毎日の料理に使う野菜や果物ですが、その断面をじっくり見たことはありますか? 切る向きを変えるだけでも、いつもの野菜が新しい顔を見せてくれます。夏休みの工作や自由研究に、キッチンにある身近な野菜をはんこにして、ペタペタスタンプに挑戦!
目次
野菜や果物を使って工作や自由研究を
毎日の食卓に登場する野菜や果物ですが、その切り口を改めてよく見ると、ユニークな形や色が千差万別でとてもきれい。切る場所や向きを変えれば、また違う表情を見せてくれます。この自然のつくった造形を生かして、工作をしてみましょう。また、切り口をじっくり観察すれば、自由研究の素材にもなります。野菜や果物をいくつか用意して、いろいろに切ってみましょう。子どもが包丁を使う際は、けがをしないよう、一緒に作業するか、代わりに切ってあげてもいいですね。
キッチンで工作!
野菜スタンプを押してみよう
野菜スタンプは、野菜を切るだけで簡単に楽しめるシンプルなスタンプ。素材となる野菜と、スタンプ台や絵の具を溶かしたものを用意すれば準備はOK。あとは切り口にインクや絵の具をつけて、ポンポンと自由に押してみましょう。等間隔でもいいですし、ランダムに押すのも素敵。スタンプが重なれば、また違ったリズムも生まれます。
たとえば、ピーマンをスタンプにすると、まるでビオラやパンジーの花のような形に。チンゲンサイやコマツナ、カブなどの葉の付け根部分を使えば、バラのようなスタンプを押すことができますよ。オクラやタマネギ、レンコン、ラディッシュ、ゴーヤなどの野菜のほか、オレンジやスターフルーツなどの果物もいいですね。加工しやすいジャガイモやサツマイモなどは、型抜きしたり彫ったりして、芋判をつくることもできます。いろいろな野菜を組み合わせれば、世界に一つだけのカラフルでオリジナルな模様に。市販のスタンプのようにきれいに押せないときもありますが、かすれるのもいい味になりますよ。
野菜スタンプを組み合わせてアートが完成
野菜の切り口だけでなく、葉っぱなどもスタンプにすることができます。また、レンコンスタンプの穴をカラフルに塗ったり、ピーマンスタンプに茎葉を描き足して花に見立てたりと、スタンプを押したあとにもうひと手間かけても面白い作品ができ上がります。
野菜スタンプは、紙に押すだけでありません。水で落ちない布用インクを使えば、オリジナルのバッグやTシャツを手づくりすることもできます。アートボードに押せばアート作品のでき上がり。夏休みの工作にもオススメです。
キッチンで自由研究!
野菜の切り口を観察してみよう
左から、アボカド、ニンジン、ビーツ、キュウリ、パプリカ。どれもユニークな断面で、色彩もカラフルできれい。切り口を観察してみると、アボカド、キュウリ、パプリカには、大きさや形はさまざまですが、どれもタネが見えます。一方、ニンジン、ビーツにはタネがありませんね。前者は果実の部分を食用とし、後者は根を食用としていることが切り口からも分かります。
野菜の切り口から見えてくる構造
野菜の切り口を観察すると、たくさんの疑問や発見に出合います。例えばトマトの中には、ゼリー状のもので覆われたタネが入っています。このゼリー状の部分は胎座増生部(たいざぞうせいぶ)という組織。一見、水分がたっぷりで発芽によさそうな環境に思えますが、この部分には発芽抑制物質が含まれているため、果実の中で発芽してしまうことはないのだそうです。
キャベツとタマネギを切ってみると、どちらも何層にも重なる結球構造になっており、切り口の印象が似ています。しかし、キャベツやレタス、ハクサイなどは葉っぱが巻いて結球するのに対し、タマネギやニンニク、チューリップなどは養分を蓄えて厚くなった葉が重なった鱗茎です。キャベツやレタスなどが結球するのは、成長を促すオーキシンという植物ホルモンの働きによるもの。初めはほかの野菜と同じように葉が広がりますが、周囲の葉の生育が進んで頂部に光が当たりにくくなると結球を始めます。オーキシンが盛んに生成されて、生成されたオーキシンが葉に移動し、葉に日光が当たると、オーキシンが葉裏に移動します。そして裏側の生育が表側よりも進んだ結果、葉が巻いてくるのだそう。一方、鱗茎をつくる植物は、基本的に夏の乾燥が厳しい地域を原産としています。結球するのは乾季が来る前に葉の基部を太らせて水分や養分を蓄えて球をつくり、それを乾いた保護葉で覆って水分が逃げないようにするためのシステムなのです。
切ってみると、特徴的な鮮やかな断面が見えるイチジク。イチジクは漢字では無花果と書く通り、育ててみても花らしい花は咲きません。では、どうして実がなるのでしょうか? 実は、私たちが食べているこの果実状の部分は花托(かたく)で、それが肥大して袋状になって花を中に包み込んでしまっているのです。内部に咲く花は、おしべ、またはめしべといった単純な構造をしています。
このように内部に咲く花を受粉させるのが、共生関係にあるイチジクコバチという寄生バチの仲間。イチジクコバチは花粉を媒介し、イチジクはイチジクコバチに住処を提供しています。ちなみに、日本で販売されているイチジクは受粉せずとも実がなる単為結果性の品種なので、中にハチが入っていることはありません。
いつも身近にある野菜や果物ですが、野菜スタンプに使ってみたり、切り口を観察してみたりするとまた違った楽しみ方ができます。キッチンにある野菜を自由に使って、工作や自由研究にチャレンジしてみませんか?
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Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
参考文献
「野菜のはてなQ&A」 http://chusan.info/5hatenamokuji.htm
「タキイネット通販」 https://shop.takii.co.jp/shop/
Photo/ 1,3)Pressmaster/ 2,5)Elena Hramova/ 4)Yulia Aksa/ 6)Anna Kucherova/ 7)Dmitrij Skorobogatov/ 8)tanya_morozz/ 9)KETriKET/ Shutterstock.com
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