糖質大幅カットでヘルシーなXmasケーキを手作り! レクチンフリー&ダイエット中も安心のガトーショコラ
ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんがお届けする連載「ACID NATURE 乙庭 Style」。今回はクリスマス直前特別企画! 植物原料のみで作る「グルテン・レクチンフリー&糖質大幅カット」で健康や美容にも嬉しいスイーツをお届けします。自身の実体験を交えたエピソードと、料理研究家・小磯ふきこさんと共同開発したオリジナルレシピ、ぜひお試しください。
目次
罪悪感がないどころか、むしろ美容健康に嬉しいケーキ!
クリスマスから年末年始、パーティーやご馳走を食べる機会も多くなりますよね。毎年この時期になると、「なんとなく太ってしまうなぁ」という方も多いのではないでしょうか。
罪悪感なくハレの日のご馳走をいただきつつ、さらに体型維持と健康増進はできないものだろうか? というのが、ここ数年、私の大きな関心事項でした。
そこで今回は、友人であり料理研究家の小磯ふきこさんにご協力いただいて共同開発した“小麦粉や白砂糖を使わない”レクチンフリーで糖質を大幅にカットした、ヘルシーで美味しいオリジナルケーキのレシピをご紹介します。
「レクチンフリー」とは、耳慣れない方も多いかもしれませんね。でも「グルテンフリー」ならご存じの方や、すでに実践されている方も多いでしょう。レクチンは多くの植物に含まれるタンパク群で、植物が動物の食害から身を守るために進化の過程で身につけた狡猾な毒のようなもの。小麦粉に含まれるグルテンも数あるレクチンの一つです。
レクチンフリーの食ライフとは
実は健康によいと思っている野菜や植物の中にも、レクチンを多く含むものがあり、レクチンが腸粘膜を突破して吸収され、肥満や肌の老化、アレルギーや糖尿病や血管障害など、身体へのさまざまな悪影響や不調を引き起こすといわれています。そのことから、小麦粉のグルテンだけでなく、レクチンを多く含む食材も控えていく“レクチンフリーの食ライフスタイル”が最近、注目されています。
これまでの小麦粉や砂糖を使って育まれてきたスイーツ文化から考えると、レクチンフリーのスイーツは、使用できる材料の面からもとても難しい課題でしたが、今回、試行錯誤を重ねたことで、美味しいレシピができ上がりました。
濃厚なガトーショコラベースのケーキに、ココナッツクリームとイチジクの赤ワイン煮を合わせた、全く“制限食”を感じない美味しさのケーキ。罪悪感どころか、むしろ健康によい要素を多く取り入れた“新感覚パラドックススイーツ”です。年末年始をヘルシーで美味しく過ごすソリューションにぜひ。
4カ月で14kg減量した経験から考案
「太らず健康増進できる」食生活のためのスイーツ
かくいう私も年末年始は、お酒や砂糖たっぷりの食事が多くなるため、毎年少しずつ太ってしまうのが悩みの種でした。その結果、10年くらいの間に、身長171cm 62kgだった体型が、2016年秋には76kgまで太ってしまいました。普通に「肥満」ですね。
そこで一念発起。それまでの食生活を見直し、「食べるもの」と「食べ方」を変えることで、2016年7~10月の4カ月で14kgの減量に成功。元の体重に戻して、現在でも無理なく同じ食生活を続けて体型を維持しています。
さまざまなダイエット法が流行っては廃れ、一時的に減量に成功しても、またリバウンドしてしまうのは、ひとえに「ダイエットに成功するとそのダイエット法をやめてしまう」からなんですよね。
また、美容のための痩身という意味だけでなく、肥満や血糖値の急上昇がもたらす、糖尿病や心臓病・うつ病などの疾病予防、健康長寿を手に入れる観点からも、その原因となるレクチン・グルテンや、糖質を摂らない食事法が注目されています。
メタな視点で見ると、もはやダイエットや美容や健康長寿に垣根はなく、それらは全て「何を、どう食べるか」というライフスタイルに還元できるのです。
ただ、精製された小麦粉や白砂糖を使わない、マクロビオティックやビーガンスイーツのレシピでさえも、全粒小麦粉やてんさい糖やメープルシロップなどのグルテン・糖質を使うものは数多く、私の知る限りではスイーツの分野でレクチンフリー&糖質オフで、しかも美味しいレシピはなかなか見つけられませんでした。
リバウンドや健康への不安や罪悪感を抱きながらスイーツを食べる、あるいはガマンしてスイーツを食べない人生よりも、美味しく健康にスイーツを食べられる人生のほうが幸福ですよね。「ないならば自ら作ってしまおう」と思い、料理家の小磯ふきこさんに依頼して、今回のレクチンフリー&糖質オフのケーキレシピを共同開発しました。
【レシピ】
グルテンフリーガトーショコラ、イチジクのワイン煮とココナッツホイップクリーム添え
では、レシピのご紹介です。ちょっと馴染みのない調味料や食材があるかもしれませんが、ネット通販などで揃えられ、このケーキだけでなく、日常で他の料理にも使える素材を選びました。各食材の利点などについては、次項でご説明します。
レクチンフリーガトーショコラ(パウンド型20cm 1台分)
【材料】
- A
アーモンドパウダー 110g
ホワイトソルガム粉 40g
ココアパウダー 30g
ラカントS顆粒 80g
ベーキングパウダー(アルミ不使用) 10g - B
ココナッツミルク(低脂肪でないもの) 250ml
エクストラバージンココナッツオイル 25ml
ラム酒 12ml
【作り方】
まず、準備することは3つ。
*170℃にオーブンを温めておきます。
*パウンド型の内側にクッキングシートを敷いておきます。
*ココナッツオイルが固まっていたら(融点24℃)、湯せんにかけて溶かします。
- Aの材料を計量し、ボウルに入れます。
- 別のボールにBを入れ、よく混ぜておきます。
- 1に2を加え、ホイッパー(泡だて器)でよく混ぜ合わせます。
- 型に流し込み、170℃で30~35分焼きます。竹串を生地にまっすぐ刺し、ゆっくり引き上げて生地がつかないようならOK!
- 型のまま冷まし、冷めたら型を外します。
イチジクの赤ワイン煮
【材料】
イチジク(ドライイチジクでも可) 7個
ラカントS顆粒 35g
赤ワイン 150ml
バニラビーンズ 1/2本
シナモンパウダー 少々(お好みで)
【作り方】
- イチジクを鍋に敷き並べます。
- 赤ワイン、ラカントS顆粒、バニラビーンズを加えて弱火にかけます。フツフツ沸騰してきたら、クッキングペーパーなどで軽く蓋をします。
- 時々向きを変えながら15分ほど煮ます。
- 火を止め、そのまま冷まして味を染み込ませます。
- 盛り付け後、お好みでシナモンパウダーをふりかけると大人な味わいになります。
*冷蔵庫で一晩置くと、味がよく染み込みます。
*写真では生のイチジク(9~10月が旬)を使用していますが、クリスマスシーズンは生のものが手に入りにくいので、ドライイチジクでも代用できます。
*バニラビーンズ、シナモンパウダーは、手に入らなければ省略してもOKです。
ココナッツホイップクリーム
【材料】
ココナッツミルク(上澄み300mlを使用) 400ml入り1缶
エクストラバージンココナッツオイル 15ml
ラカントS顆粒 18g
バニラビーンズ 少々(お好みで)
【作り方】
- ココナッツミルクの缶詰を冷蔵庫で冷やすと、濃厚な上澄みが固形化します。その上澄み300mlと、その他の材料をすべてボウルに入れます。
- ボウルを氷水で冷やしながら、ホイッパー(泡だて器)で角が立つくらいの固さになるまで攪拌します。
*ココナッツミルクはフルファット(=低脂肪加工ではないもの)で、安定剤グァーガム不使用のものを使います。
*ココナッツミルク特有の香りが苦手な方は、バニラビーンズをお好みで適宜加えてください。
*上澄みを使った残りのココナッツミルクも、原液よりあっさりしていて飲用やエスニック料理に使えます。
グルテンフリーガトーショコラ、イチジクのワイン煮とココナッツホイップクリーム添え
ガトーショコラ、イチジクの赤ワイン煮、ココナッツホイップクリームが揃ったら、盛り付けます。ガトーショコラを2~3枚にスライスし、ココナッツホイップクリームをはさみ、ホイップクリームとイチジクの赤ワイン煮をトッピングして完成です。
お好みでブルーベリーやラズベリーなどのベリー類、クルミやヘーゼルナッツといったナッツ類も合わせてトッピングしたり、イチジクの煮汁をソースとして添えても、華やいだデコレーションになります。
ちなみに、ガトーショコラだけでも甘さ控えめで大人な雰囲気の濃厚スイーツになります。ウイスキーやウォッカ、ラム酒や焼酎などの蒸留酒も糖質はほぼ0なので、たまのお酒のお供に生チョコ感覚でいかがでしょうか。お酒とスイーツという悪魔的マリアージュを低糖質で楽しめます。
健康によいことを追求したレシピとはいえ、過ぎたるは及ばざるがごとし。食べ過ぎ・飲み過ぎると栄養過多で肥満の原因となってしまいますので、ご注意あれ。
今回使用した素材について
前項のレシピで、あまり使ったことのない素材や、本当に体にいいの? と疑問を感じる素材もあったかと思います。それらを選んだ理由や効用について説明します。
健康やダイエットにも有効な
アーモンドパウダー
アーモンドは高カロリーで脂肪分が多く、太るイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、近年では栄養価の高さから、健康やダイエットにも有効と注目されています。レクチンフリーの観点からも安全な食品とされており、現代人に不足しがちな鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラル類、アンチエイジングや美肌にも効果的なビタミンEをナッツ類の中でも特に多く含みます。食物繊維も豊富で便秘解消や食後血糖値の上昇抑制にも効果的です。
製菓・料理材料として注目の
ホワイトソルガム粉
熱帯アフリカ原産で、古代エジプトや紀元前のアジアでも栽培されていた、日本ではタカキビとも呼ばれているイネ科の植物、ソルガム・ビコロール(Sorghum Bicolor)の穀物粉です。
レクチンフリーで独特の風味もなく、小麦粉と同じように使えることから、製菓・料理材料として注目されています。小麦粉、米粉よりも食物繊維、鉄、マグネシウムを多く含みます。
抗酸化力に期待
ココアパウダー
カカオ豆を原料とするココアパウダーには赤ワインの4倍以上のポリフェノールが含まれます。ポリフェノールの強い抗酸化力による、活性酸素が引き起こす肌や血管の老化防止効果が期待されています。また難消化性のカカオプロテインには便通や腸内環境の改善効果も期待されています。
カロリーゼロの甘味料
ラカントS顆粒
中国南部を原産とするラカンカ(羅漢果/学名 Siraitia grosvenorii)エキスと、植物由来のブドウ糖を発酵させることにより作られる天然の糖アルコールで希少糖の一つ、エリスリトールを原料とした、カロリーゼロの甘味料です。
ラカンカの甘味成分は水溶性の食物繊維で、腸で吸収されずに排出されてしまうため、カロリーはほぼ0。エリスリトールも体内では代謝されず尿として排出されるため、厚生労働省のエネルギー評価法でもカロリーゼロと認められている唯一の糖質です。
ラカンカの黒砂糖のような風味とエリスリトールのひんやりとした清涼感を併せ持ち、甘さの度合いは砂糖と同じに調整されているため、砂糖と同じ分量で素材の置き換えができ、使いやすいのが特徴。白砂糖のような直球の甘さではなく、黒糖のような風味が料理に複雑なニュアンスを加えてくれるので、スイーツだけでなく煮物など砂糖を多く入れて使いがちな普段のおかずにも幅広く利用できます。
美容・健康増進効果に期待
イチジク
本レシピでイチジクの果糖を気にされた方もいるかもしれませんね。イチジクは、食後血糖値上昇速度の指標GI値が36と、果物の中でも低く(GI値60以下がダイエットに適)、血糖値の急上昇を抑える水溶性食物繊維ペクチンや、腸内の善玉菌の増殖を促すFOS(フラクトオリゴ糖)にも富み、美容・健康増進効果が期待できます。
またジュースのように果物の果糖を抽出して摂取すると血糖値は急激に上がりますが、果物を丸ごと摂取すれば血糖値はそれほど上がらないという研究成果も発表されています。本レシピでは、丸ごとのイチジクをカロリーゼロでレクチンフリーの観点からも安心な植物由来甘味料で調理しているので、砂糖で煮る従来の調理法よりも格段に糖質の影響を抑えています。
中鎖脂肪酸が豊富な
ココナッツオイル&ココナッツミルク
ココナッツオイルに豊富に含まれる中鎖脂肪酸は、体内でブドウ糖が不足したときに効率よく脳および体のエネルギー源となる、ケトン体という物質が肝臓で産生される際の原料として使われます。ケトン体の産生にあたり、蓄積された体脂肪が分解され使用されるため、ココナッツオイルの摂取と糖質オフを併せて食習慣に組み込むことで、肥満解消や血糖値の改善などの健康効果が得られると注目されています。
またココナッツオイルは、加熱によっても酸化しにくく、ケーキなどの加熱調理にも有用です。ココナッツオイルの原料となるココナッツミルクも、同様に脂肪分として中鎖脂肪酸を含み、レクチンフリーの観点からも安心して食べられる素材です。ココナッツミルクには、ビタミンEの中でも抗酸化作用の強いトコトリエノールという成分が含まれ、活性酸素の発生を抑え、美肌やアンチエイジングへの効果が期待できます。
健康増進に役立つ参考文献
レクチンフリー、グルテンフリーや糖質オフ、身体によい油や悪い油、太らない体質への改善やアンチエイジング、健康増進に役立つ食生活などに関する知見を得られる参考文献を掲載します。
『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』スティーブン・R・ ガンドリー(著)
『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』津川友介(著)
『いつものパンがあなたを殺す』デイビッド・パールマター、クリスティン・ロバーグ(著)
『腸の力であなたは変わる』デイビッド・パールマター、クリスティン・ロバーグ(著)
『体が生まれ変わるケトン体食事法』白澤卓二(著)
『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』溝口徹(著)
『最強の栄養療法 オーソモレキュラー入門』溝口徹(著)
『食べ物を変えれば脳が変わる』生田哲(著)
『ジョコビッチの生まれ変わる食事』ノバク・ジョコビッチ(著)
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイブ・アスプリー(著)
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ(著)
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』 Yu Suzuki(著)
「今日からの食べ物を変えると 、未来の自分を変えることができる」
(溝口徹 医師 1964 – )
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Credit
レシピ開発協力/小磯 ふきこ
フードコーディネーター。食育指導士。パン職人、パティシエを経て独立。店舗の立ち上げやレシピ開発を手掛けるうちに素材の大切さを実感し、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターを取得。ジュース・スープ・メインからデザートまでできる「手もみレシピ」を通して「手作りの大切さ!楽しさ!おいしさ!」を一人でも多くの方に知っていただきたい!と料理教室・食育イベントの企画・主催を行っている。著書『野菜ソムリエ ビニール袋1枚でできる!手もみジュース』(幻冬社)、『ポリ袋でかんたん!スムージーダイエット』(GAKKEN HIT MOOK)等。
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