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ペットのための自然療法。春季デトックスハーブのダンデライオン

ペットのための自然療法。春季デトックスハーブのダンデライオン

フラワー&フォトスタイリストとして活躍する一方で、ハーバルセラピストの資格を持つ海野美規さん。季節や身体の調子に合わせてハーブティーを愛飲してきましたが、愛犬の体調維持にも活用しているそう。今回ご紹介するのは、春季デトックス効果のあるハーブのダンデライオンです。ペットだけでなく、もちろん人にもオススメです。

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公園に散歩に行くと、愛犬あんの足元にたんぽぽが咲き始めました。花いっぱいの季節がやってきましたね。

たんぽぽは、公園などでよく見かけるとても身近な植物ですが、実は世界各地で伝統医学の自然薬として用いられてきたハーブです。日本でも生薬として、強肝、利胆などを目的に古くから使われてきました。

ハーブとの関わりは人間よりも動物の方が古く、『Herbs for Pets ペットのためのハーブ大百科』(グレゴリー・L・ティルフォード&メアリー・L・ウルフ著)の中で、「何百万年も前、まだ地球上に人類が存在しない頃から、大きい生きものも小さい生きものも、植物で心とからだを癒してきました。その動物の姿を通して人類が学んできたことが、今、私たちが使っている医薬品の起源になっています」と書かれています。

人間に優しい効果があるハーブを犬にも使えたらいいのにと思い始めて、勉強を進めていた私はこれを読んで、自然療法はもともと動物から人間が教わってきたことで、動物の方が先生なんだと分かりました。だったら、ハーブをあんにもどんどん活用していきたいと思うようになりました。我が家の愛犬あんが、お腹の調子が悪そうで落ち着かない時、とりあえず病院に連れて行くと、すぐに注射やたくさんのお薬を処方されます。辛そうにしている時は、すぐに治してあげたいという一心なので、治ってよかったと思うのですが、できれば注射や強い薬に頼らず、常日頃から健康でいられるようにしてあげたいと思っていたからです。

自然豊かな環境であれば、散歩に行った時や、普段の暮らしの中で犬自身で有効な植物を探し出して取り入れることができるかもしれませんが、あんのように街中で暮らし、自然に触れ合う機会が少ない犬は取り入れることができません。現代ではこのような犬たちが多いのではないかと思われます。

そこで、手軽に手に入るハーブティー用の乾燥ハーブを使う方法をご紹介したいと思います。

今回は春先に取り入れたいハーブの一つ、ダンデライオンを選んでみました。

ダンデライオンは犬に取り入れやすいハーブで、ヤギ、馬、羊などは牧草地で葉っぱを食べたり、たんぽぽが好きという犬も多いそうです(あんは食べませんが)。

健康管理や病気の予防、治療においてハーブが用いられる際、ハーブは人の体にもともと備わっている自然治癒力に働きかけます。そのためハーブは最も歴史がある自然療法といわれています。ダンデライオン(根)は胆汁の分泌を促進し、肝臓全体の循環を促す作用があることが実証されています。気温の上昇とともに、身体に備わった自然な流れで、体内の老廃物を排泄しようと働き始める春先に活用したい、春季デトックスハーブといわれています。イヌリン、タラキサステロール、カリウムなどミネラルを含みます。イヌリンはプレバイオティクスとして作用するため、ビフィズス菌などの有用菌を増やして腸内環境を整えるとされています。便秘気味、消化が悪い、皮膚のトラブルなどの症状が気になる時に使いたいミネラルです。

ハーブ専門店などで、「ダンデライオン」「ダンデリオン」という名前で販売されています。

ここで使ったのは、生活の木の「有機ダンデリオン」。たんぽぽの根を乾燥させたものです。フードプロセッサーで粉末状にして、ご飯にふりかけます。

あんの好きな牛もも肉のおかずの上にふりかけるとよく食べます。食べない場合は、ハーブティーにして、中型犬であれば大さじ1杯程度与えてもよいようです。

ローストしてから粉末状にしても構いません。ローストして淹れたたんぽぽコーヒーやたんぽぽミルクティーは、私たちも美味しくいただけます。

1日の摂取量は、体重10㎏の犬に対して1g程度までとされていますが、最初は少量から試して様子を見ながら与えていきましょう。長く続けず、1週間~10日間前後与えたら2~3日休むなど、リズムをつくるようにします。

ハーブは安全といっても、犬それぞれによって好き嫌いがあるほか、アレルギーを起こす場合もあります。何か治療中の場合や、疾患を持った場合もあるでしょうから、与える際には十分注意をしてください。

ダンデライオンを使い始めて、あんの場合はアレルギーなどの症状はなく、便通もよいようです。医薬品のような即効性はないものの、穏やかに、体を本来の状態に戻すよう作用してくれるのがハーブのよいところです。私もあんと一緒に、様子を見ながら続けたいと思います。

Credit

写真&文/海野美規(Unno Miki)

フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。http://www.annegarden.jp

参考:
『Herbs for Pets ペットのためのハーブ大百科』(グレゴリー・L・ティルフォード&メアリー・L・ウルフ著、金田郁子訳)
ホリスティクケア・カウンセラー養成講座テキスト
JAMHAシニアハーバルセラピスト・植物療法科テキスト

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