ちょっとぜいたく、ネロリのしあわせボディオイル【おうちでアロマテラピー】
さわやかな柑橘系の樹木に咲く真っ白な花。その可憐な花から採れるネロリの精油は、ローズと並んで女性に人気が高く、癒し効果が抜群です。ネロリを中心にブレンドした今回のボディオイルは、思わず「わぁ!」と歓喜の声を上げたくなるような、フェミニンで華やかな香り。パーティーシーズンの気分を盛り上げると同時に、年末の慌ただしい日々に寄り添って、心を癒してくれるオイルです。
目次
甘くてほろ苦い花の香り ネロリ
ネロリは、ミカン科の常緑樹、ビターオレンジ(Citrus aurantium、別名ダイダイ)の花から、水蒸気蒸留法で抽出された精油のことをいいます。真っ白で可憐な花はさわやかな印象ですが、その精油の香りは、華やかでありながら、甘さの中に苦みがあって、魅惑的。香水やオーデコロンにもよく使われています。
オレンジスイートやレモンなど、他の柑橘系の花から抽出された精油をネロリと呼ぶこともありますが、多くの場合はビターオレンジの花から抽出されたものを指し、それが最高級とされています。ネロリはローズに次ぐとても高価な精油で、10mlで17,000~25,000円ほど。栽培に時間がかかり、花1kgから1gの精油しか取れないといわれるので、高価なのももっともですね。精油の主な産地は、イタリア、チュニジア、フランス、モロッコです。
アンナ・マリア公妃の愛した香り
ネロリという名は、17世紀イタリアの、ネロラ公国の公妃アンナ・マリアに由来しています。アンナ・マリア妃は、当時のたしなみとして身に着けていた革の手袋の臭みを消すのに、村で採れたビターオレンジの精油を愛用していました。その香りのよい手袋は「ネロリの手袋」と呼ばれ、転じて、香り自体もネロリと呼ばれるようになったといわれます。
ビターオレンジの木は、花、果皮、葉のそれぞれから3種類の精油が採れます。花の精油はネロリ、果皮の精油はビターオレンジ、葉の精油はプチグレンと呼ばれ、それぞれ成分が異なります。比較的安価なプチグレンは、ネロリと香りが似ているので、他の精油とブレンドしてネロリの代用に使われることもあります。
心にも肌にも優しい香り
ネロリは、ストレスで疲れ切っている人を癒してくれる香りです。抗うつや抗不安の作用があり、傷ついた気持ちを上向きに導いてくれます。また、自律神経を調整し、鎮静作用もあるので、イライラからくる胃腸の不調や、不眠、月経前症候群など、ホルモンバランスの乱れを整えるのにも役立ちます。
古くからスキンケアに使われてきたネロリは、肌の再生を促す作用があり、敏感肌や乾燥肌など、あらゆる肌質に使え、また、アンチエイジングにも効果的です。精油の産地チュニジアでは、水蒸気蒸留の副産物であるフラワーウォーター(芳香蒸留水)がスキンケアのほか、伝統のお菓子作りや飲料にも使われ、家庭で親しまれています。
ネロリのしあわせボディオイル つくり方
【材料】
ホホバオイル(クリア・精製したもの) 50ml
精油:ネロリ5滴 + フランキンセンス3滴 + ゼラニウム2滴
【道具】
ビーカー、ガラス棒、遮光瓶(50ml用)
【つくり方】
ホホバオイルをビーカーに注ぎ、そこにそれぞれの精油を足していきます。精油によって粘り気が異なるので、1滴ずつ落とすようにしましょう。
精油を入れたら、ガラス棒でくるくるとよく混ぜます。混ざったら、遮光瓶に移して完成です。
瓶のフタをオイル用のポンプにつけ替えると使い勝手がよくなります。内容とつくった日付を書いたラベルを貼り、日の当たらない場所に保管して3カ月くらいで使い切りましょう。
ネロリは高価な精油なので、初めての方は1~3mlの少量で購入するとよいでしょう。
*ボディ用のブレンドなので、顔につけるのは避けてください。
この香りのブレンドは、最初の印象はフェミニンで華やかですが、すぐに柔らかな温かみも感じられます。パーティーで新たな出会いを待つ素敵女子がつけるのに、ぴったりの香りと言えるでしょう。また、ネロリとフランキンセンスは、肌によい精油のベストコンビ。このボディオイルで、夜にゆっくり肌のお手入れを楽しむのもよいでしょう。ふわりと広がる香りとともに、肌もしっとり、明るくなります。
それから、ネロリは心の疲れを癒して気持ちを上向きにしてくれる香り。年末の忙しい日々を乗り切るのにも役立つことでしょう。
クリスマスプレゼントにも。ネロリのしあわせ芳香浴
ネロリの香りをより楽しみたいという方のために、クリスマスプレゼントとして芳香浴レシピもご紹介しましょう。
芳香浴レシピ:ネロリ2滴+オレンジスイート3滴+フランキンセンス1滴
こちらのブレンドは、ほっこりとリラックスできる、アットホームな柑橘系の香りです。美味しそうなオレンジスイートの香りの後に、複雑なネロリの香りが顔を出します。みんなが集まる午後に、夜のリラックスタイムに、ちょっとぜいたくなネロリの香りを存分にお楽しみください。
*6~8畳のディフューザー用のレシピです。
*精油はアロマテラピー専門店での購入が安心です。下記に取り扱い時の注意をまとめましたので、ぜひご一読ください。
〈精油を使用する際の注意〉
・ 原液を皮膚につけない。ついたらすぐ石鹸で洗い流す。
・飲用しない。目に入れない。
・火気に注意する。
・医師による治療や投薬を受けている場合は、必ず当該医療機関に相談する。
・3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は行わない。また3歳以上であっても使用量を半分以下にし、十分注意を払う。
・高齢者、既往症のある方は半分以下の量を目安に。妊娠中は体調を考慮し、芳香浴以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分注意する。
〈精油の保管・保存について〉
・直射日光と湿気を避け、火気のない冷暗所に保管する。
・子どもやペットの手の届かないところへ保管し、誤飲に注意する。
・開封後1年以内を保存期間とし、柑橘系の精油は半年以下を目安にする。
・香りに異変を感じたら使わない。
〈精油の品質について〉
・次の内容を箱やラベル、使用説明書で確認できるものを選ぶ。ブランド名、品名、学名、抽出部分(位)、抽出方法、生産国(地)または原産国(地)、内容量、発売元または輸入元。
併せて読みたい
・おうちでアロマテラピー 秋の夜をしっとり過ごす フランキンセンス&ラベンダーの芳香浴
・家庭で蒸留が楽しめる「リカロマ」でアロマディフューザーを手作りしよう!
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Credit
アドバイス/髙畠美穂
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター。特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター。香りとクラシック音楽が大好き。
文/萩尾昌美
〈参考文献〉
和田文緒(2008)『アロマテラピーの教科書』新星出版社
フレディ・ゴズラン、グザビエ・フェルナンデス、前田久仁子 訳(2013)『調香師が語る香料植物の図鑑』原書房
木田順子(2014)『あたらしいアロマテラピー事典 』高橋書店
バーグ文子(2016)『アロマテラピー精油事典』成美堂出版
公益者社団法人 日本アロマ環境協会(2017)『AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター アロマセラピスト公式テキスト 共通カリキュラム編』
Photo/1)Valeriya Zankovych / 2) Valeriya Zankovych / 3) patrickdifeliciantonio /4) Marco Adriani / 5) Anna Ok / 6) Shebeko 7) Oksana Shufrych / Shutterstock.com
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