使うとよいでしょう。ただ、温かみを感じる赤系の光を強く当てると、暑苦しい印象になってしまいます。落ち着いた明るさの照明器具を使うのがオススメです。
選ぶ色だけでなく、眩しくなりすぎない程度に光を抑え、灯数も増やしすぎないように気をつけましょう。
〈光と影〉
影がはっきり映し出されるようなコントラストの強いライティングをすると、モダンな印象になります。和の趣を強調したい時には、あまり影がくっきりしないようにライトアップをしてあげるとよいでしょう。
上記の例とは異なり、より強調したい対象がある場合は、あえて周りに暗い空間を作ってライトアップをすることで、光で照らされた部分が際立ちます。
例えば、日本の庭園様式の一つ、“枯山水”の場合は、光を低い位置に置いて下から舐めるようにライトアップすることにより、凹凸が強調されて、より存在感が高まります。
〈光の高さ〉
光は低い位置にあると落ち着いた印象になります。和の空間では意識して低い位置でライトアップするようにしましょう。
水面を使ったミラーライティング
池のある庭では、ぜひ「ミラーライティング」を取り入れてみましょう。
ミラーライティングとは、水面近くの植栽や樹木をライトアップすることで、その陰影を鏡のように反射させるライティング方法です。
きれいに反射させるコツは、水面に揺らぎがなく、穏やかであることが条件です。
濃い色の葉を持つ松の木や紅葉など、和の空間でよく使われる植栽には色鮮やかなものが多くあります。ぜひ、ライトアップされた植栽を水面に映し出す演出で、夜ならではの楽しめる景色を作ってください。
和のエントランスのライトアップ
和の空間には明るさを抑えた照明器具を使うほうが合うのですが、エントランス周りのライトアップの場合、明るさが足りないと目的の場所にたどり着きにくいアプローチになってしまいます。
そんなときは、足元の明るさの確保はもちろん重要ですが、突き当たりの壁面や玄関部分が暗くならないように意識しましょう。それだけでもずいぶん歩きやすいアプローチになります。
アプローチのライトアップは、突き当たりの壁面より明るさを抑えたやわらかい光で、足元の明るさを確保してあげるとよいでしょう。また、アプローチには緩やかに陰影をつけ、一定のリズムでライトアップをしましょう。
前述した和の庭のライトアップを行う際のポイントをアプローチにも取り入れれば、ホッとする素敵な空間ができ、帰宅したときにきっと心が落ち着くことでしょう。
“揺らぐ光”は、人に癒やしや快適さを与えてくれますが、和の空間に取り入れることでさらにその効果が得られます。最近では、まるでろうそくの火が灯っているように光が揺らめく器具もありますので、そのようなアイテムをアプローチ脇などに置くと、わずかに揺れる光がより心地よい空間を演出してくれるはずです。
室内から楽しむライトアップされた和庭
ご自宅に中庭や坪庭があっても、夜は室内のほうが明るくなるため、室内が窓に映り込むミラー現象が起こりがちです。そんなときは、庭側を明るくするか、室内の明るさを抑えることで、映り込みを防ぎ、夜も庭の様子を楽しむことができます。部屋を広く見せる効果もあって一石二鳥ですよ。
坪庭など、小さな空間をライトアップする際は、シンボルツリーや造形など何か一つに光を集めると、より効果が発揮できます。室内の照明はやや暗めにして、家の中から屋外の和空間を観賞できたら素敵ですよね。
和の空間のライトアップは、いくつかのコツとテクニックを上手に取り入れることで、よりいっそう魅力的な空間に仕上げることができます。
大切なのは、光の強さ、色み、影、高さの4つです。これらを意識して、幻想的で心地よいライトアップ空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
DIGISPOT
「光の演出で人の心を彩る」ことを目指すタカショーデジテックがお届けするWebマガジン。外構で使われている『屋外照明』や、店舗の看板などに用いられている『LEDサイン』、街を華やかに彩る『イルミネーション』など、「光の今」がわかる情報を発信している。普段は聞くことができない商品に込められた開発者の想いやものづくりの裏側や光の上手な取り入れ方など、ここでしか知ることができない情報が盛りだくさん!
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