春の味覚といえば、タケノコ。旬のタケノコを美味しく簡単に味わうレシピを会津郷土料理研究家の本間のぞみさんが教えてくれます。お酒のお供から子どもが喜ぶシュウマイまで、シンプルな調理法で、シャキシャキとした食感と香りを活かします。

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知ってますか?
タケノコと笹の違い

会津の実家の近所にある本家には、ちょっとした竹林があります。竹は生命力のかたまりで、きちんと管理をしないと、あっという間に地下茎が広がり、庭も畑も竹林に呑み込まれてしまいます。それを防ぐには、地下茎を根切りしたり、ある程度間引いたりと手入れが必要です。タケノコ掘りもその大事な手入れのうちの一つ。そんなわけで、分家である父と母がこの竹林を管理するようになって二十数年、我が家の食卓に上るタケノコといえば、この竹林で採れるタケノコです。

父と母が管理している竹林。地上から60㎝ほど伸びた部分から切ると、自然と枯れるそうです。七夕の笹もここから切り出します。

竹林の周りには笹も生えています。笹も竹も、どちらもイネ科の植物ですが、一般的には茎が高く伸びるものを竹、低いものを笹と呼んでいます。植物学上では、タケノコの生長とともに皮が剥がれ落ちるものが竹、葉が腐るまで皮が残るものを笹としています。会津に限らず竹や笹が豊富な地方では、どちらも生活の中にふんだんに取り入れて暮らしています。笹は抗菌作用を生かして食材を包んだりするのに用い、竹を使った竹かごなど美しい生活道具を生み出す技も磨かれてきました。

長年使われて飴色になった竹かご。雪深い会津では、冬の間の手仕事として美しい生活道具がたくさん生み出されてきました。特に奥会津はこうした生活工芸品のメッカです。

驚くほど柔らかな
自家製タケノコの水煮

我が家の食卓に上るタケノコは、いつもその竹林で採れるタケノコです。実家のタケノコの種類は太くてかたい孟宗竹なので、しっかり茹でてアクを取ります。皮にはアクを出す成分が含まれているため、本来なら薄い皮をつけて柔らかくなるまでゆっくり茹でるのがよいとされていますが、母は一度に大量のタケノコを茹でるため、かさばらないよう皮をすべてはいで、米ぬかを入れて茹でています。その後、米ぬかを洗ってから12時間ほど流水にさらしたものを、缶詰工場に持って行き缶詰にしてもらいます。この長い工程を経てできたタケノコの水煮は、本当に美味しいです。東京でタケノコを購入しようとすると、とても高額でびっくりしますが、それくらい手間がかかる食材だと知ると、その値段にもうなずけます。だからこそ、実家から送られてくる太くて柔らかく、瑞々しいタケノコは、母のていねいな仕事だからこその美味しさだと、いつも手を合わせたくなるほどのありがたい気持ちになってしまいます。

実家の近所には、タケノコの時期だけ稼働する缶詰工場があります。

タケノコの漬物

我が家は、肉や魚などを買ってくるとすぐ、塩麹や甘麹などを塗ってから冷蔵庫に保存するのが習慣になっています。肉は柔らかく旨味もアップして、子どもも食べやすくなります。タケノコも傷みやすいので、水煮したら塩麹や味噌に漬けておくと、旨味が引き立ち保存性もアップします。

<つくり方>

タケノコ水煮150gに対して塩麹大さじ1(or味噌大さじ1)程度をまぶし、一晩以上おく。

*1週間ほどで食べきってください。

そのまま食べるときは軽く拭き取ります。トースターで軽く焼き目をつけると、さらに香ばしいです。

タケノコの漬物を使った
おつまみ三種

前述のタケノコの漬物はそのまま食べても美味しいのですが、ひと手間かけると、さらにお酒にピッタリのおつまみができます。お花見弁当にも喜ばれますよ。

① 薄切りにしたタケノコの漬物にワサビとかつおぶしをトッピング。

② 米粉に山椒粉を少々混ぜ、タケノコの漬物にまぶして多めの油で揚げ焼きにする。

③ 半分に切った生春巻きの皮を水に通し、タケノコの漬物、青菜、チーズを巻く。

菜の花ともよく合います。

タケノコ入り
いろどり野菜シュウマイ

春野菜のゆたかな色彩と食感が楽しいシュウマイです。セイロのままお持たせに持っていくと、とても喜ばれます。たくさん作って冷凍しておけば、お弁当のおかずやスープの具材として、またパンに挟んでも美味しいですよ。

<材料>

(餡)タケノコ水煮50g、玉ねぎ1/2個、干しシイタケ2~3枚、豚ひき肉300g、塩ひとつまみ、片栗粉大さじ2(大さじ1ずつ使用)
A<紹興酒大さじ1、醤油小さじ2、オイスターソース小さじ1、砂糖小さじ1、こしょう少々、ごま油小さじ1>
(皮)春キャベツ(1〜2枚)、ニンジン(7㎝くらい)、タケノコ(7㎝くらい)

*紹興酒がない場合は酒でも可。
*手間はかかりますが、ひき肉ではなく豚かたまり肉を自分でみじん切りにすると、より旨味がアップします。

<準備すること>


  • ・干しシイタケはお湯で戻してみじん切りにしておく(だしの出たお湯は別の料理で使う)。
    ・タケノコ水煮、タマネギはみじん切りにして、片栗粉大さじ1をまぶしておく。
    ・Aの調味料を混ぜ合わせておく。

  • 春キャベツ、ニンジン、タケノコをそれぞれ千切りにして塩(分量外)をまぶして塩抜きをした後、片栗粉(分量外)を小さじ1程度ずつ、それぞれの野菜にまぶしてバットに広げておく。

<つくり方>

  1. ボウルに豚ひき肉を入れて塩を振り、粘りが出るまで混ぜ合わせたら、Aの合わせ調味料を加えてさらに混ぜ合わせる。
  2. 1にみじん切りにした干しシイタケ、タケノコ、タマネギを加えて混ぜ合わせる。
  3. 2に片栗粉を入れて混ぜ合わせたら、冷蔵庫で1~2時間ほど寝かせる。
    *十分に寝かせることで味がなじみ、包みやすくなります。
  1. 3に皮を乗せて蒸し器で10分くらい蒸したら完成。

タケノコ入り茶碗蒸し

母に教えてもらったお持たせに人気の茶碗蒸しです。寒い日には温めて、暑い日には冷やして食べると、のどごしよくいただけます。薄切りにしたタケノコの食感が心地よいアクセントに。

<材料>

卵3個(200㎖分)、だし汁500㎖、塩小さじ1と1/2、みりん小さじ2、酒小さじ3、砂糖少々、(好みで飾りにタケノコや菜の花のおひたしなど)

(具材)タケノコ水煮(10㎝くらい)、カニ缶(汁ごと1缶)

(だし餡)だし汁1カップ、塩少々、酒小さじ2、醤油小さじ1/2、片栗粉小さじ2、水

<準備すること>

・だし汁を作っておく(カニ缶を使う場合は汁をだし汁に混ぜておく)。
・タケノコ水煮は食べやすい大きさに薄切りにする。

<つくり方>

  1. ボウルに卵を割り入れ、白身を切るように溶きほぐす。だし汁を少しずつ加えて溶き混ぜ、塩、みりん、酒、砂糖を加え混ぜてこし器でこす。
  2. 器にタケノコ水煮を入れて、1を泡立てないよう静かに流し入れる。蒸し器を温め、湯気が出てから器をのせて20分ほど蒸す。
  3. 蒸している間にだし餡を作る。材料の片栗粉以外全てを小鍋に入れて温め火を止め、同量の水(分量外)で溶いた水溶き片栗粉を混ぜ入れる。
  4. 竹串を刺して、透明な汁が出たらすぐに取り出す。
  5. タケノコや菜の花などを飾り付け、だし餡を静かに流す。

*カニ缶の代わりに、だしの出やすいホタテや白身魚、手軽にカニカマなどを使っても美味しいです。
*蒸し器がない場合は鍋の半分くらいにお湯を張り、器にアルミホイルフタをして20分ほど蒸します。

母は大きな深めの器にたっぷり作って、取り分けて食べるスタイル。お持たせに喜ばれるそうです。

母は家庭菜園や料理に関してとても研究熱心で、いつもいろいろな書籍を調べては試作していて、その情報量に毎回驚かされます。福島出身の有名料理人・野崎洋光さんのことも、数年前に母から教えてもらいました。母が東京にきた時には一緒に『分とく山』でごはんを食べました。そのときに出たタケノコの煮物が、少しアクが残っている程度の煮方だったようで「アクが少々残っていても美味しい」と、驚いていました。素材のうまみを活かした調理法には毎回驚かされます。

ご紹介したタケノコのレシピはピクニックにもおすすめです。お弁当を作って、出かけてみませんか。

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Credit

制作&レシピ/本間のぞみ
会津郷土料理研究家。福島県会津若松市生まれ。デザイン事務所のアシスタントを経てガーデニング雑誌編集部に入社。庭のある暮らしや食に関する記事をつくる中で、さまざまな食のプロに出会い魅了され、和菓子店、ベーグル店、ビストロなどで経験を積む。現在2人の子どもを育てながら、地元の母がつくった会津野菜や食品を使ったレシピの提供中。

Photo/3and garden

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