咲かせて、眺めて、飾って嬉しい、小さな庭がある花暮らしを楽しむ前田満見さん。神奈川の住宅街にある自宅の30坪の庭でいくつか育てている果樹の一つ、一才ヤマブドウの楽しみをご紹介します。
目次
小さな庭に実る季節の果実

小さな庭には、いくつかの果樹を植えています。春はユスラウメ、初夏はジューンベリーとサクランボ、そして、秋は一才ヤマブドウ。年に一度しか味わえない果実の収穫は、季節の何よりの楽しみです。
夏から秋へ、色づく一才ヤマブドウ

春にフワフワの花房をつける一才ヤマブドウは、夏の太陽を浴びてふっくらと実を結びます。その翡翠色の実の涼やかさは、思わず朝夕の水やりの手をとめて見惚れるほど。ひととき、暑さで火照った心身を癒してくれます。

また、夏花の代わりにひと房の実と葉をさらりと器にあしらうだけで、室内に涼やかな空気が漂い気分もリフレッシュ。収穫前のこんな楽しみ方も自家栽培のブドウだからこそですね。

8月下旬になると、翡翠色の実にポツポツと「飛び玉」が出始めます。「飛び玉」とは、ひと房に1粒か2粒ほど着色することで、順調に生育している嬉しいお知らせなのだそう。このことを知ってから、「飛び玉」が出ると安心して収穫を待てるようになりました。それにしても、整った丸い翡翠色と濃紫色の実のコントラストの何と美しいこと。その様子は、日に日に変化して目を楽しませてくれます。まさに、この時季にしか見ることのできない庭の宝石です。
収穫の楽しみ

待ちに待った収穫は、9月半ばから10月。袋掛けしないので見栄えはあまりよくありませんが、小粒ながら重みも甘酸っぱい香りも上々。濃紫色に熟したヤマブドウを庭でカゴいっぱいに収穫できるなんて、それだけで幸せな気分になります。

収穫したブドウは、さっと水洗いしたら、まずはお気に入りの器に葉っぱを添えてテーブルに飾ります。不揃いの実と虫食いの葉の野趣溢れる風情が、かえってナチュラルな秋のインテリアに。実りの季節を封じ込めたひと粒ひと粒が愛おしく、食するのがもったいないほどです。

しばらく目で楽しんだ後は、適量のミネラルウォーターと実をブレンダーに入れてフレッシュジュースに。仕上げに皮と種をこしていただきます。甘酸っぱさの中にほんのり皮の苦みが残る滋味深い味。

一杯飲み干すと、身体の細胞が喜んでいるような気がします。それもそのはず、ヤマブドウは、普通のブドウの約8倍のポリフェノールと3倍の鉄分、4倍のビタミンCを含む抗酸化物質に優れた果物。まさに、わたしたち女性に嬉しいスーパーフルーツです。

こんなありがたいヤマブドウを、できるだけ長く楽しむために、冷凍保存ができるシロップもつくります。
つくり方は、
1)鍋にヤマブドウの実を入れ、弱火で10分ほど煮ます。
2)皮が剥がれて実が白っぽく見えてきたら、こし器で潰すようにタネと皮を取り除きます。
3)鍋に戻し、同量の水と総重量の30〜40%(お好み)のグラニュ−糖を加え、弱火で煮詰めます(途中レモン汁をひと絞り)。煮詰めすぎると冷めた時に固くなるので、少しゆるめに仕上げるとよいようです。

以前、ジャムにしたこともありますが、意外と皮が固くタネも多いヤマブドウは、シロップのほうが食べやすいかと。お気に入りは、炭酸水で割ったヤマブドウジュース。鮮やかな葡萄色がとてもきれいで、先のフレッシュジュースより甘くて美味しくいただけます。そして、季節の果物とシロップを添えたヨーグルトも大好きです。毎朝、欠かさずヨーグルトを食べていますが、この時季はとびきり贅沢に。
庭の秋の恵みに感謝しながらいただきます。
Credit
写真&文 / 前田満見

まえだ・まみ/高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。
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