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ペットのいる庭ではご注意を! 誤食に気をつけたい植物の参考書

ペットのいる庭ではご注意を! 誤食に気をつけたい植物の参考書

秋はガーデニングのシーズン真っ盛り。来年の春のために球根や宿根草など、多くの植物の植え時です。でも、ペットのいる庭では作業中の取り扱いや植え場所など、気をつけたい植物があります。というのも、園芸植物の中には毒のある植物があるからです。安全に、より豊かなガーデニングライフを楽しむために、正しい知識を身につけましょう。

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愛犬あんとのガーデニングで気をつけていること

ガーデンに植える球根

球根を植える季節がやってきました。今年は10月に入っても季節外れの高温の日があったりして、いつ球根を植えたらよいものかと迷ってしまいました。まぁ、そんなことを言い訳にして、12月頃慌てて植えた~なんていう年もあるのですが、球根を植える作業は、秋の楽しみの一つとなっています。

我が家には、あんという名前の4歳の柴犬がいます。庭仕事をする時はいつもそばにいます。あんと一緒に庭仕事をすると、愉しさが倍増します。私が穴を掘っていると近づいてきて、真剣な顔でじっと見つめて、土からミミズが出てきた瞬間驚いて飛び上がったり、そのミミズをこわごわ追いかけて、鼻にいっぱい土をつけて何事もなかったかのようにすました顔をしていたり、足を土だらけにしたり。彼女の行動を見ていると、私の作業はなかなかはかどりませんが、あんと庭にいるのは、私にとって至福の時です。

ペットとガーデニング

この季節は、蚊も少なくなってきて、気温もちょうどよく、犬も気持ちがよいのでしょう。自分も作業の手伝いをしているかのように、忙しそうにしています。女の子ということもあり、おとなしく、年齢からももうあまり困ったいたずらはしないので安心してはいるのですが、球根の植え付け作業の時はいつもより注意するようにしています。そう、球根には有毒なものがあるのです。

ガーデニングの最中に球根をかじったり、食べてしまったりなんてことがあると、命に関わる一大事になることがあります。犬が庭で楽しくて大はしゃぎしている中で、いつもは用心深くても、興奮して我を忘れて、目の前に転がっていたスイセンの球根を思わず「がぶり」なんてことがないとも限りません。

球根は犬の届かないところに置いて、素早く土をかぶせて埋めるようにしたほうが安全ですね。

誤食に注意したい植物

スイセンの花
葉っぱがニラに似ているため、人の誤食が多いスイセン。Photo/toriru/Shutterstock.com

特に、危険なものとしては、スイセン、スズラン。これらは、人もニラやニンニクなどと間違って食べてしまうという事故を起こしやすく、死亡例もあります。

その他、食中毒を起こすもの、皮膚炎を起こすものとして、チューリップ、アネモネ、ヒヤシンス、スノードロップなど。庭に植える球根植物の、定番中の定番ですね。症状としては、吐き気、嘔吐、重症になると心拍数、血圧の低下などを引き起こすそうです。

球根の植え付け
球根は植えるまでは袋に入れて、ペットの届かないところへ。Photo/Victoria Kondysenko/Shutterstock.com

『人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑』

園芸有毒植物図鑑

そして、有毒な園芸植物は、球根類だけではないのです。私がいつも参考にしている本があるのでご紹介します。

『人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑』 土橋 豊/著 淡交社刊

野生植物の有毒に関する書籍や情報は手に入りやすいのですが、意外と園芸植物の有毒性については知られていないようです。「えっー! これもそうなの」という植物がたくさん掲載されており、具体的にどのような成分の毒で、中毒症状の例や実際の事故例なども紹介されているので、どのように気をつけたらよいのか、とても参考になります。

身近なものにも毒があるからこそ正しい知識を

ジャガイモ
学校菜園での中毒事故が多いジャガイモ。Photo/sihyun cho/Shutterstock.com

「毒がある」と聞くと、怖いような気がしますが、むやみやたらと怖がってすべて排除するのは現実的ではありません。というのも、毒のある植物は身近に使っている野菜のなかにもあるからです。実際、厚生労働省が発表している過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況で、最も患者数が多いのはなんと「ジャガイモ」。カレーや肉じゃがなど食卓に欠かせない食材で、家庭菜園でも栽培されることの多い野菜ですが、光に当たって皮が薄い黄緑 から緑色になったイモの表面部分、また、芽が出てきた箇所のつけ根には、ソラニンなどのステロイドアルカロイド配糖体という有毒成分が含まれ、吐き気や腹痛を引き起こします。驚くことに、発生事例の90%が学校。理科の実習として校内での栽培中や保管中に光を当てたことや、肥料などが不十分で十分に成熟しなかったことなどが原因となっています。食用植物でも知識がないことで事故を引き起こすのですから、いかに正しい知識を持って適切な扱いをすることが大切か分かります。

球根の植え付け

さて、我が家の庭に植えたいろいろな球根、どれもきれいに咲いてくれますように~と願いつつ、あんと一緒に来春のシーズンを楽しみに待つことにします。

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Credit

写真&文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp

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