植物を育てる人のごくごく個人的なガーデンストーリー。今回は、山林を自ら造成し、裏の森へとけこむような土地で花と緑に囲まれて暮らす北海道の山崎亮子さんの秋のストーリー。鉢植えのホオズキが朱色に色づいた秋。ちょうどやって来る“ハロウィン”イベントにホオズキをかわいく生かす、クラフトアイデアをご紹介します。
お盆前の秋の風物詩「ほおずき市」を訪ねて

2018年の夏は念願の訪問先、浅草の「ほおずき市」に行ってきました。何が念願だったかというと、ほおずき市が開催される7月9・10日は、“四万六千日”。“しまんろくせんにち”と呼ばれるご利益があるお参り日で、一生分の徳をつめる日なんですって。
昼間の活気ある市の様子に元気をもらい、少し涼やかな風が吹く夜のライトアップの時刻も、耳に心地よい風鈴の音に癒されて、いい時間を過ごしました。そんな東京の旅のお土産に竹カゴに植わるホオズキを、北海道の自宅まで大切に持ち帰りました。夏の間、家の軒下にハンギングしていましたが、これって、日本の元祖ハンギングバスケット! 和のカゴでハンギングって素敵だなぁと、眺めるたびに、あの夏の日を思い出しました。

そして、お盆が終わると北海道はすっかり秋の風。枝もののホオズキは飾ったまま、すっかりドライになりました。軒下で育てていたハンギングのホオズキも、いい色に染まりました。そろそろ収穫して、ホオズキクラフトに使うのにもいいタイミングのようです。
ホオズキのランタンづくり

まずは仕上がりをご紹介しましょう。秋の窓辺のかわいいお守りに、いかがですか?
なんともユーモラスな表情ですが、一応オバケなので「鬼灯」と漢字で書いた方がピンときそう。手のひらサイズの「鬼灯ランタン」は、去年、思いつきでつくり始めたもので、ホオズキ独特の明るいオレンジ色といい、日の光に透けてランタンのように輝く様子といい、ハロウィンムード満点! すっかり私のお気に入りです。
一つとして同じ形ではないホオズキのアンバランスさや、葉脈が透けるナチュラルな雰囲気に癒されます。
この機会に“ジャック・オー・ランタン”と呼ばれるカボチャをくり抜いた飾りの起源を調べたら…もともとはカブのランタンだったのに、開拓期のアメリカで手に入りやすいカボチャでつくるようになったのだとか。ならば手に入りやすく、軽くて扱いやすいホオズキでつくるのも正解ね♪ と嬉しくなりました。
「鬼灯ランタン」のつくり方は、とても簡単!

1.汚れてもよいように作業スペースを確保しましょう。
2.工作用ハサミでホオズキの袋の先端を切り開いて、中の実を取り出します。

3.口をイメージしてハサミで切り抜き、油性ペンで表面に目鼻を描きます。口の切り込みを入れる時はホオズキを2つ折りにすると、きれいに切り抜けます。マーカーで目鼻を描く時は、袋の中に指を入れて裏側で支えると描きやすいです。
4.開いた底面を両面テープで貼り合わせてでき上がりです。貼り合わせる時、グルーガンを使うと、より細やかに仕上がりますが、その場合、熱でホオズキが若干退色します。火傷の心配もあるので、子どもと一緒に工作を楽しむなら、両面テープがオススメです。

5.灯りを取り入れる場合は、開いたホオズキを貼り合わせず、切り込みを内側に巻き込むようにキャンドルを入れます。揺らぐような灯に魅せられて、どうしても使ってみたかった100円ショップのLEDキャンドルは、ホオズキのサイズ感にぴったり!

いくつかつくっているうちに作業も馴れて、思わずたくさんつくって勢揃い♪ ホオズキの形によって、表情に変化が出るのも面白いところ。

細いワイヤーにLEDライトがついたタイプも、ランタン飾りの演出に活躍してくれますよ。

庭で咲いた紫陽花やグラス類のドライも添えて、ナチュラルな雰囲気満点のホオズキ飾りのコーナーができました。
これから冬に向けて、伝染病が流行ったり、季節の変わり目で体調を崩しやすいシーズンですね。昔の人々は悪霊の仕業だとして、自分も悪霊に仮装したり家を飾ることで悪霊に仲間だと思わせ、遠ざける意味合いもあったそうです。ジャック・オー・ランタンにも物語があって、ハロウィン飾りも諸説あるものの、幸せを願い、人生を楽しもうとする心は、普遍だと思います。
私も自然と共に楽しみを見出して、日々に夢を描きたいと思います。
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